91 / 354
第91話 護衛③
しおりを挟む
「さあ、遠慮なくお入りになってくださいな」
領主の館に一人残ったあたしはご機嫌なイリア様に連れられ部屋に案内された。
「わぁ、素敵なお部屋ですね!」
これぞまさに貴族!といった感じの豪華な部屋にあたしは思わず声を上げた。
「あら、ありがとうミリーナさん!ですが、あなたのお部屋も似たような感じなのではなくて?インスパイア家といえば貴族でも有名な家系ですもの」
「いえ、そのようなことは無いです。少なくとも私の部屋は私がそういうのに疎くて殺風景でした」
あたしも一応貴族ではあるけど、あんまり部屋に物を置くとか興味なかったので殺風景なのよね。
お父様もお母様も妹もあたし程ではないが、そこまで豪華なものを部屋に置く感じではない。
流石に商談で使う部屋は相手に舐められないように整えてはいたけど。
というか、イリア様もあたしがインスパイア家の人間だということを認識してらしたんだ。
名前は名乗ったが家の事は全く触れていなかったので気づいていないかと思ってたわ。
「あら、そうなんですの?意外ですわね」
イリア様が不思議そうにおっしゃる。
「あはははは、よく言われます」
あたしは笑いながら答える。
そうなのだ。騎士学校に通っていた時も商人として有名な家だったので似たようなことはよく言われたのだ。
幸いにもいじめとかは無かったが、自分とは関係のないところで一目を置かれてしまっていたので慣れるまで大変だったのを覚えている。
「さて、お茶でもお飲みになってお話でもしましょうか」
イリア様があたしが余り触れてほしく無いことを感じ取ったのか話題を変えてくださる。
そういうとイリア様がメイドを呼び、お茶とお茶うけをお願いした。
「ありがとうございます。はい、私などでよろしければ是非」
イリア様のご配慮に感謝の言葉を述べるあたし。
できることなら少し仮眠を取りたかったけど、護衛なので仕方がないと割り切る。
ゼーラの街に来るまでの間は野宿だったし、久々の宿でも今回の件で少ししか寝れなかったので眠いと感じてしまうのは仕方がないわよね。
「ミリーナさんはどのようにして勲章を受けるに至ったのですか?」
イリア様が一番話題にしやすい内容をお聞きになった。
「はい。あれは騎士学校の授業の一環で先輩騎士とヤムイ村に行く時のことでした・・・」
流石に王城での話は出来ないが、ヤムイ村の話ならしても良いだろう。
あたしはまだ1ヶ月位しか経っていないはずなのにもう随分と前のことに感じながらイリア様にその時の話をし始めたのだった。
領主の館に一人残ったあたしはご機嫌なイリア様に連れられ部屋に案内された。
「わぁ、素敵なお部屋ですね!」
これぞまさに貴族!といった感じの豪華な部屋にあたしは思わず声を上げた。
「あら、ありがとうミリーナさん!ですが、あなたのお部屋も似たような感じなのではなくて?インスパイア家といえば貴族でも有名な家系ですもの」
「いえ、そのようなことは無いです。少なくとも私の部屋は私がそういうのに疎くて殺風景でした」
あたしも一応貴族ではあるけど、あんまり部屋に物を置くとか興味なかったので殺風景なのよね。
お父様もお母様も妹もあたし程ではないが、そこまで豪華なものを部屋に置く感じではない。
流石に商談で使う部屋は相手に舐められないように整えてはいたけど。
というか、イリア様もあたしがインスパイア家の人間だということを認識してらしたんだ。
名前は名乗ったが家の事は全く触れていなかったので気づいていないかと思ってたわ。
「あら、そうなんですの?意外ですわね」
イリア様が不思議そうにおっしゃる。
「あはははは、よく言われます」
あたしは笑いながら答える。
そうなのだ。騎士学校に通っていた時も商人として有名な家だったので似たようなことはよく言われたのだ。
幸いにもいじめとかは無かったが、自分とは関係のないところで一目を置かれてしまっていたので慣れるまで大変だったのを覚えている。
「さて、お茶でもお飲みになってお話でもしましょうか」
イリア様があたしが余り触れてほしく無いことを感じ取ったのか話題を変えてくださる。
そういうとイリア様がメイドを呼び、お茶とお茶うけをお願いした。
「ありがとうございます。はい、私などでよろしければ是非」
イリア様のご配慮に感謝の言葉を述べるあたし。
できることなら少し仮眠を取りたかったけど、護衛なので仕方がないと割り切る。
ゼーラの街に来るまでの間は野宿だったし、久々の宿でも今回の件で少ししか寝れなかったので眠いと感じてしまうのは仕方がないわよね。
「ミリーナさんはどのようにして勲章を受けるに至ったのですか?」
イリア様が一番話題にしやすい内容をお聞きになった。
「はい。あれは騎士学校の授業の一環で先輩騎士とヤムイ村に行く時のことでした・・・」
流石に王城での話は出来ないが、ヤムイ村の話ならしても良いだろう。
あたしはまだ1ヶ月位しか経っていないはずなのにもう随分と前のことに感じながらイリア様にその時の話をし始めたのだった。
11
お気に入りに追加
138
あなたにおすすめの小説
喜んだらレベルとステータス引き継いで最初から~あなたの異世界召喚物語~
中島健一
ファンタジー
[ルールその1]喜んだら最初に召喚されたところまで戻る
[ルールその2]レベルとステータス、習得したスキル・魔法、アイテムは引き継いだ状態で戻る
[ルールその3]一度経験した喜びをもう一度経験しても戻ることはない
17歳高校生の南野ハルは突然、異世界へと召喚されてしまった。
剣と魔法のファンタジーが広がる世界
そこで懸命に生きようとするも喜びを満たすことで、初めに召喚された場所に戻ってしまう…レベルとステータスはそのままに
そんな中、敵対する勢力の魔の手がハルを襲う。力を持たなかったハルは次第に魔法やスキルを習得しレベルを上げ始める。初めは倒せなかった相手を前回の世界線で得た知識と魔法で倒していく。
すると世界は新たな顔を覗かせる。
この世界は何なのか、何故ステータスウィンドウがあるのか、何故自分は喜ぶと戻ってしまうのか、神ディータとは、或いは自分自身とは何者なのか。
これは主人公、南野ハルが自分自身を見つけ、どうすれば人は成長していくのか、どうすれば今の自分を越えることができるのかを学んでいく物語である。
なろうとカクヨムでも掲載してまぁす
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
転生の果てに
北丘 淳士
ファンタジー
先天性の障害を持つ本条司は、闘病空しく命を落としてしまう。
だが転生した先で新しい能力を手に入れ、その力で常人を逸した働きを見せ始める。
果たして彼が手に入れた力とは。そしてなぜ、その力を手に入れたのか。
少しミステリ要素も絡んだ、王道転生ファンタジー開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる