戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

第304話 それだからお前は三流なんだよ

ルーク達を先導する覆面連中の一人が一度ルーク達を見た後、リーダー格に話しかける。

「なぁ」

「なんだ？」

前を向いたままリーダー格が返事をする。

「何であんなめんどくさいことをしたんだ？気絶させて隊長のところまで連れて行けばよかったんじゃないのか？」

「ふぅ・・・」

リーダー格は尋ねられた内容に一度ため息をついた後、

「それだからお前は三流なんだよ。相手の実力も見て分からないのか？」

「は？嘘だろ。俺たちの方が数が多い上にあの男はともかく他のは女と子どもだろ？戦ってたら負けていたというのか？」

リーダー格はちらりと愕然としながら答えてくる仲間を見てから、

「・・・流石に、我々が勝つとは思うがギリギリといったところだろう。勝って得る者よりも戦って失うものの方が大きい」

「・・・そうか、バカなことを言って済まなかった」

「・・・お前のその素直なところは美徳だ。早く、一流になって俺に楽をさせてくれ」

「ああ。分かった」





「ねぇ」

ミリーナが隣を歩くルークに声を掛ける。

「なんだ？」

ルークが覆面連中に対して多少の警戒をしながらミリーナに返事をする。

「あたしたち、足手纏いだった？」

ミリーナの言葉に思わずルークがそちらを見ると、ミリーナが申し訳なさそうにしていた。

ミリーナの後ろを歩く、ヒルダも俯いている。

「・・・いや。そんなことは無いぞ。そればかりか大した判断だったぞ。咄嗟にヒルダをかばった行動も良かった」

ルークはミリーナの行動を思い出しながら褒める。

「え？そう？ありがとう」

ミリーナは褒められるとは思ってなかったのか驚きながらも礼を言う。

「ヒルダも気に病む必要はない」

更にルークはヒルダに対しても声を掛けた。

「・・・そうかのぉ。我は足手纏いになったばかりじゃ・・・」

色々と思うところもあるのだろう。

ヒルダが呟く。

「前にも言わなかったか？気にしなくていい。これから強くなっていけばいいんだよ」

ルークはヒルダが元気を出せるようにやさしく呟いた。