戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

第263話 ルークの決意

あれから、ルーク、ミリーナ、ヒルダの三人は騎士団詰所に隣接する軍用銀行に向かい、ヒルダの分のお金を卸した後、国民銀行にならぶ長蛇の列に並ぶ。

長蛇の列といっても今日は偶々スムーズだったのか数十分待つだけで手続きができた。

銀行員はヒルダの年齢にしてあれだけの大金を入金することに目が飛び出るほど驚いていた。

ルークは何かを考えているようで普段よりも少し反応が鈍かったが、宿への帰り道に、

「ミリーナ」

とミリーナに呼びかける。

「ん？どうしたのルーク？？」

新しい名前になったウキウキのヒルダとともにルークの後ろを歩いていたミリーナはルークの言葉に反応する。

「・・・アメリアに会おうと思う」

「・・・うん」

ルークの言葉に一瞬、言葉に詰まった後、ミリーナが答える。

「ん？アメリアとは誰じゃ？？」

話しに全くついてこれないヒルダが疑問の声を上げる。

ミリーナはヒルダの耳元で「あとで話すから」と少し黙ってもらい、

「それで、すぐに行動するの？」

「ああ。できればだが明日には出発しようと思う。だがその前に、俺の実家の両親の墓参りをしてからにしたいが良いだろうか？」

申し訳なさそうにルークが言う。

「分かった。もちろん良いわよ。お母様には手紙を書いておくね」

「・・・すまない」

ルークはミリーナの心遣いに感謝の言葉を返した。