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第48話 出発
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いよいよ勲章授与式の当日になった。
雲一つない快晴である。
アリスが寮の入口まで見送りに来てくれていた。
「最後の朝くらい、あたしが食事を作りたかったんだけどなぁ」
「ふふふ、私の勝ちだね!」
アリスがニコリと笑う。
「次会う時はあたしが食事を作るからね」
「うん。楽しみにしてるね」
「何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってね。アリスのためならどこまでだって駆けつけるから」
「ありがとう!とっても心強いわ。その時は遠慮なく連絡するね!」
「よろしく!」
あたしが右手の拳を握るとアリスも同様に拳を握る。
「じゅあ、またね」
「うん。またね」
さよならという言葉は嫌いなので、またねと言う。
二人して別れの挨拶をした後、お互いの拳を軽くぶつけ合った。
アリスと別れた後、あたしは正門ではなく裏門の方へ向かう。
本当はアリスは門までお見送りをしたがっていたが人だかりができて満足に話せない可能性があったのであたしが断ったのだ。
「よし、裏門には誰もいないわね」
あたしは門の周りに誰もいないことを確認すると素早く向かう。
「ミリーナさん」
「!?」
誰もいないと思っていたら、声をかけられ、驚くあたし。
振り返ると、校長先生と担任のルイーダ先生が視界に入った。
「校長先生、ルイーダ先生。どうしてここに?」
「ふふふ、ミリーナさんならきっと裏門から出ていくに違いないとルイーダ先生がおっしゃるから二人して待ってたのですよ」
「そう・・・でしたか」
ルイーダ先生を見るといつもの無表情だが何となくどや顔をしているように見える。
「短い間でしたがお世話になりました」
あたしは気持ちを切り替えて、お礼の言葉を二人に言った。
「いえいえ。私たちの方こそあなたのような優秀な生徒に恵まれて嬉しい限りです。こちらこそありがとう」
校長先生の言葉に合わせて、同意見だとでもいうようにルイーダ先生が頷く。
「ありがとうございます!では、失礼致します」
あたしは、そう言って出発しようとしたが、思いがけず校長先生に呼び止められる。
はて?他に何かあるんだろうか。
あたしが不思議に思っていると、校長先生があたしの近くまで来て、声を潜めて衝撃的なことをおっしゃった。
「ミリーナさん。今回の授与式だけど、どこか違和感を感じるから重々気を付けてください」
「え!?」
思わず大きな声を出したあたしに校長先生が声を潜めるような仕草をし、続ける。
「私も王都の騎士学校の校長という身の上なので、いつも勲章授与式の際には参列のために王城に呼ばれるのですが、今回に限って呼ばれなかったのです。それだけなら違和感は感じないのですが、わざわざ招待できないというお詫びの手紙が届いたので気になったのです」
校長先生が件の手紙をあたしに渡す。
中身を読んでみると校長先生がおっしゃるように今回招待できないという趣旨の文が書いてあった。
要約すると、歴史的快挙の今回の勲章授与式は今まで以上の盛り上りが予想されるため混乱を避けるためにもできる限り参列者を少なくすることになりましたのでご理解くださいといった感じであった。
「理由としては分からなくはないので私の考えすぎかもしれませんが当事者のミリーナさんには伝えておいた方が良いと思いまして」
「・・・確かに違和感を感じますね。お教えくださりありがとうございます。この手紙は頂いてもよろしいですか?」
「ええ。念のため写しは作ってあるからそれは持って行って構いませんよ。くれぐれも気を付けてください」
校長先生の言葉に頷き、改めて感謝の気持ちを込めて校長先生とルイーダ先生に深くお辞儀した後、騎士学校の外に向かって出発するのだった。
雲一つない快晴である。
アリスが寮の入口まで見送りに来てくれていた。
「最後の朝くらい、あたしが食事を作りたかったんだけどなぁ」
「ふふふ、私の勝ちだね!」
アリスがニコリと笑う。
「次会う時はあたしが食事を作るからね」
「うん。楽しみにしてるね」
「何か困ったことがあったら、遠慮なく言ってね。アリスのためならどこまでだって駆けつけるから」
「ありがとう!とっても心強いわ。その時は遠慮なく連絡するね!」
「よろしく!」
あたしが右手の拳を握るとアリスも同様に拳を握る。
「じゅあ、またね」
「うん。またね」
さよならという言葉は嫌いなので、またねと言う。
二人して別れの挨拶をした後、お互いの拳を軽くぶつけ合った。
アリスと別れた後、あたしは正門ではなく裏門の方へ向かう。
本当はアリスは門までお見送りをしたがっていたが人だかりができて満足に話せない可能性があったのであたしが断ったのだ。
「よし、裏門には誰もいないわね」
あたしは門の周りに誰もいないことを確認すると素早く向かう。
「ミリーナさん」
「!?」
誰もいないと思っていたら、声をかけられ、驚くあたし。
振り返ると、校長先生と担任のルイーダ先生が視界に入った。
「校長先生、ルイーダ先生。どうしてここに?」
「ふふふ、ミリーナさんならきっと裏門から出ていくに違いないとルイーダ先生がおっしゃるから二人して待ってたのですよ」
「そう・・・でしたか」
ルイーダ先生を見るといつもの無表情だが何となくどや顔をしているように見える。
「短い間でしたがお世話になりました」
あたしは気持ちを切り替えて、お礼の言葉を二人に言った。
「いえいえ。私たちの方こそあなたのような優秀な生徒に恵まれて嬉しい限りです。こちらこそありがとう」
校長先生の言葉に合わせて、同意見だとでもいうようにルイーダ先生が頷く。
「ありがとうございます!では、失礼致します」
あたしは、そう言って出発しようとしたが、思いがけず校長先生に呼び止められる。
はて?他に何かあるんだろうか。
あたしが不思議に思っていると、校長先生があたしの近くまで来て、声を潜めて衝撃的なことをおっしゃった。
「ミリーナさん。今回の授与式だけど、どこか違和感を感じるから重々気を付けてください」
「え!?」
思わず大きな声を出したあたしに校長先生が声を潜めるような仕草をし、続ける。
「私も王都の騎士学校の校長という身の上なので、いつも勲章授与式の際には参列のために王城に呼ばれるのですが、今回に限って呼ばれなかったのです。それだけなら違和感は感じないのですが、わざわざ招待できないというお詫びの手紙が届いたので気になったのです」
校長先生が件の手紙をあたしに渡す。
中身を読んでみると校長先生がおっしゃるように今回招待できないという趣旨の文が書いてあった。
要約すると、歴史的快挙の今回の勲章授与式は今まで以上の盛り上りが予想されるため混乱を避けるためにもできる限り参列者を少なくすることになりましたのでご理解くださいといった感じであった。
「理由としては分からなくはないので私の考えすぎかもしれませんが当事者のミリーナさんには伝えておいた方が良いと思いまして」
「・・・確かに違和感を感じますね。お教えくださりありがとうございます。この手紙は頂いてもよろしいですか?」
「ええ。念のため写しは作ってあるからそれは持って行って構いませんよ。くれぐれも気を付けてください」
校長先生の言葉に頷き、改めて感謝の気持ちを込めて校長先生とルイーダ先生に深くお辞儀した後、騎士学校の外に向かって出発するのだった。
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