戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石

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第86話 事情④

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「どうぞこちらでお待ちください」

ルマイルに案内され、応接室の中に入るルークとミリーナ。

それを確認したルマイルが頭を下げ、部屋を後にする。

「流石に王城の控え室とまではいかないけど、綺麗な部屋ね」

「そうだな。手入れも行き届いている」

部屋の中には人はいないがどの程度声が漏れるかも分からないので小声でやり取りをする二人。

「ひとまず、座るか」

ルークが率先してソファに座ると、ミリーナも続く。

「ふかふかね!」

沈む沈む。このソファは王城で座ったものと同レベルのようだ。

(いつか自分の家を持ったらこのソファ欲しいな)

そんなことを思いながら、しばらく待っていると段々と眠くなるミリーナ。

実際、真夜中に起きてからイリアが目覚めるまでの間眠れなかったので睡眠不足ではある。

ミリーナが隣のルークを見るとこちらはしっかりと起きているのが分かりしゃんとしようとする。

「寝てていいぞ。あんまり眠れなかったし休めるときに休んでおいた方がいい」

ルークの甘い言葉に従いたくなるがミリーナは首を思いっきり振り、目を覚まさせようとしながら答える。

「いやいや、ルークだって疲れているでしょう!あたしだけ寝るなんてできないわ」

「そうか?無理はするなよ。まだミリーナはこういった場慣れをしていないから俺よりも疲労の色が濃いだろうからな」

「ありがとう」

ミリーナはルークにそういうと、ソファから立上り、応接室の中を歩き出した。

少しでも目を覚まそうとしているのだろう。

それからしばらくした後、ルークがミリーナを呼ぶ。

「ミリーナ。そろそろ来るぞ」

「分かったわ」

ルークの言葉にミリーナが先ほど座っていたソファに戻る。

(あたしには全く分からないのにルークは何故この部屋に近づいている人が分かるのかしら)

ミリーナがそう考えたとき、部屋のドアがノックされる。

コンコンコン

「どうぞ」

「失礼。待たせてしまったね」

そういって入ってきたのは40代前半位の男性であった。

後ろには着替えてきたのであろう。イリアの姿もある。

「お気になさらないでください。私は近衛騎士所属第二部隊特別班班長ミリーナ・インスパイア一級騎士と申します。こちらはルークです」

ミリーナの名乗りに合わせてルークは頷く。

「これは丁寧にありがとう。話はイリアから聞いているよ。私はケビン・ゼーラ・ハミリアン。この街の領主をやらせて頂いている。イリアから聞いたかもしれないが、君の勲章授与式には是非とも行って見たかったよ」

「光栄です」

ケビンの言葉に畏まるミリーナ。

「さて、イリア。早速だが、連れ去られた時の状況を教えてくれるかい?」

ケビンが挨拶もそこそこにイリアが連れ去られた時の状況を尋ね始めた。
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