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第72話
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入り口をくぐったときにまず飛び込んできたのは、物凄い異臭であった。
そして次の瞬間、
「なっ!何なのあれ・・・」
あたしは思わずつぶやいていた。
あたしの視線の先には、見たこともない生物がいた。
「・・・化け物」
それは、人間の身長の三倍もあり全身が真っ黒であった。
体の至る所から一目で硬いと分かる刺に覆われていた。
いまはあたり構わず暴れまくり、手当たり次第に攻撃を仕掛けている。
少し放心しかけていたあたしだが、ある一点の光景をみて我にかえる。
小さな子供が怪物から逃げる人々に飛ばされ、目の前に落ちたのだ。
「いけない!」
急いで駆け出すあたし。
怪物は腹立たしいことに子供に気が付き、腕を振り上げた。
このままじゃ、間に合わない。
全力疾走しているにもかかわらず縮まらない距離に歯軋りする。
ドウン!
無常にも、怪物の腕は大きな音を出して振り落とされてしまった。
「わぁぁぁぁぁ!」
あたしは大声を上げる。
よくも、許さないっ!
(落ち着け!見ろ!生きてるぞ)
『審査するもの』の言葉を聞いてよく見ると、誰かが子供を抱えて入るのが認識できた。
本当だ、生きてた!
しかし、自分の攻撃が外れたと知った怪物が再び腕を振り上げる。
ギィン!
「ふぅ、なんとか間に合ったようね」
全力疾走の甲斐あって怪物の拳を剣で受け止めることに成功した。
「マーヘンさん!」
驚いたことに子供を抱えていたのは、あたしの知った人物であった。
「サイカ!なかなかナイスな飛び出しだったわよ!」
「はい!」
気丈にも元気に返事をするサイカ。
恐かっただろうに・・・いい根性しているわ。
正面から見た怪物は口や鼻と呼べるようなものはなく、後ろから見たのとほとんど同じであった。
ただ一点を除いては・・・なんて目をしているのかしら。
何もかも見透かすような青い目、はっきり言って生理的に受け付けない。
「サイカ!その子をつれて早く逃げなさい!あたしはこいつの相手をするわ」
「は・・・はい、ご武運を」
少しためらってから、サイカが離れていくのがわかった。
「さあて、かかってらっしゃい!」
あたしの言葉が、理解できたのかもう片方の拳があたしの身体に向けて飛んできた。
ダンッ!
地面を強く蹴って後ろに下がる。
ギィィィィン
あたしが剣で受けとめていた怪物の拳とあたし目がけて飛んできた拳が互いにぶつかり合った。
ぶつかった反動で両腕が開く。
よしっ隙ができた!
正面から突っ込むあたし。
怪物は事態についていけてないのか、何の反応もできていない。
「やあっ!」
怪物の袈裟にそって振り下ろした。
ギッギィィィィン
先程とは比べものにならないほどの金属音が耳につく。
ちぃ、斬れないわ。
そして次の瞬間、
「なっ!何なのあれ・・・」
あたしは思わずつぶやいていた。
あたしの視線の先には、見たこともない生物がいた。
「・・・化け物」
それは、人間の身長の三倍もあり全身が真っ黒であった。
体の至る所から一目で硬いと分かる刺に覆われていた。
いまはあたり構わず暴れまくり、手当たり次第に攻撃を仕掛けている。
少し放心しかけていたあたしだが、ある一点の光景をみて我にかえる。
小さな子供が怪物から逃げる人々に飛ばされ、目の前に落ちたのだ。
「いけない!」
急いで駆け出すあたし。
怪物は腹立たしいことに子供に気が付き、腕を振り上げた。
このままじゃ、間に合わない。
全力疾走しているにもかかわらず縮まらない距離に歯軋りする。
ドウン!
無常にも、怪物の腕は大きな音を出して振り落とされてしまった。
「わぁぁぁぁぁ!」
あたしは大声を上げる。
よくも、許さないっ!
(落ち着け!見ろ!生きてるぞ)
『審査するもの』の言葉を聞いてよく見ると、誰かが子供を抱えて入るのが認識できた。
本当だ、生きてた!
しかし、自分の攻撃が外れたと知った怪物が再び腕を振り上げる。
ギィン!
「ふぅ、なんとか間に合ったようね」
全力疾走の甲斐あって怪物の拳を剣で受け止めることに成功した。
「マーヘンさん!」
驚いたことに子供を抱えていたのは、あたしの知った人物であった。
「サイカ!なかなかナイスな飛び出しだったわよ!」
「はい!」
気丈にも元気に返事をするサイカ。
恐かっただろうに・・・いい根性しているわ。
正面から見た怪物は口や鼻と呼べるようなものはなく、後ろから見たのとほとんど同じであった。
ただ一点を除いては・・・なんて目をしているのかしら。
何もかも見透かすような青い目、はっきり言って生理的に受け付けない。
「サイカ!その子をつれて早く逃げなさい!あたしはこいつの相手をするわ」
「は・・・はい、ご武運を」
少しためらってから、サイカが離れていくのがわかった。
「さあて、かかってらっしゃい!」
あたしの言葉が、理解できたのかもう片方の拳があたしの身体に向けて飛んできた。
ダンッ!
地面を強く蹴って後ろに下がる。
ギィィィィン
あたしが剣で受けとめていた怪物の拳とあたし目がけて飛んできた拳が互いにぶつかり合った。
ぶつかった反動で両腕が開く。
よしっ隙ができた!
正面から突っ込むあたし。
怪物は事態についていけてないのか、何の反応もできていない。
「やあっ!」
怪物の袈裟にそって振り下ろした。
ギッギィィィィン
先程とは比べものにならないほどの金属音が耳につく。
ちぃ、斬れないわ。
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