46 / 354
第46話 色付きの騎士
しおりを挟む
セインツ王国における近衛騎士所属の部隊は全部で3部隊で形成されている。
近衛騎士とはいうものの第二部隊や第三部隊は王国に仇なす脅威に対しての対応がメインであり、本当の意味での近衛騎士は第一部隊だけとなる。
第一部隊は文武、性格面全てにおいて秀でたものが入れる近衛騎士団の中でも特に選りすぐりの騎士のみが所属できる部隊である。
部隊とはいうものの、総勢5人の騎士しかおらず、全員それぞれ別の色の鎧を着ていることが特徴としてあげられる。
隊長が赤、続いて橙、緑、藍、紫の順で強さに応じて等級が分けられている。
彼ら彼女ら第一部隊は別名『色付きの騎士』と呼ばれており、ほとんどの近衛騎士がこの『色付き』に憧れ、そうなることを目指している。
今、謁見の間にて国王と第一部隊隊長が会話をしていた。
「勲章授与式まであと数日か、楽しみよなぁ」
国王エドガード・マイヤー・セインツがいつものようにそばに控える鎧の上からでも分かる筋骨隆々の男・・・レギアス・バドラーに聞こえるように呟く。
その他の第一部隊メンバーは黙って二人の会話を聞いている。
「はっ、同感にございます。ですが・・・」
「おっと、それ以上はもう言うなよ。延期などせぬぞ」
レギアスの言葉を途中で遮り、国王エドガードが否定をする。
「ですが、今回は危険です」
「危険がなんだ、我が身可愛さに全国民が待ち望んでいる授与式を延期などできるものか。それに何があろうともお主たちが何とかしてくれると信じておる」
「・・・畏まりました」
国王にそう言われてしまうとこれ以上は何も言えない。
大人しく言葉を引っ込めるレギアス。
(今回は今までとは異なり何かがおかしい。敵が内部なのか外部なのかも不透明だ。究明しようにも我らが国王の側を離れる訳にもいかぬし・・・)
レギアスは内心焦っていたがどうにもならぬことに更に焦りが増していた。
(仕方がない、後でメリッサに協力を仰ごう)
レギアスは第ニ部隊隊長のメリッサ・カイザスに相談しようと考えたがそれが実行に移されることはなかった。
「なんだと?今から西軍支部に遠征だと?」
メリッサが先程届けられた指令書を見て疑問の声を上げる。
「今からですか?」
側に控える副隊長がメリッサの声に反応する。
「ああ。先日の一件について聞き込みの要請だ。しかも道中の町の視察も兼ねて行うようにとの指示だ」
「そうすると人手が必要ですね。そして勲章授与式には間に合わない」
「その通りだ。西軍支部となると私が行かないという選択肢は取れない」
「授与式のときの警護はどうするのですか?」
「・・・第一部隊と第三部隊で行うそうだ」
副隊長に答えながらもメリッサは訝しむ。
(指令書は間違いなく本物だ。だが何故このタイミングなんだ?私のやり方に今まで口を挟んでくることもなかったことも含めて考えると明らかに異常だ)
「すぐに準備をしろ!終了次第出発する!」
「はっ!」
(私が取れる行動は可能な限り速やかに任務を遂行し授与式に戻ってくるということだけだ)
結局、レギアスとメリッサは顔を合わせることもなく、第二部隊は王都の外に出発するのだった。
近衛騎士とはいうものの第二部隊や第三部隊は王国に仇なす脅威に対しての対応がメインであり、本当の意味での近衛騎士は第一部隊だけとなる。
第一部隊は文武、性格面全てにおいて秀でたものが入れる近衛騎士団の中でも特に選りすぐりの騎士のみが所属できる部隊である。
部隊とはいうものの、総勢5人の騎士しかおらず、全員それぞれ別の色の鎧を着ていることが特徴としてあげられる。
隊長が赤、続いて橙、緑、藍、紫の順で強さに応じて等級が分けられている。
彼ら彼女ら第一部隊は別名『色付きの騎士』と呼ばれており、ほとんどの近衛騎士がこの『色付き』に憧れ、そうなることを目指している。
今、謁見の間にて国王と第一部隊隊長が会話をしていた。
「勲章授与式まであと数日か、楽しみよなぁ」
国王エドガード・マイヤー・セインツがいつものようにそばに控える鎧の上からでも分かる筋骨隆々の男・・・レギアス・バドラーに聞こえるように呟く。
その他の第一部隊メンバーは黙って二人の会話を聞いている。
「はっ、同感にございます。ですが・・・」
「おっと、それ以上はもう言うなよ。延期などせぬぞ」
レギアスの言葉を途中で遮り、国王エドガードが否定をする。
「ですが、今回は危険です」
「危険がなんだ、我が身可愛さに全国民が待ち望んでいる授与式を延期などできるものか。それに何があろうともお主たちが何とかしてくれると信じておる」
「・・・畏まりました」
国王にそう言われてしまうとこれ以上は何も言えない。
大人しく言葉を引っ込めるレギアス。
(今回は今までとは異なり何かがおかしい。敵が内部なのか外部なのかも不透明だ。究明しようにも我らが国王の側を離れる訳にもいかぬし・・・)
レギアスは内心焦っていたがどうにもならぬことに更に焦りが増していた。
(仕方がない、後でメリッサに協力を仰ごう)
レギアスは第ニ部隊隊長のメリッサ・カイザスに相談しようと考えたがそれが実行に移されることはなかった。
「なんだと?今から西軍支部に遠征だと?」
メリッサが先程届けられた指令書を見て疑問の声を上げる。
「今からですか?」
側に控える副隊長がメリッサの声に反応する。
「ああ。先日の一件について聞き込みの要請だ。しかも道中の町の視察も兼ねて行うようにとの指示だ」
「そうすると人手が必要ですね。そして勲章授与式には間に合わない」
「その通りだ。西軍支部となると私が行かないという選択肢は取れない」
「授与式のときの警護はどうするのですか?」
「・・・第一部隊と第三部隊で行うそうだ」
副隊長に答えながらもメリッサは訝しむ。
(指令書は間違いなく本物だ。だが何故このタイミングなんだ?私のやり方に今まで口を挟んでくることもなかったことも含めて考えると明らかに異常だ)
「すぐに準備をしろ!終了次第出発する!」
「はっ!」
(私が取れる行動は可能な限り速やかに任務を遂行し授与式に戻ってくるということだけだ)
結局、レギアスとメリッサは顔を合わせることもなく、第二部隊は王都の外に出発するのだった。
11
お気に入りに追加
141
あなたにおすすめの小説

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる