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第118話 散策④

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「あ~、美味しかった!さすが、スイーツで有名なゼーラの街なだけあるわ!」

スイーツ屋を出たミリーナの第一声である。

「本当ですわね!私も食べるのは初めてでしたがとても美味しかったですわ。我が家の料理長にも作ってもらえるようにお願いしてもらおうかしら?」

イリアも美味しさに感動し、自分の家で食べられないか画策しているようだ。

「ルークはどうだった?」

ミリーナがルークに聞くと、

「そうですわ、ルーク様はいかがでしたの?」

イリアも併せてルークの返事を待つ。

「美味かった。・・・が、」

「「が?」」

ミリーナとイリアの言葉が被る。

「・・・居心地は余り良くなかったな」

「「あ~」」

ルークがミリーナとイリアと入ったスイーツ屋はルークが言うように美味しいスイーツを提供していたが、店の中にいる客層は若い男女のカップルや女性グループが多く、ルークのような30代の男性は余り見られなかった。

(戦友たちが見たら間違いなくからかってくるな)

元同僚たちがルークがスイーツ屋で甘味を黙々食べている姿を見たら絶対にからかってくるに違いない。

「気にすることないわよ!甘味は正義よ!!」

ミリーナがルークをフォローするためか素っ頓狂なことを宣言する。

「ふふふ、なんですのそれ」

イリアがミリーナの宣言に笑いながら指摘する。

「えへへ、あたしの中の持論の一つです」

「なるほどですわね。持論ですか、参考にさせていただきますわ!」

イリアがミリーナを何を参考にするのだかわけのわからない相槌を打つ。

(ふっ、面白いな)

ルークがそんな二人をみて笑みを浮かべる。

「あ~、ルーク今笑ったでしょ!イリアさん、見ました?」

「はい!もちろん見ましたわ!」

「はは、なんだかミリーナとイリアのやり取りを見ているとついな。さて、そろそろ日も暮れるし戻るか?」

「「そう(ですわ)ね!」」

三人は並んで領主の館に向かいながら今日の散策について思いを馳せる。

(久しぶりに平和な一日だったわ。ルークの息抜きに少しでもなったみたいでよかった)

ミリーナは久しぶりの休息に思いを馳せ、

(一時は、どうなるかと思いましたが、初めての街巡りに来れて、しかもルーク様とミリーナちゃんと一緒に来れるなんて本当に幸せですわ。本当に全部が解決して良かった・・・)

イリアは自信やケビンに降りかかった問題が解決したことと今日という楽しい一日を過ごせたことに思いを馳せる。

そして、ルークは、

(イリアを狙ったバストロとは違う奴が何かしらの行動を起こしてくる可能性も考えていたが、何もなかったな。まぁ、それならそれで偶にはこんな一日も悪くない)

もう襲撃は無いかも知れない。何の根拠もないがそんなことを考えていた。
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