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第4話 墓参り 

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タバサの家を出たルークは気を抜くと気持ちが沈みきってしまうのを何とか堪え、フラフラと歩き出す。

当然、行く宛などない。

二十年前とはまるっきり変わってしまった町並みを焦点のあっていない目で眺めながら歩いていく。

そうして十数分経った後、以前と変わらない場所に辿り着いた。

「・・・墓地か」

何十年も前から存在しているため、墓標の数は多く、数えきれない。

ルークは墓標の文字を眺めながら進んでいき、しばらくすると、見慣れた名前が目に入った。

「父さん、母さん」

それは両親の墓であった。

名前の他に、

『勇敢なる夫婦、息子と共にここに眠る』

という言葉が刻まれていた。

ルークはふと隣の墓標をみると、自分の名前が刻まれていることに気づいた。

日付をみると、タバサがいった通り17年前になっている。

そのことを理解した途端、

「ちくしょー!何で俺がこんな目に会わなきゃならねぇんだーーー!!!」

ルークは広大な墓地中に響き渡るくらい大きな声で涙を流しながら叫び続けた。








「・・・父さん、母さん、ただいま。俺は何とか生きて帰れたよ。正直、このまま死んでしまいたいけどそうしたら向こうで二人が怒るのは目に見えてるから、とりあえず生きてみるよ」

ひとしきり叫んだ後、ルークは枯れ果てた声でを両親に向けて心中を語る。

「じゃあ、また来るよ。今度は花を持ってくる」

そう言い捨て、ルークは墓地を後にした。






何もする気が起きない。

ルークは空き地の草原に寝転がり、空をただただ眺める。

何時間こうしていただろう。

呆然としながらも頭の中では先程タバサが話してくれた内容を何度も思い出し、繰り返し悲しんでいた。

きっかけは何だったか、ふとした瞬間、タバサのある言葉にルークの意識が集中する。

『あんたの母親も、もちろん父親もだがあんたが死んだと聞いてみるみる元気が無くなっていったよ。だけど、不可解な事が多かったからね。あんたの両親は、真相を明らかにすることに熱中することで表面上は元気になれたんだ』

(不可解な事?)
               
(決まっている。俺が死亡したという報告だ)

(真相を明らかにする?)

(決まっている。誰が何の目的で俺を死亡扱いにしたかだ)

段々と考えがまとまっていく。

「まだ、俺のやることが残っていた」

ルークはそう呟くと、ゆっくりと立ち上がった。

「もう一度行かなきゃならない。軍に」

先程よりもしっかりした足取りで今日まで来た長い道のりを今度は逆方向に歩き出したのだった。
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