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第67話 『剣鬼』

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無事に勲章を授与されたあたしは先輩騎士たちと軽い挨拶をした後再び控え室にて待機していた。

「あー、あたしってば何してるんだろうっっ」

時間ができたことで思い出されるのはあの男の人・・・ルークさんにあたしが抱きついてしまったことだ。

恥ずかしくて堪らない。

幸運にも?あたしが戦いの恐怖からあのような行動をしたとルークさんは勘違いしていたようで頭まで撫でられてしまった。

まだ頭に手を置かれた感触が残っている。

少なくともあたしは恐怖からルークさんに抱きついた訳では無いということははっきりしている。

しかし、何でだったのかを考えても自分でもはっきりとは分からなかった。

「ルークさんの無事な姿を見たらついあんな行動をしちゃったのよね。。。」

そんなふうに色々考えているといつの間にか時間が経っていたのか扉がノックされる。

コンコンコン

「ミリーナ君、私だ。メリッサだ。入っても構わないか?」

「はい!どうぞお入りください!」

あたしは気持ちを切り替えて訪ねてきたメリッサ様を中にお通しする。

メリッサ様はソファに座りながら話出した。

「すまないね。ミリーナ君。疲れている中待たせてしまって」

「いえ、メリッサ様こそお忙しい中お声がけくださりありがとうございます」

あたしがこの部屋で待機していたのはメリッサ様に勲章授与式の後に残っていてほしいと頼まれたからなのだ。

「ありがとう。早速だが本題に入らせて貰うとしよう」

メリッサ様があたしの目を見る。

あたしは自然と居住まいを正す。

「ミリーナ君。先日病院で話した時には君が望むのならばと言ったが、是非とも近衛騎士所属第二部隊に入って欲しいのだがどうだろうか?」

正直、この問いかけは予想していた。

「はい!よろしくお願い致します!!」

あたしは素直に入団の意思を示した。

「そうか。それは良かった!歓迎するよ、ミリーナ君」

メリッサ様は立ち上がり右手を差し出す。

あたしも立ち上がり両手でメリッサ様の右手をとる。

「若輩者ですが、何卒よろしくお願い致します!」

「ああ、こちらこそ頼む。期待しているよ」

挨拶が済むと、二人はソファに座り直した。

あたしは、良い機会なので気になっていたことを聞いてみることにした。

「あの、お聞きしたいことがあるのですか?」

「ん?なんだ??騎士団の待遇のことか?」

「それはそれで気にはなりますが、お聞きしたいのはルークさんのことです。国王様が『剣鬼』と呼んでましたが名の知れた方なのですか?あれだけの実力者なので知られていて当然とは思いますが」

「その件か・・・。ミリーナ君ももう騎士学生でもないので近衛騎士に入ってから色々な噂を聞くことになるが、その前に私から話してもいいか」

メリッサ様はそのように前置きをしてから『剣鬼』について話し始めた。
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