戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

第299話 傭兵

「・・・えーと、ルークさんや」

ミリーナが普段とは違う感じでルークを呼ぶ。

「・・・なんだその呼び方は・・・」

ルークがミリーナの様子に違和感を覚えながらも応える。

「まぁいい。それでどうした？」

「今なんて言ったの？」

「ん？『ジークムント王国がその国と協力関係を築いていなくて良かった』だったか？」

ルークが律儀にも同じ言葉を呟く。

ミリーナは首を振り、

「それじゃなくてもう少し前のセリフよ」

否定する。

ルークは思い出しながら、

「・・・ん？ああ。もしかして『あいつらは厄介だからな』か？」

「そう！それよ！！ルークってば『魔法』使う人間と戦ったことがあるの！？さっき、術者と遭遇するのはほとんど稀って言ってなかった？？」

ミリーナが興奮したように尋ねる。

ルークはその勢いに負けながら、

「それは、一般論の話だ。俺は結構戦ったぞ」

「本当っ！？どこで！！どんな魔法だったの！？」

「なんじゃとっ！！我にも教えてくれ！！」

ミリーナとヒルダがルークに詰め寄る。

「どこでも何も、ジークムント王国と戦っていたときに普通にいたぞ」

ルークが当たり前のことのように答える。

ミリーナが驚きながらヒルダを見る。

「いやいや、そんなわけ無かろう！！我は聞いたことないぞ！！」

ヒルダが必死になって否定する。

「ルーク・・・どういうこと？」

ミリーナが不思議そうに尋ねる。

ルークもヒルダも本当のことを言っているように見えたからだ。

「・・・そう言われてもな。俺が何人かと戦ったのは事実だからな・・・待てよ」

ルークが困ったように答えながら何かに気が付いた。

「そうか、あいつらは傭兵だったな。だからジークムント王国側にははっきりと伝わっていなかったのか」