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第193話 剣術大会㊵

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「よし。それじゃあまずは木の棒から行くわ」

ミリーナが3つの棒の内、木の棒を地面に刺す。

「おー。頑張るのじゃぞ!」

ヒルダがミリーナを応援をする。

「ありがとう」

ヒルダに礼を言ったミリーナは『護命剣』を構え、振るった。

ザン!

「おお!ミリーナやるのぉ!!」

ヒルダがミリーナの斬った木の棒を見て感心した声を上げる。

「ありがとう。2回しか斬れなかったわ」

ミリーナが残念そうに言う。

「あの一瞬で2回斬れるなら大したものじゃろ?」

ヒルダが何を言っているのか?といった体でミリーナに言う。

「でも、ルークはこっちの鉄の棒を5回斬ったって言ったのよ?あたしは、木の棒でさえ2回なのに、、、」

「我も先ほど走っていて思ったんじゃ・・・あんまりルークと比べ過ぎてもよくないなと。ほぼ到達者が近くにいることはとても良い刺激になるが結局成長に近道はない。地道にコツコツやるしかあるまいて」

「・・・まぁ、そうなんだけどね」

ヒルダの言葉に納得するミリーナ。

ミリーナ自身、ヒルダが言ったようなことは頭では理解しているのだが、中々気持ちが理解してくれない。

そんな感じだった。

ふぅ

ミリーナは一度深呼吸してから、

「ありがとう。ヒルダちゃん。焦っている自覚はあったんだけど、どうしても気持ちがね」

「気にするでない。理解しているなら良いのじゃ。我も自分なりの成長を少しずつしていくつもりじゃからお互いに高めあえたらと思っておる」

「そうね。これからもよろしくね、ヒルダちゃん」

何だか無性に握手がしたくなったミリーナが手を差しだす。

「こちらこそよろしく頼む。ミリーナ」

ヒルダも快く手を取った。

「さて、お次はこちらね」

ミリーナが気を取り直して、鉄の棒の太くない方を地面に刺す。

ヒルダが斬鉄の邪魔にならないように下がる。

ミリーナが呼吸を整えると『護命剣』を振り下ろした。

キィィィン

甲高い音を森の中に響かせ、鉄の棒が見事に切れる。

「おお!やるな!!さすがミリーナじゃ」

ヒルダが飛び上がりながらミリーナを褒める。

「ありがとう!1回しか斬れなかったけど、斬れたからまずは良しとするわ」

「そうそう。そういうことじゃ!」

ミリーナの言葉にヒルダが嬉しそうに応答する。

「反省点としては、剣の重さについていけてない点ね。とんでもなく頑丈な『護命剣』だからこそ壊れるリスクを無視して遠慮なく振れるのだけど、1度に斬れる回数が重さについていけてないせいで少なくなってしまっているのよね・・・」

ミリーナが次につなげるために自分の状況を分析する。
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