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第103話 作戦⑤

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「どういうことだ?」

ミリーナの言っていることがまるで分からないルークがミリーナに問う。

「ルーク、あなたは『剣鬼』と呼ばれるセインツ王国だけでなく、大陸中に知られる偉大な人物よ。確かに、一般人には知られてはいないけど、あなたの一挙手一投足はとても注目されているはずよ。更に今では、『国王代行』でもあるんだがら、ルークを対象にした画策があってもおかしくないわ」

「・・・そう・・・なのか?」

ルークは全く自覚のない話をされて戸惑う。

「ええ」

ミリーナも騎士見習いから騎士になって初めて『剣鬼』ルークのことを知ったが、わずか数週間であってもルークの偉大さは理解できているつもりだ。

(謙遜という訳ではないんだろうけど、やっぱり不思議な人ね)

「なるほどな。正直まだ認識しきれていないが、ミリーナがそう思うのであればその可能性は信憑性がありそうだな」

ルークが漸く、納得し始める。

「確かに言われてみれば、昨夜の奴は領主の館から俺たちがいる宿の方に向かってきたな。目的は分からないが、敵が二人いる可能性は否定できないようだ」

「そうみたいね。そうするとやはり、別行動かしら」

ミリーナが少し残念そうに言う。

「ああ。バストロの元に行く人間とイリア様を守る人間の二手に分けた方が良いだろうな」

「仕方ないわね。後はルマイルさんの地図を見ながら作戦を決めましょう」

「そうしよう」

こうして、ルークとミリーナは互いの意見を出し合い方向性を決める。

「それにしても」

「ん?」

ルークが徐に呟く言葉にお茶を飲みながらミリーナが反応する。

「ミリーナはやはり優秀な騎士だな」

「ぶぅぅぅ」

突然の褒めの言葉に思わず口に含んでいたお茶を吹き出すミリーナ。

ルークは咄嗟に、食事のときに置かれたナプキンでミリーナが噴出したお茶を全て受け取る。

「おいおい、どうした?」

ルークが何事も無かったかのようにミリーナに言う。

「・・・急に褒めるから驚いちゃって・・・」

「うん?事実を言っただけだが??」

「そう・・・なんだ。ありがとう」

事実を言っただけ、素直なルークの賛辞にミリーナはより一層気分が良くなるの感じながらお礼をいったのだった。
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