戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第246話 『スターリン』

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「うぅぅ。おはよう。ルーク、ミリーナ」

「おはよう」

「おはようヒルダちゃん」

ルークとミリーナが朝食を食べているころ、眠そうに目をこすりながらヒルダが2階から降りて来る。

「我にもモーニングセットをお願いするのじゃ」

ヒルダがミリーナの隣、ルークの前に座りながら宿屋の店員に注文をする。

「ヒルダ。名前は決まったか?」

ルークがヒルダが座ったことを確認して尋ねるとヒルダはバツが悪そうな顔をしてから、

「むぅ。いくつか絞れたのじゃが、、、」

「そうか。まぁ、焦らなくてもいいさ。じっくり考えてくれ」

ルークがそう言うとヒルダがもじもじとし始める。

「ん?どうした?」

ルークがその様子に気づいて尋ねると、

「・・・怒らないで聞いて欲しいのじゃが・・・」

と小さな声で返答する。

「?ああ。なんだ?」

ルークが何のことか分からずヒルダに先を促す。

「その・・・名前なんじゃが・・・ルークの名前を貰っても良いかの?」

ヒルダがルークの表情を見ていられないとばかりに強く目を瞑りながら尋ねた。

「・・・」

ルークがヒルダの隣のミリーナをふと見るとルークの目をまっすぐ見ていた。

(なるほど、先ほど俺との相談と言っていたのはこの事か)

ルークはここで漸くミリーナの発言の意味を理解した。

「・・・いいぞ」

ルークが優しい声でヒルダに許可を出すとヒルダがすぐに目を開け弾けるような笑顔になる。

「ほんとうか!!」

「ああ。もう俺以外には名乗る者もいないが・・・それでも良ければ」

「もちろんじゃっ!・・・それで、ルークのセカンドネームは何というのじゃ?」

ヒルダがワクワクしながら尋ねて来る。

「ん?言ったことなかったか?」

「そう言えば、あたしも聞いたことないわね」

隣り2人の会話を聞いていたミリーナもそんなことを言ってくる。

(そうか、セカンドネームを名乗るとどうしても両親のことを思い浮かべてしまうから無意識の内にルークとしか言ってなかったんだな)

ルークはこのとき漸くその事に気づく、

「俺のセカンドネームは『スターリン』という」
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