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第12話 防衛戦①

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走る速度を上げたおかげで先を走る騎士の先輩達の後ろ姿が見えてきた。

「先輩!」

あたしは声をかけると横並びになるくらいの位置まで移動する。

「!?馬鹿っ!何故ついてきた!?」

「私も未だ騎士未満とは言え、ここで黙って村が襲われるのを見過ごしていたら一生後悔すると思うと体が勝手に反応してました」

今更引き返す気は毛頭ない。

あたしは素直な気持ちを先輩方に伝える。

「・・・応援は?」

一瞬、葛藤したあと別のことを訪ねてくる。

「他の子達と言うかアリスに頼んできました」

「そうか、分かった。・・・それにしてもお前さんのところの他の同級生の2人は何とかならんのかね?」

仮にもって考えちゃうけど、あれでも中級貴族の子ども達だ、面と向かって言ったら大変なことになるが極度の緊張を少し緩めるためだろう先輩がそんなことを言う。

「どうにもなりませんね。学校側も体面だけの受け入れなんてやめてしまえばいいのに」

「はっはっはっ、そりゃいい。真面目な騎士学生だけになれば俺たちも苦労しなくていい。なぁ?」

「違いない、全くもってその通りだな」

あたしたち3人は同時に笑いあった。





「よし、そろそろ到着するな。作戦はこうだ」

遠くで聞こえていた怒号や悲鳴が今やはっきりと聞こえてくる。

あたしたちは走りながら会話する。

「村の皆は平地側の集会場に集まっているはずだ。そういう訓練を何度かしているからだ」

先輩はあたしの疑問に思うことまで先んじて話す。

「なので、ここを死守する」

「分かった」

「畏まりました」

集会場にいないものは見捨てるのか?と思わず言いそうになったがぎりぎりのところで言うのを留める。

2人ともほかまで手が回らないことをよく分かっているのだ。

やれることをやるしかない。

やれる範囲でやるしかない。

大勢を助けたいなら、一刻も早く制圧して他のところに駆けつける他ない。

「よし、俺たちは山側、学生・・・確かミリーナだったな。ミリーナは平地側を頼む」

「分かった」

「承りました」

襲撃者の多くは山側から攻めているのだろう。

その方が攻めやすいからだ。

少しでもまだ学生のあたしに負担をかけないようなそんなせめてもの配慮だろう。

よし、行くか。

「私はここで集会場の反対側に回ります!」

「「よろしく頼む!・・・生きろよ」」

先輩方が声を揃えて言う。

「はい!先輩方もご無事で!!」

あたしたちは頷き合うと、あたしだけ別の道に進み始める。

さぁ、気張れよあたし!

自分にそう活をいれ、過去にない本当の戦いに向かってその恐怖を振り切るかのように加速したのだった。
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