αは僕を好きにならない

宇井

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恥ずかしい行為

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 風呂って二人で入るものなんだ。知らなかった……
 こういう時は一緒に入って洗いっこして、徐々にムードを高めるのが当たり前だと黒崎は言った。
 でも洗いっこは流石にハードル高すぎで、理人が先に入って体を綺麗にし、合図をしてから黒崎に入って来てもらう事で落ち着いたのだ。

 真っ白な蒸気に包まれ少ししか目に入らなかったが、黒崎の体は細いだけではなく、しっかりと筋肉が乗っていた。それに比べると理人の体は厚みがない。
 お湯の中には入浴剤が投入されていて、乳白色がお互いの体を隠してくれている。それがなければこんな高等な事は無理だろう。
 背中には黒崎の体があって、理人は彼の体に囲まれている。まるで檻のようだ。広く見えたはずのバスタブなのに、二人で入ると体の大部分は触れ合う。

「理人は前髪を上げた方が似合う。色が白いから赤が綺麗に出るね」

 そう囁く黒崎はもう恋人モードに入っているようだ。姿は見えないのに、耳にかかる息まで艶っぽい。
 理人はつい前かがみになって貧相な自分を隠してしまう。

「怖い?」
「怖いっていうか、とにかく恥ずかしい」
「初めての相手が俺でいいの?」
「そっちこそ、僕なんかで欲情する? 僕って楓と違って普通だし、だから黒崎さんみたいなイケメンとこうしてる事が、すごく不思議」
「へえ、俺の事イケメンって思ってくれてるんだ。素直な理人はかわいいな。それに、こんないい物を隠してるとは思わなかった」

 ジャブッと水の跳ねる音がして、理人の胸は彼の手の平に包まれていた。

「先の淡い色、すごく好み」
「んっ……」
「声もいい」

 ぱくりと耳の側面を食まれる。
 まさか色を褒められるとは思ってもおらずまた恥ずかしくなる。

「無垢な人が初めてをくれるって、こんな光栄な事ってないから」
「んっ……んんっ……」
 ゆっくりと理人の反応を確かめるように、胸に置かれた手が動く。理人の動きで水面は波打ち、乳首が姿をちらりと顔を出す。
 温もりに浸っていたはずの乳首が固く尖り主張する。黒崎の指がそこを捕え、クネクネと刺激した。

「あっ、あっ……待って」
「待たない」

 もう片方の手が下へと周り、足を強引に開かせ、ペニスを上から下へなぞる。

「もう立ってる……さきっぽ……濡れてるのが、お湯の中でもわかるよ」

 理人より大きく長い指が上下にする。そして滑りのいい先端を集中的に刺激し始めた。

「ああっ、あっ……んんっ」

 湯の温かさだけじゃない。理人の内側からの熱が体を火照らせる。

「感じやすい体だね」

 過ぎる快感に首をのけ反らせると、彼の肩にちょうどぴたりとはまる。そのまま吐息を逃がすと、唇に熱。
 キス、されてる。
 最初は重ねるだけだったのに、いつの間にか厚い舌が入り込んできて、理人の中を探る。その間も下を蠢く指は休むことなく先端をこねていた。

「キスも、初めて?」
「……うん」
「そっか、理人の初めてを全部俺が貰えるんだ」

 すぐにキスは再開した。
 上も下も気持ちいい。
 ようやく長いキスから解放されて、朦朧としたままコテンと頭の重みを預ける。初めての激しい体験、外と内からの熱にとって刺激が強すぎた。

「感じると自然に涙がでんだね。かわいい」

 彼は目尻をぺろっと舐めて、しょっぱいと呟いた。

 黒崎がしたのだろうか、体を隠していた湯は水位を下げ始める。湯は臍の下を過ぎ、とうとう隠していたすべてが明るい照明の下に現れてしまった。
 少しでも前を隠そうと体を捻じっても、敵うことはなく、それどこか片足はバスタブの縁に置かれ、大きく開脚させられる。
 そして理人は自分の内股にかかる黒崎の手を視界に入れてしまった。
 筋が浮き上がり器用に動く指先が、理人の最も感じる小さな穴の割れ目をいたぶっている。
「理人は色素が薄いんだね。ここも、肌色だ」
「ああっ……!」

 ぴたりと添った指が、微細な動きをする。
 先端から溢れるぬめりを塗り付けるから、滑りは驚くほどいい。
 クチュリクチュリと粘つく音が激しくなる。大きく上下にと思ったら先端を丹念に解す、黒崎は予想外の動きで理人を翻弄する。

「んぁ……もう、いくぅ……」

 やめて欲しいのに、解放されない。それどころか、追い立てるように激しくなる。我慢するなと、水音が耳に迫る。

「濡れすぎ。それに、もうイっちゃうの?」

 快感の逃し方もわからないまま、卑猥な言葉を重ねられゾクゾクする。的確な指の動きはもちろん止まっていない。
 人から与えられる刺激がこんなに気持ちいいなんて……

「お願いやめて、いきそうだからっ」
「やめない」

 ぶじゅぶじゅ。
 それが理人から出ている音。溢れた先走り汁がどれだけ多いかわかる。
 もう、だめだ……

「あっ……だめっ、いくっ……いくから、やめて……手、とめて……お願いっ……」
「とめられるわけないだろ」
「くっ、黒崎さんは……意地悪だ……」

 吐き出す瞬間なんて見られたくない。

「こんなのっ……恥ずかしいよ……」

 見せるなんてあり得ないというのに、高まった体を制御できるほど理人は器用じゃない。
 黒崎は腹の辺りでこすっていた理人のペニスの角度を下げ、腹に対して垂直に調整する。これから起こる事が想像できて、でも……感じる体が止まるわけがない。
 理人は黒崎の手には受け止められず、放出する事を強いられているのだ。
 もう限界だぁ……

「……出る……でちゃう……み、見るな……見ないで……お願い!」
「それは無理。ほら理人の亀頭が期待で膨らんでる。ほら、ちゃんと目、開けて。自分がどうなってるか、誰に何をされてるかをしっかり目に焼き付けるんだ」

 甘ったるい、それでいて鞭のように痛みを与えしなる声に追い打ちをかけられて、耳から腰へ弱い電流が流れる。
 うあっ、いく……!

「いっちゃ……いくっ……やだ、やだ……見るなっ……ああっ!」

 腰の奥に溜まっていた熱が、細い管を一気に駆け上がり、びゅっと音を立てて飛び出す。精液が昇り移動するのを、これほど感じたことはない。
 一人で処理する時とは違い、受け止める先のない白濁が太い線を宙にまき散らす。

「……うあっ……うっ……っ……」

 腰が前に突き出て、後を追う小さな飛沫がまた一本飛ぶ。ぶちゅっという音を立てるかのように。
 飛び出した白が重そうに落下し、浴槽に体にベタリと粘ったあと涙のように垂れていた。

「濃いの、沢山でたね。凄くよかった」

 全部、見られた……
 出る所も、散る所も。
 羞恥もあってガクガクする理人をぎゅっと抱きしめ、黒崎は理人の首を軽く噛んだ。
 自分の出す瞬間を見たのも初めてなら、他人に見られたのも初めてだ。
 残滓を搾り取るように亀頭をしごかれても、理人は腰をビクビクさせるだけ。その手を払いのける事もできず、されるがままになっていた。

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