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第47話

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「ほう。この技すら避けるか。ではこれならどうかな」

「くっ、まだまだ!」

時折聞こえてくる二人の声。

今、初めて『審査するもの』は生きているという実感を持ちえたのだろう。

本当にうれしそうな顔をして自分の力を・・・できうることを一つ一つ、レベンにぶつけていく。

しかし、問題なのはこの後なのよね。

あたしたちが負けたのなら、世界が滅び、『審査するもの』も無に帰す。

そしてあたしたちがかったのなら、またもや『審査するもの』はいつものサイクルを始めるのだ。

自分中心なものの考えをするなら、『審査するもの』を問答無用で倒して世界を救うだろう。

でも・・・あたしがもし『審査するもの』だったら、同じように消えたくなる気持ちを持ったはずなのだ。

・・・やっぱりだめだ、レベンや世界を見捨てることも『審査するもの』を見捨てることもあたしにできない。

たとえこの身が滅ぼうとも、あたしが何とかしてみせる!









『・・・力をかそうか?』

突然どこからか声が聞こえてきた。

「だれ?いったい」

あたしは辺りを警戒しながら恐る恐る尋ねる。

辺りには戦っている二人以外には人の気配などない。

まさか・・・ユーレイとかじゃないわよね。

『慈悲なる心をもつものよ。我が力をかそうか?』

今度ははっきりと聞こえてきた。

頭に直接声が響いているみたいだ。

「だれ!?どこにいるの?」

『・・・我は来たるべき日のために封印されし思念体。お前のもつ箱に宿るもの』

「なんですって!」

慌てて手元を見るあたし。

さっきまで何の変哲もなかった箱が規則正しく赤く点滅していたのだ。

・・・なるほど、確かにここが『声』の発信源みたいね。

『もう一度問う。我が力汝に貸し与えようか?』

「遠慮しておくわ」

あたしの返事は簡潔なものだった。

『・・・何故だ?』

何だか気まずそうに聞いてくる。

「だって今は力で解決する場面じゃないもの」

『ふっ、何だそんなことか』

なんだか自信にあふれたものいいになったわね。

『つまるとこ、汝は奴を使命から解放してやりたいのだろう?』

「・・・そういうことになるわね」

『なら話は簡単だ』

「どういうこと?」

『それは私が奴を解放するために存在しているからだ』

「・・・話が出来すぎているわね・・・」

『そんなことを言われても本当のことなのだから仕方がない』

「なら証拠をみせなさいよ」

あたしは気力を振り絞り立ち上がり箱に向かって強い口調で話す。

あーあ、周りに人がいたら変な人だと思われちゃうわね・・・まあ、そんなことを考えている場合じゃないし、周りには死闘を繰り広げるレベンと『審査するもの』しかいないけど・・・。

『・・・驚いたな、この状態で動けるとは・・・』

箱・・・思念体らしいけど、どんな形かわからないのでこう表現するわ・・・が、あたしに今起こっていることを知っているかのようなニュアンスを含む発言をしてくる。

「やっぱり、あんたの仕業なのね!あたしが動けないのは」

『そうだ』

ぬけぬけと肯定する“箱”。

「早くあたしを動けるようにしなさいよ!」

『では選べ、我の力を借りるか、否かを』

「随分身勝手な発言ね。あんたのせいであたしは死にかかったのよ!」
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