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しおりを挟む「口づけの仕方を教えよう。とは言っても、私もほとんど未体験だ。少しずれても失敗しても、誰も私達を笑わない……まずこれが、小鳥の口づけ」
「んっ……」
ちゅっと音を立てて離れ、離れたと思えば触れ合う。
くすぐったくて、でも楽しくて、ついつい笑顔が零れてしまう。アスランの赤い瞳が近づいて遠退いで、コウが笑えばアスランまでつられ笑う。
「まつ毛の先をつけるのも、鼻先を触れ合うのも同じらしい」
本当の小鳥になったように唇を触れ合わせ、次に鼻のてっぺんをくっつける。自然に頬と頬も重ね、目を閉じて互いの顔に唇を触れ合わせた。
自然に身体をすりつけあい、閉じていたはずの唇は開き、互いを強く求め出す。
唇の味を確かめるように、まずは上を食まれ下を食まれる。アスランはほぼ未経験と言っていたが、本当にそうだろうか。それが嘘ではないのだとしたら、技術の習得が早すぎる。
コウがビクッと反応すると、その意味を確かめるために同じことを仕掛けてくる。
怖がらせたのが、痛かったのか、それとも……と。
「んっ……」
上の唇を食まれ、柔らかな舌先で端から端までを舐められる。ゾクゾクとして腰が震え、思わずひゃんと鳴く。弱点が見つかりそればかりをされて、コウの頭はアスランの舌先のことしか考えられなくなる。
アスランの指を吸っていた時の安心感とは違う感情が、むくむくと湧いてくる。
「あっ……」
体中が熱い。その熱は肌が逃がしてくれているはずなのに、どうしても追いつかない。溜まった熱が体を駆け巡り、まだ同じ場所に戻ると、もっと加熱されてまた運ばれる。
熱い……
どうしたらいいのかわからず、腰をくねらせると、さっきからずっともぞもぞとしていた場所が楽になる。
「あっつ、い……あつくて、これ、きもちいい、です……どうして……」
「熱が溜まっているのは、ここだな」
閉じていた目を開きアスランの視線を追えば、そこにはいつもと様子の違うおちんちんがある。
コウのはいつも下に垂れているはずなのに、それは上をむき、小さな穴を見せつけている。お腹とおなじ肌の色だったはずなのに、その先っぽは桃の果実のような形をしていて、真っ赤だ。ぷっくりと腫れて触れれば痛そうなのに、実際感じているのはそれとは逆だ。
赤くなってしまったのは腰を擦り付けてしまった時に、傷ついてしまったのだろうか。思いつく原因はそれだけだ。
「こ、これ……なに……どうしてこんなふうに……」
「何も知らないのか。ここから溜まった熱を出すのだ」
不安になってそっと触れようとすると、それよりも早くアスランの手が小さいながらも主張する桃を包む。そして上下に扱い始めた。
泉の水ではない、粘りのある液が全体に広がる。それでなお一層滑りがよくなり、アスランの手が軽やかに動くようになる。
その液はどこから出てきたのか、コウは不思議に思う。しかし初めての快感に、また目を閉じてしまい、自分の桃の孔からぷくぷくと粘液が水玉となり生まれる瞬間を見てはいなかった。
「あっ……あっ」
「コウ、これは病気でも怪我でもない。そうか、コウはまだ精通していない、おぼこだったのだな。これは好きな者と体が触れ合うと出てくる愛の液だ。だから体が感じるままに気持ち良くなればいい」
「そう、なん、ですね……ああっ……愛の…」
「だから私からも出ている、コウと同じように。今度は前ではなく後ろを感じてみるんだ」
アスラン様からも出ている?
コウはアスランのおちんちんがある場所を意識した。自分はアスランの腰に巻きついている、となるとそれがあるのはもっと下だ。
……あっ、これって……
さっきからお尻の溝に異物感があって、穴を塞ぐようにぴたりと密着していた何か。それはコウと同じように腫れたアスランのものだったのだ。
もぞもぞとお尻を動かすと、確かに濡れているのがわかる。それはきっと愛の液で、アスランがコウを愛する為に出したのだ。
ぬるぬるはコウの会陰から穴までに隙間なくぴたりと沿い、コウの体さえも押し上げている。コウの何倍も太くて長い。
「アスラン様の液でお尻が、びちょびちょです」
「気持ち悪いか?」
「いえ、全然……こっちも、気持ちいい、です……」
ぴたったりと溝みはっているのに、アスランがわずかに動くだけでも溝にそって前と後ろにすられる。
ぬるぬるが増しているのが、お尻の穴の近くではぬちゃぬちゃと音がする。
アスランがコウの桃から手をはなし背中と腰に回した腕をがっちりと固定する。そしてコウの体を前後に動かし始めた。
コウの桃は自分の体とアスランの腹に挟まれ、敏感な割れ目が刺激される。
お尻はお尻で、こすれる全部が気持ちいい。
「……あんっ……アスラン、さま……あ、あ、あ、あっ」
リズムよくふられて、喘ぐことしかできない。
初めての快感の受け止め方がわからず、こんな声を出していいのかもわからない。ただアスランがさっき言ってくれた言葉、恥ずかしくてもよくて失敗してもいい、を信じて口を閉じなかった。
小さいとはいえコウをずっと抱えたままで、それでも疲れを見せないアスラン。
優しくて、強くて……気持ち良くて……
「アスラン、さま……だいすきです……」
「私も、愛している」
「あっ……あ、あ、あ、あ、あっ……」
アスランの動きが激しくなる。頭がぼうっとして、それでもどこかに飛んでしまわないように大きな体にしっかりしがみつき、体の中で何かが起ころうとしている時を迎える覚悟をする。
コウは体力的にもう限界を迎え、やがて腰に回していた足を下に投げ出していた。アスランが支えてはいるが、ぐっとお尻にアスランのものが食い込む。
「んんっ……くるっ」
「コウ、怖がる必要はない。もっと声を出していい」
「あんっ……アスラン、アスランさま……ああっ、ああっ……」
「私も行くよ、コウ、一緒に行こう」
アスランが腰をぐるりと回すと、コウの桃がこれ以上なくこすれ潰された。そしてお尻にあるものがぐっと大きくなる。
なにこれ、なにこれ……
「……アスラン……アスランさまっ!」
「コウッ!」
お腹の奥にあった熱が一気に放出される。その塊はコウの小さな穴から一気に出るには大きすぎて、内側から最大限に広げられ外へ飛び出した。
「あ……はぁ……一緒、だったのですか?」
「ああ、一緒だった」
「よかったぁ……初めてでも上手くいったってこと、ですね……よかったです」
気にする所はそこなのかと、アスランは笑った。
大きな緑の中にある緑の泉。その中にいるのは二人の人間。
一方は大きく逞しく、もう一方は小さく頼りない。
小さな人間は必死にしがみつき、嬌声をあげている。大きな人間はぐっと歯を食いしばり、小さな人間を壊してしまわないように愛していた。
二人は泉の脇で重なり合っている。
繋がってはいないが互いに快感を得られるよう、お尻の間に挟んで腰を動かしている。
二人の間からはバチュバチュと音がし、溢れたものが空気と混ざり合い体を伝い地面を濡らしていた。
他に誰もいない二人きりの世界……のはずだったのだが。
……!
「……アスラン様……誰か、いますっ」
「ん?」
泉の中から移動して地面で二回目が始まってしまい、コウはぐったりしていた。そしてふいに顔を横に向けた時、小屋の脇からひょいっと人が顔を出しているのが目にはいって仰天したのだ。
ここには誰もいないはず。しかも自分とアスランは裸のまま愛を確かめ深めるための行為をしている最中だ。
それを見られた。
すっかり夢中になっていたけれど、本当にアスランとこんなことをしてよかったのだろうか。ずっと見られていたのだろうか……最初から……?
恐ろしくて歯がガチガチと鳴り出す。
「あいつは知り合いだ。危険はない」
「そう、なのですね」
それでもコウの恐怖は去らない。
その見知らぬ男はとっくに背を向けているのだが、コウは怖くてそちらを見ることができない。
宥めるようにアスランはキスをし、コウの体を起こして泉にいれ、水面にただよっていたシャツを引き寄せコウの肩にかけ抱き寄せた。もちろん、自分の体を盾にしてコウの姿を見えないように隠す。
そして予期せぬ侵入者の背中に声を張り上げる。
「貴様、のぞきとはいい趣味だな」
「まさか昨日の今日でこんなに仲良くなっているなんて誰も思わないでしょう! 様子を見にきたら裏からあり得ない音がするから、ちょっとのぞいただけですよ」
「やはりのぞいたのではないか。コウの素肌を見た罪は重いぞ」
「見てませんってば! アスランの体が大きすぎて、コウちゃんは潰されていたじゃないですかぁ」
「コウの名を呼ぶなっ」
「だったらどう呼べばいいんですか、坊ちゃんですか嬢ちゃんですか、それとも嫁ちゃん……?」
「相変わらず口の多い男だ。そろそろ口を閉じろ」
アスランがギリギリと歯を鳴らしているのがわかり、侵入者は本気で縮みあがる。
しかも獣性を表しているのだから、その目は赤く爪も出ている。すでに臨戦態勢にいるのだから飛びかかられては命の危険さえある。
それでも頂点に立つべき男の容貌は、人型の時より強く美しく、同胞であるはずの細面の男は不意に頬を張られたように、その姿に衝撃を受けていた。
「コウ、あれは私の、遠い遠い……血縁だ」
「血縁、親戚……お身内。そうなのですね……」
確かにアスランに似ている所があった気がする。やはり体は大きくて、腰に帯をしている。ただし服の上から見てわかるほどの筋肉はのっておらず、ひょろりとした印象が残る所に自分と近しいものを感じる。違う所はどこか飄々として口調が軽い所だろう。
「言ってみれば、ほとんど他人だがな」
「嫌味な言い方ですねっ、こっちまで聞こえてますよっ」
「ああ……貴様、まだいたのか?」
「その言い草はないでしょう。とっても役に立つものを幾つも持って来たって言うのに」
「どうせジイに持たされたのだろう」
「ですけど、それを運ぶ役があるから、つまりは俺がいるからここに届くのでしょう」
「頼んでおらん、来るなと言っているのに」
話しからするに、この親戚の男はここに荷物を運ぶ役を負っているらしい。
「その子だって、俺が昨日お届けしたんですけどね……」
「……え……そ、そうなんですか……!」
アスランを見上げると、そうだと頷いている。
言われてもコウには実感がなかった。何しろ昨日は声の主様も運んでくれた人の姿も見ていないのだ。
「あいつの名前はロミーと言う、私の血縁はこいつだけでなく、お前が声の主様と呼ぶジイもそうだ」
「……ロミー様……」
そういえば、主様がロミーと言っていた気がするがよく思い出せない。
「ジイはもう体力がなくて何度も来られないだろうから、こいつはジイに託されて来ているんだ。まだ数日しか立っていないと言うのに、もう二度も来ている」
「でもいい仕事したでしょう……何しろ嫁を運んだ、って聞きなさいよ……」
アスランはもう後ろには興味がないと、コウの頭にキスを降らしている。そんなのはいくらロミーから見えなくても、していることはわかるのだ。
しかしアスランのこんな姿を初めてみる、そして永遠に見られないと思っていたロミーは知らずに微笑んで、すぐに退散することを決めた。
「じゃあ、次は一ヵ月後にでも来ますかね。コウのおかげでここにいる期間が長くなりそうですし、何か欲しいものがあれば書きつけておいてください。来ても家には入らないし、裏ものぞかないことにします。コウ、驚かせてごめんね、またね。ジイにも上手くやってるから心配いらないって報告しておくからさ」
「はい……こちらこそ失礼してしまって……僕をここまで運んでくださって、ありがとうございます。声の主さまにも、ありがとうございますって、伝えて……んんっ」
ロミーへの返事の途中で口を塞がれてしまって、大きな舌を入れられてしまう。
ここへ運んでくれたことへの礼を言いたかったのに伝えられない。
何度アスランの体を叩いても、アスランは止めてくれなかった。
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