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第177話 剣術大会㉔

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「ん?」

ヒルダは先程とは違うミリーナの行動を訝しながらもルークの剣に近づく。

まずは、ミリーナの剣を手渡し、ルークの剣の柄に手を掛ける。

「なっ!?」

片手ではびくともしないので、両手で握る。

「ぐぬぬぬぬ!」

顔を真っ赤にさせながら持ち上げようと力を込めるヒルダ。

ぴく

頑張ったおかげで少しだけ剣が持ち上がる。

「だぁぁぁ、駄目じゃっ!なんじゃこの剣は!!重いにも程があるぞっ!」

力を使い果たし地面に座りながら叫ぶ。

「ふふふ、違いが分かったでしょ?」

ミリーナがヒルダの様子を見ながらミリーナの剣とルークの剣の違いについて問いかける。

「ああ、身を持って理解したわい」

ミリーナがルークの剣を片手で持ち上げながら、

「この剣の名は『護命剣』。とにかく重くて頑丈な剣と覚えておけば良いわ」

ヒルダに言う。

ヒルダは普通に持ち上げるミリーナに感心しながら、

「ミリーナよ、お主もすごいのぉ。その剣を持ち上げられるのじゃから」

「ありがとう。これでも一応近衛騎士だからね」

そう言って鍛錬の続きを始める。

ヒルダはその動きをじっと見てルークが戻るまで待っていた。




「なかなか器用に使えるようになってきたな」

それからしばらくし、ルークが走り込みから戻ってきた。

「あ、ルークお帰り。それと、ありがとう。何とかって感じだけどね」

ミリーナは護命剣を鞘に納め、ルークに返却する。

「全く。随分長く走っていたのじゃな」

ヒルダが太陽の位置を確認しながら呟く。

早朝に出てきたはずだが、後少しで昼になろうとしていた。

「待たせてすまん。もう朝食ではないが食事にしようか」

「おおっ!そうしようぞ!!空腹でたまらぬ」

ヒルダがルークの提案に賛成の意を示す。

「あれ?剣は振らないの?」

ミリーナはルークの言葉に疑問を口にする。

「ああ。今日はこのくらいでやめておく」

「そっか。なら早く行きましょ。」

ルークにはルークの考えがあるのだろう。

本人が良いと言うなら是非もない。

三人は街に向かって戻っていった。

道中、ミリーナがふと前を歩くルークを見てあることに気づく。

(あれだけ長時間走ってて何で全く汗をかいていないのよ・・・)

汗をかいていないということはまだまだ余力があるということだろう。

ルークの域に達するまでの道のりは遠いということを改めて認識してしまうミリーナであった。
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