戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

第136話 少女④

「そら、そろそろ食べ頃だぞ」

ルークがミリーナに焼けた熊肉が刺さった木の枝を渡す。

「ありがと」

「おっと、お好みでこれを使ってくれ」

ルークが小さな袋に入ったものをミリーナに手渡す。

「おっ、出ました『ルーク粉』！」

ミリーナが受け取りながらテンションを上げる。

「・・・その呼び名は定着したんだな、、、」

『ルーク粉』とは以前野営した時にルークが振りかけたものである。

香辛料を自分好みにブレンドしたオリジナルだ。

その味がとても気に入ったミリーナは一度食べて以来『ルーク粉』と命名し、親しみを込めて呼んでいる。

「よっと」

ミリーナは『ルーク粉』を片手で器用に取り出し振りかける。

そして、火傷に注意しながら頬張る。

「！？美味しい！！美味しすぎるわ！！！」

あまりの美味しさに美味しいとしか言わないがあっという間に食べ終える。

「ほら」

ルークは美味しそうに平らげたミリーナにいい気分になりながら追加の肉を渡してやる。

「あ、ごめん。あたしばかり。ありがとうルーク」

はしたないと思ったのか赤くなりながらも手は正直に肉に手を伸ばす。

「ああ。気にするな」

ここで始めてルークは肉を食べ始める。

「お、美味いな」

ミリーナが夢中になるのも無理はない。

「あ、ルークもどうぞ」

ミリーナが『ルーク粉』を渡す。

「ありがとう。・・・こりゃいけるな」

「でしょう？」

何故かミリーナが胸をはる。

「う、うーん」

そんな折、少女が身動ぎし始める。

ルークとミリーナもその様子に気が付き少女に注目する。

しばらくした後、少女は目を開き意識を取り戻した。