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第77話
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「!?」
何が起きたのかわからず、一瞬思考が止まった。
目の前をゆっくりとレベンが通過する
ドサァ
「へっ・・・平気!?」
レベンが地面に叩きつけられる音を聞いてようやく我に返った。
「・・・ごほっ」
レベンは一度だけ口から血を吐きだし、そのまま動かなくなった。
あたしは駆け寄りたい衝動を必死に押さえ、怪物に背を向けないようにする。
「少し待ってなさい・・・すぐに片をつけるから」
レベンに向かって言いつつ、考える。
一体こいつは何をしたのかしら?いくら油断していたとはいえ、レベンが手傷を負うなんて考えられないわ。
そんなことを考えているうちに今までじっとしていた怪物に変化がおとずれた。
「嘘・・・でしょう」
思わず口から言葉が出ていた。
信じられないことにやっとの思いで斬った腕が、再生したのだ。
ご丁寧に刺まで再生している。
しかもより一層数が増していた。
気になって横を向くと先程斬った腕は普通に地面の上にあった。
・・・気味悪いわね。トカゲの尻尾みたい・・・。
オオオオオ!
突然、完全に身体が再生した怪物が声を上げた。
・・・すごい気迫だわ。
「はぁぁぁぁっ!」
あたしも負けじと声を上げる。
気負ったら、死ぬ。
あたしはかつてなく緊張し、怒っていた。
声を上げたあと、互いに睨み合った
。数秒後、急に怪物が掻き消える。
と、同時に後ろから気配があらわれる。
ワンパターンね。
振り向きざまに剣を一閃させた。
しかし、あたしの攻撃は虚しく空を斬る。
「!?」
根拠はなかったが、とっさに後ろに跳躍した。
ブシュウ
勢い良く血が吹き出る。
左肩をやられた!でも一体どうやって・・・。あたしは愕然とした。
幸い傷はそこまで深くなさそうね。
「・・・通りでレベンが簡単に攻撃を食らうわけだわ」
ポツリと呟く。
(平気か!?)
緊迫した『審査するもの』の“声”。
(平気、傷は浅いわ。それよりもあいつがあたしに何やったのかわかった?)
(ああ。あいつはあの時、二回空間を移動したのだ)
(・・・なるほど。わかったわ、ありがとう)
厄介なことになったわ。
どうやらあの技の一番上手い使い方に気づいちゃったみたいね。
これであいつの攻撃パターンは無限に等しくなっちゃったわね。
しかも、装甲も復活しちゃったし・・・これはマジでやばいかも。
そういえばスターリンの方はどうなのかしら。
そう思い、目をやるとありえない光景が目に入った。
・・・普通に殴りあっているわ。
そうなのだ。
スターリンは怪物の刺のことなど気にせずに打撃を重ねていた。
不思議なことに殴っても殴られていても血が一滴も出ていないのだ。
恐ろしいものを見ちゃった・・・。
首を激しく振り、今見た光景を忘れようとする。
いけない、今はこいつに集中しないと。
怪物は攻撃の段取りを考えているのか、じっとしている。
「レベン!」
「・・・」
急に後ろから声が聞こえた。あの声は。
「リリヤなの!?」
まだじっとしているとはいえ、さすがにこいつに背を向けるわけにもいかず、声だけをあげる。
「ええ、そうよ!」
「助かったわ。緊急事態なの、何も聞かずにレベンを医者の所へ」
「・・・わかったわ」
さすがリリヤ、すぐにあたしの言うことを聞いてくれた。
後ろでリリヤとレベンが遠ざかるのが気配でわかる。
「これで思う存分あんたを倒せるわ。覚悟しなさいよ」
あたしが睨み付けると怪物が2、3歩下がった。
しかし、あたしはかまわず進む。
そうすると
うぉぉぉーん
自分を鼓舞するかのように咆喉し、空間を移動した。
来たわね。突然後ろに気配が出現する。
何が起きたのかわからず、一瞬思考が止まった。
目の前をゆっくりとレベンが通過する
ドサァ
「へっ・・・平気!?」
レベンが地面に叩きつけられる音を聞いてようやく我に返った。
「・・・ごほっ」
レベンは一度だけ口から血を吐きだし、そのまま動かなくなった。
あたしは駆け寄りたい衝動を必死に押さえ、怪物に背を向けないようにする。
「少し待ってなさい・・・すぐに片をつけるから」
レベンに向かって言いつつ、考える。
一体こいつは何をしたのかしら?いくら油断していたとはいえ、レベンが手傷を負うなんて考えられないわ。
そんなことを考えているうちに今までじっとしていた怪物に変化がおとずれた。
「嘘・・・でしょう」
思わず口から言葉が出ていた。
信じられないことにやっとの思いで斬った腕が、再生したのだ。
ご丁寧に刺まで再生している。
しかもより一層数が増していた。
気になって横を向くと先程斬った腕は普通に地面の上にあった。
・・・気味悪いわね。トカゲの尻尾みたい・・・。
オオオオオ!
突然、完全に身体が再生した怪物が声を上げた。
・・・すごい気迫だわ。
「はぁぁぁぁっ!」
あたしも負けじと声を上げる。
気負ったら、死ぬ。
あたしはかつてなく緊張し、怒っていた。
声を上げたあと、互いに睨み合った
。数秒後、急に怪物が掻き消える。
と、同時に後ろから気配があらわれる。
ワンパターンね。
振り向きざまに剣を一閃させた。
しかし、あたしの攻撃は虚しく空を斬る。
「!?」
根拠はなかったが、とっさに後ろに跳躍した。
ブシュウ
勢い良く血が吹き出る。
左肩をやられた!でも一体どうやって・・・。あたしは愕然とした。
幸い傷はそこまで深くなさそうね。
「・・・通りでレベンが簡単に攻撃を食らうわけだわ」
ポツリと呟く。
(平気か!?)
緊迫した『審査するもの』の“声”。
(平気、傷は浅いわ。それよりもあいつがあたしに何やったのかわかった?)
(ああ。あいつはあの時、二回空間を移動したのだ)
(・・・なるほど。わかったわ、ありがとう)
厄介なことになったわ。
どうやらあの技の一番上手い使い方に気づいちゃったみたいね。
これであいつの攻撃パターンは無限に等しくなっちゃったわね。
しかも、装甲も復活しちゃったし・・・これはマジでやばいかも。
そういえばスターリンの方はどうなのかしら。
そう思い、目をやるとありえない光景が目に入った。
・・・普通に殴りあっているわ。
そうなのだ。
スターリンは怪物の刺のことなど気にせずに打撃を重ねていた。
不思議なことに殴っても殴られていても血が一滴も出ていないのだ。
恐ろしいものを見ちゃった・・・。
首を激しく振り、今見た光景を忘れようとする。
いけない、今はこいつに集中しないと。
怪物は攻撃の段取りを考えているのか、じっとしている。
「レベン!」
「・・・」
急に後ろから声が聞こえた。あの声は。
「リリヤなの!?」
まだじっとしているとはいえ、さすがにこいつに背を向けるわけにもいかず、声だけをあげる。
「ええ、そうよ!」
「助かったわ。緊急事態なの、何も聞かずにレベンを医者の所へ」
「・・・わかったわ」
さすがリリヤ、すぐにあたしの言うことを聞いてくれた。
後ろでリリヤとレベンが遠ざかるのが気配でわかる。
「これで思う存分あんたを倒せるわ。覚悟しなさいよ」
あたしが睨み付けると怪物が2、3歩下がった。
しかし、あたしはかまわず進む。
そうすると
うぉぉぉーん
自分を鼓舞するかのように咆喉し、空間を移動した。
来たわね。突然後ろに気配が出現する。
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