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第73話 雑談

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「・・・実は、あの掲示板とお前に会った時点で確信しているのだがやはり聞いておきたくてな」

エルザードが遠慮がちに話し始める。

「ん。ああ・・・ご令妹は無事ですよ」

ルークはエルザードの聞きたいことを察して話す。

「そうか。ありがとうルーク」

明らかにほっとした様子のエルザードがルークにお礼を言う。

「いえ、別に俺は何もしてませんよ」

「お前が騒動に参戦した時点で敵にとっては最悪へ、味方にとっては最善に向かうのは分かっている」

エルザードが断定する。

「・・・買いかぶり過ぎです」

「本当にお前は自己評価が低いな。まあいい。とにかく礼を言う」

エルザードが呆れた様子でそう言う。

「・・・どうも」

ルークも長年関わりのあるエルザードに言われるとそういうのが精一杯であった。

「後のことは話せないことばかりだろうから聞かないが何か私が知っておかないといけないことは無いか?」

エルザードは一体どこまで把握しているのかルークにそう尋ねる。

「どこの国か分かりませんがこの国にちょっかいをかけてきているところがあるかもしれません。流石に北のジークムント王国はないとは思いますが」

「なるほど。ヤムイ村の一件と今回の騒動を絡めて考えているのだな?」

「!?」

エルザードの言葉にルークは珍しく動揺する。

その様子をさも楽しそうに笑いながら、

「ふふふ、何を驚いている?私の情報網を甘く見るなよ?」

「・・・そうでしたね。とにかく他の支部にも注意を促したほうが良いかもしれません」

ルークが気を取り直し、そう進言する。

「ああ、分かった」

エルザードがあっさりと了承する。

(この人の事だから既に手は打ってあるかもしれないな)

ルークは残っていたお茶を飲み干すと立ち上がった。

「なんだ?もう行くのか?」

エルザードが残念そうに言う。

「ええ。そろそろ王城の方から声かけがあるでしょうからね。私は失礼します。お茶美味しかったです」

「そうか。達者でな。また落ち着いたら雑談でもしよう」

エルザードも立ち上がりルークを見送る。

「ありがとうございます。では」

そう言うとルークが出ていった。

それに入れ違うように部下がノックをしてから入って来たのでエルザードが部下に尋ねる。

「何事だ?」

「はっ。国王より、王城に参られよとの指示がありました!」

「分かった。すぐに行く」

(ルークめ、やはりあいつは剣よりも頭脳の方が優れているんじゃないか?)

ルークの予想通りの展開になったことを見て、エルザードは支度をしながら昔から何度か思っていたことをまた思う。

(やつが国の中枢に行く未来もあり得るかもな)

エルザードは突拍子のない思いつきに、自分でもおかしく思った。

(それなら、中々楽しいだろうな)
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