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第200話 剣術大会㊼

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「・・・ルーク殿とお知り合いだったのですか?」

メリッサが戦闘態勢といっても過言ではないくらい滾っているバグラス大将軍に向かって声を掛ける。

「・・・ああ。知り合いも何も戦場で戦った男よ。忘れもしない7年前、儂のこの腕を持っていきおったわ」

バグラス大将軍が笑いながら義手を持ち上げ、言う。

(・・・失敗したわ。まさか、バグラス大将軍とルーク殿が面識があるなんて)

普通であれば、軍所属の戦闘員であったルークと当時将軍であったバグラス大将軍が戦う可能性はほぼあり得ない。

(ルーク殿が特別なことを失念していたわ。・・・可能性を考慮しておくべきだった)

思えば騎士団詰所でルーク殿に会った時に、確認しておけばよかったのだ。来賓として読んでいるバグラス大将軍を御存じですか?と。

メリッサは自分の失態を嘆くがもう遅い、既に二人は出会ってしまったのだ。

(とすると、次のバグラス大将軍の言葉は決まっている)

「ボルン領主よ」

「・・・はい」

異様な様子を感じ取ったボルン領主が少し身構えながら言う。

「先日打診してくれた推薦枠の件だがな、儂が受ける」

「!?・・・ありがとうございます。バグラス大将軍が参加してくだされば『剣術大会』がより盛り上がるでしょう!」

(・・・やはりそう来るわよね。ルーク殿、お願いだからセインツ王国とジークムント王国の関係性を悪くする結果にしないで)

メリッサにはもはや祈ることしかできなかった。

「ところで、あの方が『剣鬼』ということはメリッサ近衛騎士隊長からお聞きしておりましたが『魔人鬼』というのは何なのでしょうか?」

ボルン領主がバグラス大将軍の反応で気になっていたことを尋ねる。

「7年前にあやつが儂に勝ったころからジークムント王国中に広まった呼び名だ『この世の恐怖を一身にまとった悪魔でもあり鬼でもある人間』ということで『魔人鬼』と呼ばれ、ジークムント王国内で悪いことをした子供に聞かせる『恐怖の象徴』ともなっている。こんな詩だ」

そう言うとバグラス大将軍が語りだす。

 彼の者は恐怖の象徴
 彼の者と相対すれば、一瞬の内に意識を失う
 彼の者に見えたら脇目も振らずに逃げるべし
 彼の者の真っ白な髪を見たら近寄るなかれ
 彼の者の異常な気配を感じたら呼吸を止めろ
 彼の者の名は『魔人鬼』ルーク
 おお、幼子よ。清廉であれ
 さもなくば『魔人鬼』がやってくるぞ

「・・・とな。そう言えばセインツ王国ではあやつは『英雄』だろう?こちらではどのように伝わっているのだ?」

バグラス大将軍がふと疑問を口にしたのだった。
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