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3 家族紹介
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わが家、曽山家の家族構成は五人。
○一家の長、多産Ω=モブ『曽山史』
つまり俺ね。
出産したのが男であっても、一般的に産んだ人間は『母』と呼ばれる。だから普通に男の俺も四人の子に母さんと呼ばれている。最初は自分がそう呼ばれることに抵抗があったけど、すぐに慣れた。
四人の子の特徴はこれ。
○中三生、何でも器用にこなし頼りになる長男α=暁の賢人『光流』
○中一生、年子のおっきい方、寡黙なバスケ野郎α=イケメンゴリラ『空』
○中一生、年子のちっさい方、鏡大好き美長髪α=夜天のアフロディテ『怜』
○幼稚園児、平凡顔お色気Ω=たんぽぽ『郁也』
こんなバラエティー豊かな構成だ。
約二年前の離婚があって現在はシングル家庭。基本俺一人で四人の子育てをしてる。
離婚は、大変だった。辛かった。血を吐きそうなほど辛かった。
救いは子供達全員が自分の意思で俺についてきてくれたことだ。
あの時はとにかく必死だった。
離婚のショック、そして家計のためにと無理に働いたことがたたって体調を崩した。それが発情期の乱れに結びついて散々な日々。
他にもすぐに体がだるくなるとか、口内炎できるのもしょっちゅうで、食欲も落ちて、抜け毛が酷い時期もあったな……髪が薄くなると老けが加速するってよくわかったよ。
なんだか見た目にぼろぼろだったけど、今は完璧持ち直している。子供達にも心配かけて凄く反省してる。
本当に俺の人生はいろいろありすぎた。
子供の頃のキーワードは、両親の離婚、母子家庭、放置、虐待。かな。
それって世間によくある話って言われても仕方ないほど、全部がありふれた単語かもしれない。だけど本当はよくあっちゃいけない話。
俺はその頃のことを思い出すのが辛い。大人になった今でも辛いもん。
あの人は……
俺にあった事のすべてを知っている。だけどその時の俺の心の中までは知りようもない。
それがもどかしいみたいで、その気になった時に少しずつでもいいから話して欲しいと言う。
記憶のある限り古い物から、ごく最近の記憶まで。その全部を知りたいと言う。
俺の傷がまた膿んで痛みを持ってしまうのは本意ではないらしい。だからそっとそっと、優しくお願いしてくる。
でも、彼が俺を傷つけたくないように、俺だって彼を傷つけたくない。
うーん、どうしたもんかな。
これから一緒に暮らすのに、その作業は必要なんだろうか。互いを傷つけるだけじゃないのか。そう俺は悩んでしまう時もある。
自分の人生を振り返る時、人はどの地点を振り返るんだろう。
死ぬ前に思い出すのは辛かったことなのか、楽しかったことなのか、どっちなんだろうなあ。
俺の名字は何度も変わってきている。
最初は市東。
次が多香峰。
その次が曽山。
これが最後だと宗賀になったつもりだったけど、離婚でまた曽山に戻っている。
『ねえ、子供の頃ってさ』
そんな風に話しを切り出されると、俺は最初にあの頃を思い出す。
ほんとうに小さな頃。今の郁也よりもっと小さな頃だ……
○一家の長、多産Ω=モブ『曽山史』
つまり俺ね。
出産したのが男であっても、一般的に産んだ人間は『母』と呼ばれる。だから普通に男の俺も四人の子に母さんと呼ばれている。最初は自分がそう呼ばれることに抵抗があったけど、すぐに慣れた。
四人の子の特徴はこれ。
○中三生、何でも器用にこなし頼りになる長男α=暁の賢人『光流』
○中一生、年子のおっきい方、寡黙なバスケ野郎α=イケメンゴリラ『空』
○中一生、年子のちっさい方、鏡大好き美長髪α=夜天のアフロディテ『怜』
○幼稚園児、平凡顔お色気Ω=たんぽぽ『郁也』
こんなバラエティー豊かな構成だ。
約二年前の離婚があって現在はシングル家庭。基本俺一人で四人の子育てをしてる。
離婚は、大変だった。辛かった。血を吐きそうなほど辛かった。
救いは子供達全員が自分の意思で俺についてきてくれたことだ。
あの時はとにかく必死だった。
離婚のショック、そして家計のためにと無理に働いたことがたたって体調を崩した。それが発情期の乱れに結びついて散々な日々。
他にもすぐに体がだるくなるとか、口内炎できるのもしょっちゅうで、食欲も落ちて、抜け毛が酷い時期もあったな……髪が薄くなると老けが加速するってよくわかったよ。
なんだか見た目にぼろぼろだったけど、今は完璧持ち直している。子供達にも心配かけて凄く反省してる。
本当に俺の人生はいろいろありすぎた。
子供の頃のキーワードは、両親の離婚、母子家庭、放置、虐待。かな。
それって世間によくある話って言われても仕方ないほど、全部がありふれた単語かもしれない。だけど本当はよくあっちゃいけない話。
俺はその頃のことを思い出すのが辛い。大人になった今でも辛いもん。
あの人は……
俺にあった事のすべてを知っている。だけどその時の俺の心の中までは知りようもない。
それがもどかしいみたいで、その気になった時に少しずつでもいいから話して欲しいと言う。
記憶のある限り古い物から、ごく最近の記憶まで。その全部を知りたいと言う。
俺の傷がまた膿んで痛みを持ってしまうのは本意ではないらしい。だからそっとそっと、優しくお願いしてくる。
でも、彼が俺を傷つけたくないように、俺だって彼を傷つけたくない。
うーん、どうしたもんかな。
これから一緒に暮らすのに、その作業は必要なんだろうか。互いを傷つけるだけじゃないのか。そう俺は悩んでしまう時もある。
自分の人生を振り返る時、人はどの地点を振り返るんだろう。
死ぬ前に思い出すのは辛かったことなのか、楽しかったことなのか、どっちなんだろうなあ。
俺の名字は何度も変わってきている。
最初は市東。
次が多香峰。
その次が曽山。
これが最後だと宗賀になったつもりだったけど、離婚でまた曽山に戻っている。
『ねえ、子供の頃ってさ』
そんな風に話しを切り出されると、俺は最初にあの頃を思い出す。
ほんとうに小さな頃。今の郁也よりもっと小さな頃だ……
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