戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

第41話 緊急の知らせ

「採掘場はこっちじゃ」

あの後、ルークはゲインに案内されて鉄が取れる採掘場所に向かって案内されていた。

「自分の剣の素材がどんな場所で取れるのかを見るのも良い経験になるはずじゃ」とは、ゲインの言である。

ルークも一理あると思い、付いていくことにした。

「あと数分で着くぞ」

ゲインがそういった瞬間だった。

ガラガラガラガラ

辺りを突然大きな音が支配した。

「なんだ！」

「採掘場の方だぞ！！」

周りが騒然となる。

「ゲイン様！」

ルーク達が向かっていた先から急いで駈けてくる男がゲインの姿を見つけて立ち止まった。

「良かった！近くにいらしたんですね！」

「何事じゃ！？オクト！」

緊急であると感じ取ったゲインが知らせに来た男・・・オクトに状況を尋ねる。

後で聞いた話だとゲインとオクトは採掘した鉄のやり取りを専属で行っている仕事仲間だったそうだ。

「カイゼルが突然の崩落で生き埋めになってしまったんです！！」

「なんじゃと！！」

「！？カイゼルが・・・」

ゲインだけでなくルークも驚く、まさか昨日一緒に飲み明かしたカイゼルが生き埋めになるとは。

それを聞いたゲインの判断は早かった。

「オクト！お主は町の騎士達に伝えにいき、事情を話せ！ルーク！悪いが付いてきてくれ！！」

「はい！行って参ります！！」

「もちろんだ！」

ゲインの指示に従い、皆が走り出す。

「あそこじゃ！」

採掘場には大きな砂煙が舞い上がっていた。

「「「ゲインさん！！」」」

採掘場に集まっていた男衆がゲインの登場に声を揃える。

チラホラとルークが昨日見た顔もいた。

昨日宿屋の食堂にいたのはカイゼル含め、ほとんどが採掘者だったのだろう。

「状況は！」

ゲインが声を張り上げる。

「採掘から戻ってくる途中で突然カイゼルさんが俺達を採掘場の外まで投げ始めていきなり何するんだと言おうとした途端大きな音がしてあのでかい岩が入り口を塞いでしまったんです」

「なるほどのぉ、流石カイゼルじゃ。異変の予兆を感じ取って皆を逃したんじゃな」

異変を感じ取る感覚、すぐに行動に移す判断力、人を投げる膂力。どれをとっても人間技じゃない。

状況を把握している間に砂煙が晴れてくる。

現れたのはルークの2倍はありそうな大きな岩だ。

岩の上には様々なサイズの石や岩が乗っており、下手に一番下の大きな岩をどかしてもすぐに上の石や岩が入り口を塞いでしまうだろう。

「参ったな、これじゃあどうにかしている間にカイゼルのやつが窒息死してしまうぞ」

ゲインが予想以上に悪い状況に焦りだす。

ルークは岩をじっと見たあと、手で軽く叩いたりし、様子を見始めた。

「おい！何している！再度崩落したらどうしてくれるんだ！！」

周りの男の一人がルークに向かって怒鳴るがゲインがそれを止める。

「まて、あれくらいじゃ再崩落は起きん。黙って見ていろ」

ゲインはルークなら何とか出来るのではと思い、声をかける。

「どうじゃ？もしかしたら何とかなるのか？」

色々調べ終わったルークはゲインのところに戻り、こう言った。

「ええ。任せて頂けるのであれば」