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第211話 剣術大会本戦⑨

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「さぁ!それでは続いての試合に参りましょう!!二回戦の②まず一人目の選手はザンクロウ・クレナイ選手です!!!」

赤服運営長が紹介し、先日食事処で知り合ったザンクロウが出てくる。

盛り上がる観客。

「ザンクロウ選手はなんと南の島国から武者修行のために遠く離れたこちらまでやってきました!!!我々では余り目のすることのないカタナという剣を自由自在に扱います!!!」

赤服運営長の解説に更に盛り上がる観客。

「続いての対戦相手をご紹介します。ルーク選手です!!!昔軍に所属していたということ以外は一切謎の男。ですが、昨日の圧倒的な試合は皆さんも鮮明に覚えていらっしゃるでしょう!!」

ルークがリングに向かうと意外と観客が盛り上がっているのが分かった。

ルークとザンクロウ、リングの上で向き合う。

「ルーク殿、直接対戦できて幸いでござる」

ザンクロウがそう言い、カタナを納刀したまま構える。

(ルーク殿は間違いなく、今大会で最強の人物のはず、胸を借りるつもりで全力でぶつからせてもらうでござる!)

「俺もだ」

ルークが護命剣を抜き、左手一本で持ち構える。

「それでは、開始してください!!」

赤服運営長の合図の瞬間。

ザンクロウの姿が掻き消える。

そして、

ギィィィン

ザンクロウのカタナとルークの護命剣がぶつかり火花が発生する。

その様子に観客がどよめく。

直ぐに後ろに下がり、距離をとるザンクロウ。

「驚いたでござる。拙者の攻撃を見切った人間は初めてでござる」

ザンクロウは驚愕する。

ルークの胴を思い切り薙ぐ気でカタナを振るったのだ。

ルークはそれを涼しい顔をして防いで見せた。

「俺も驚いた。こんなに早い攻撃を受けたのは初めてだ」

ルークがニヤリとしながら返答する。

難敵の登場に心から喜んでいるようだ。

「それに、その剣は何でござるか。拙者が斬れぬ剣というのも初めてでござる」

ザンクロウがルークの剣・・・『護命剣』の尋常ではない硬さにも驚愕する。

「『護命剣』だ。この剣は俺にも斬れぬ」

ルークが構えながら答える。

「ふっ、『護命剣』でござるか。そこまでいうのであれば斬って見せるでござる!!!」

ザンクロウがそういうと再び姿を消す。

「ああ!!やってみろ!!!」

ギィィィン

再びザンクロウのカタナとルークの護命剣がぶつかり火花が発生する。

ギィィィン

ギィィィン

ギィィィン

何度も何度も両者の攻撃が火花を散らす。

ザンクロウはルーク自身を狙ってはいるが、ルークがそれを防いでいるという構図である。

観客は姿の見えないザンクロウとそれをいなすルークの戦いに目を奪われていた。
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