153 / 354
第153話 三人旅
しおりを挟む
ヒルダと出会う前に通っていた街道には案外早くついた。
正確には同じ街道ということで森に入ったときとは違う場所ではあるが。
「のう?我々はどこに向かっているのじゃ?」
先頭を行くルークの後、ミリーナの右隣を歩くヒルダが質問をする。
「そうだった」
ルークが歩くスピードを落とし、ヒルダが左隣位に来るまで待つ。
幸い街道には他に人が居らず三人の他には誰もいない。
「ミリーナと二人の時に行き先を決めていたんだが、ヒルダが新しい仲間として入ったからな。行き先をもう一度決めたいと思う」
ルークがミリーナとヒルダの二人にそう言う。
(いま、ルークってば『仲間』って言ったわよね)
ルークの嬉しい言葉にミリーナは内心喜びながら、表面には出さないように話す。
ミリーナはルークが自分のことをどう思ってくれているのかが気になっていた。
「そうよね。ヒルダちゃんはどこか行きたいとかある?」
「んん?我か?そもそもジークムント王国でも城から出たことなぞなかったからな。セインツ王国でどこに行きたいとか聞かれても困るぞ」
「そっか。それもそうよね」
(ヒルダちゃんも外に出れてなかったのよね)
ミリーナはつい先日まで行動を共にしていたゼーラの街の領主の娘であるイリアのことを思い出す。
彼女も余り外に出れてなかったのだ。
「あ・・・じゃが、見てみたいものがある」
ミリーナがイリアのことを思い出しているとヒルダが思い出したというように話し出す。
「そうなんだ!それでヒルダちゃんは何を見たいの?」
「『海』というものを見てみたいのじゃ!昔読んでいた中の本に書いてあったのじゃがどうにもイメージ出来なくてのぅ。いつか機会があったら見てみたいと思っていたのじゃ」
「『海』か、いいわね!あたしも見たこと無いのよね」
ヒルダの言葉にミリーナも同意する。
「ルークはどう思う?」
ミリーナがルークの方を見る。
「ああ、良いと思うぞ。何を隠そう俺が王都から南に向かうと決めたのは『海』を見てみたかったからだからな」
「え、そうなの!」
「おお!お主もか!それは奇遇じゃ!!」
ミリーナとヒルダがルークの言葉に驚く。
「ああ、せっかくだから見ておこうと思ってな」
ルークの人生の大半の記憶は戦場のものだ。
銃殺刑にならずに済み、拾った命だ。
これからは自分の好きに使おうとルークは考えている。
幸いにも王国中を回れる機会を持ったのだ。
まずは見たことがない『海』というものを体感しようと考えていた。
「でもまずは『剣術大会』よね!」
ミリーナがいたずらっぽく釘をさす。
「ふ、そうだな」
一瞬キョトンとした後、ミリーナに同意するルーク。
「何じゃ?それは??」
ヒルダが聞いたことのない単語に疑問を持つ。
「ヒルダちゃんが、あたしに追いついたら教えてあげるわよ」
ミリーナがそう言うとヒルダが追いつけそうな位の速度で逃げ出した。
ヒルダは突然のことに一度ぽかんとしたが、すぐにミリーナを追いかける。
「まて~。我の知識欲求を舐めるなよ、すぐに追いついて見せるぞ」
「ほらほら、こっちこっち」
「くぅ、後少しじゃったのに」
ミリーナとヒルダがわーわーと楽しそうにしているのを眺めながら歩くルーク。
(一時は絶望の淵にいたんだがな・・・)
ルークは一時に比べて心が大分楽になっているのを感じていた。
それは自分一人では到底無理だっただろう。
(良い仲間を得たな)
ルークは知らずと出てしまう笑みを浮かべながら次の街に向かうのだった。
正確には同じ街道ということで森に入ったときとは違う場所ではあるが。
「のう?我々はどこに向かっているのじゃ?」
先頭を行くルークの後、ミリーナの右隣を歩くヒルダが質問をする。
「そうだった」
ルークが歩くスピードを落とし、ヒルダが左隣位に来るまで待つ。
幸い街道には他に人が居らず三人の他には誰もいない。
「ミリーナと二人の時に行き先を決めていたんだが、ヒルダが新しい仲間として入ったからな。行き先をもう一度決めたいと思う」
ルークがミリーナとヒルダの二人にそう言う。
(いま、ルークってば『仲間』って言ったわよね)
ルークの嬉しい言葉にミリーナは内心喜びながら、表面には出さないように話す。
ミリーナはルークが自分のことをどう思ってくれているのかが気になっていた。
「そうよね。ヒルダちゃんはどこか行きたいとかある?」
「んん?我か?そもそもジークムント王国でも城から出たことなぞなかったからな。セインツ王国でどこに行きたいとか聞かれても困るぞ」
「そっか。それもそうよね」
(ヒルダちゃんも外に出れてなかったのよね)
ミリーナはつい先日まで行動を共にしていたゼーラの街の領主の娘であるイリアのことを思い出す。
彼女も余り外に出れてなかったのだ。
「あ・・・じゃが、見てみたいものがある」
ミリーナがイリアのことを思い出しているとヒルダが思い出したというように話し出す。
「そうなんだ!それでヒルダちゃんは何を見たいの?」
「『海』というものを見てみたいのじゃ!昔読んでいた中の本に書いてあったのじゃがどうにもイメージ出来なくてのぅ。いつか機会があったら見てみたいと思っていたのじゃ」
「『海』か、いいわね!あたしも見たこと無いのよね」
ヒルダの言葉にミリーナも同意する。
「ルークはどう思う?」
ミリーナがルークの方を見る。
「ああ、良いと思うぞ。何を隠そう俺が王都から南に向かうと決めたのは『海』を見てみたかったからだからな」
「え、そうなの!」
「おお!お主もか!それは奇遇じゃ!!」
ミリーナとヒルダがルークの言葉に驚く。
「ああ、せっかくだから見ておこうと思ってな」
ルークの人生の大半の記憶は戦場のものだ。
銃殺刑にならずに済み、拾った命だ。
これからは自分の好きに使おうとルークは考えている。
幸いにも王国中を回れる機会を持ったのだ。
まずは見たことがない『海』というものを体感しようと考えていた。
「でもまずは『剣術大会』よね!」
ミリーナがいたずらっぽく釘をさす。
「ふ、そうだな」
一瞬キョトンとした後、ミリーナに同意するルーク。
「何じゃ?それは??」
ヒルダが聞いたことのない単語に疑問を持つ。
「ヒルダちゃんが、あたしに追いついたら教えてあげるわよ」
ミリーナがそう言うとヒルダが追いつけそうな位の速度で逃げ出した。
ヒルダは突然のことに一度ぽかんとしたが、すぐにミリーナを追いかける。
「まて~。我の知識欲求を舐めるなよ、すぐに追いついて見せるぞ」
「ほらほら、こっちこっち」
「くぅ、後少しじゃったのに」
ミリーナとヒルダがわーわーと楽しそうにしているのを眺めながら歩くルーク。
(一時は絶望の淵にいたんだがな・・・)
ルークは一時に比べて心が大分楽になっているのを感じていた。
それは自分一人では到底無理だっただろう。
(良い仲間を得たな)
ルークは知らずと出てしまう笑みを浮かべながら次の街に向かうのだった。
11
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
戦争から帰ってきたら、俺の婚約者が別の奴と結婚するってよ。
隣のカキ
ファンタジー
国家存亡の危機を救った英雄レイベルト。彼は幼馴染のエイミーと婚約していた。
婚約者を想い、幾つもの死線をくぐり抜けた英雄は戦後、結婚の約束を果たす為に生まれ故郷の街へと戻る。
しかし、戦争で負った傷も癒え切らぬままに故郷へと戻った彼は、信じられない光景を目の当たりにするのだった……
貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す
名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
底辺ダンチューバーさん、お嬢様系アイドル配信者を助けたら大バズりしてしまう ~人類未踏の最難関ダンジョンも楽々攻略しちゃいます〜
サイダーボウイ
ファンタジー
日常にダンジョンが溶け込んで15年。
冥層を目指すガチ勢は消え去り、浅層階を周回しながらスパチャで小銭を稼ぐダンチューバーがトレンドとなった現在。
ひとりの新人配信者が注目されつつあった。
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる