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第307話 正体

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「くっくっくっ、まーだ分からないのか?」

隊長格が笑いながらルークに尋ねる。

「・・・」

ルークはここまで言っている相手に名乗らせるのも何なので当ててやろうと頭を捻る。

(複数人から『隊長』と呼ばれていて、世を忍ぶかのようにこんな森の偽装された小屋に住んでいる。そして、俺の事を『魔人鬼』と呼ぶ・・・そうか)

「久しぶり過ぎて分からなかったが今思いだした」

ルークがようやく目の前の人物が誰かに思い至る。

「ほう。それで?」

隊長は興味深そうな目でルークを見る。

「お前は・・・『雷』だな」

ルークはそう答えた。

「くっくっくっ、はーはっはっは!そうだ。正解だ」

隊長はそう言うと覆面を外す。

中からは金髪の長い髪の顔が出て来た。

「・・・女性だったんだ」

ミリーナが思わず呟く。

声で仕草では分からないが確かに女性のような顔をしていた。

それも町ですれ違えば10人が10人振り返るような綺麗な顔をしていた。

「あれだけ激しくやりあったのに忘れてたらどうしようかと思ったぜ」

隊長・・・『雷』が嬉しそうに呟く。

「・・・お前が『術』を出せば直ぐに分かったよ」

ルークは続けて、

「そもそも顔を見たことなんて無いしな。・・・女だったことも知らなかったぞ」

呆れたように呟いた。

「くっくっくっ、顔も性別も関係ないだろ?敵か味方か戦場ではそれだけが全てだろ?」

『雷』が何が嬉しいのかそう答える。

「・・・で、何の用だ?」

ルークはつき合ってられないとばかりに再度本題に入る。

相手の正体が分かったのは良いが、結局元々敵だった連中ということが分かっただけに過ぎない。

依然として、警戒を解ける状況ではないのだ。
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