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第五章 15歳
53 円卓の戦い
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放課後、俺とロゼは大講堂にいた。
チームメンバーであるユナとラシヴァも一緒である。
大講堂は、床が例によって透け(正確には床に地下の光景が投影され)、広大な地下空間で繰り広げられる闘戯の様子が一望できる。
演壇の上の大型ディスプレイには、闘戯参加者が代わる代わるアップで映されていた。
都市機能によってコントロールされているというディスプレイは、かなり的確に闘戯の「見所」を映し出す。人工知能のような何かが、映すべき場面を選択してるとしか思えない。
「すごい熱気だね」
観客席の隣の席で、ロゼが言った。
「ああ。模擬戦も人は多かったけど、それ以上だ」
今、地下の闘戯場で繰り広げられてるのは円卓戦だ。
数日前に、模擬戦リーグの今年度第一期が終了した。
慣例通り、優勝チームは生徒会円卓への挑戦を宣言。
円卓も、その挑戦を受けて立った。
今期の優勝チームは、六年生をリーダーに、六年生と五年生を中心に構成されたチームである。
優勝チームは、チームとしての上限である9人のメンバーを揃えている。
対して、生徒会円卓は5人しかいない。
にもかかわらず、優勝チームは劣勢だった。
『くそっ! 数では勝ってるんだ! 脇を抜いて本陣を落とせ!』
優勝チームのリーダーがそう叫ぶ。
「会話が中継されると臨場感があるな」
ラシヴァが副会長に挑んだ時や、同じくラシヴァと俺がやりあった時は、闘戯場での会話は、観客席には中継されていなかった。
円卓戦では、闘戯場の音声は観客席に中継される。
円卓戦は、生徒会円卓の座を賭けた挑戦であると同時に、学園内の生徒に範を示すための戦いでもある。
そのため、双方の作戦や戦術、戦況などの情報は、可能な限りオープンにされていた。
前世のスポーツの試合のような実況・解説こそないものの、学術科の有志が、後日、試合について詳しく分析したレポートを公表するという。
優勝チームや円卓へのインタビューも行われ、都市内でのアルバイトの一環として発行されている新聞や雑誌に記事が掲載されたりもするらしい。
円卓に挑戦しようと思うものたちは、そうした情報を参考に、自分たちのチームの課題を見つけたり、円卓と戦うための戦略を練ったりする。
円卓に挑戦する気のない生徒たちにとっても、円卓戦は格好の話のタネである。
すこしでもその戦い方を真似しようと励むもののいるが、完全に娯楽感覚で観戦している生徒も多いようだ。
さすがに、勝敗で賭けをするのだけは校則で禁止されてるけどな。
「こんな風に衆人環視の状況だと、俺やロゼはやりにくいな」
「今更じゃないかな。ユナだってかなり常識はずれな術を使うし」
俺とロゼの会話に、後ろの席からラシヴァが言ってくる。
「けっ。どうせ俺の戦い方は常識の域を出てねえよ。
ったく……こんなバケモノ揃いのチームじゃ自信なくすぜ」
「まあまあ。そう思わせておいて、見返してやったらいいじゃないか」
俺はそう言ってラシヴァを宥める。
「……常識はずれ……」
ロゼの背後にいたユナが、ショックを受けたようにつぶやいた。
「いや、二百四十年前の生徒騎士って時点でもう、な……」
むしろ、なんで今更ショックを受けてるのか。
ロゼが俺に小声で言う。
「ユナ、生きてた時代が違うから、魔術科のクラスに馴染めないらしくて……」
「ロゼ、聞こえてる」
ユナが、アクアマリンの瞳でロゼをジトッと睨む。
「ご、ごめん!」
ロゼが慌てて謝った。
「でも、事実。
二百四十年のブランクは大きすぎる。ただでさえ人見知りだったのに」
「なんだ、人見知りは元からなのか」
「当時から、わたしは魔力が桁外れに強かったから」
「でなきゃ、そんな綺麗な髪にはならないよな」
ユナは、まるで清流のようにさらさらと流れる、長くつややかな水色の髪をしている。
それも、単なる水色じゃない。本当に水のように透けてるのだ。
ロゼとはまた別の意味で、ユナも精霊に好かれた存在だった。
ユナが、自分の髪を手で梳きながら言う。
「き、綺麗……? そんな風に言われたのは初めて」
「えっ、そうなのか?
どう見ても綺麗だろ。浮世離れしてる。
それこそ、水の精霊がいたらこんな風じゃないかって感じだな」
「そ、そう……」
俺の言葉に、ユナが顔を伏せてしまう。
そこで、いきなり耳を引っ張られた。
「……エリア、あんまりわたし以外の女の子を褒めないでくれないかな?」
引っ張った耳に向かって囁いてきたのは、もちろんロゼだ。
「いたた……いいだろ、褒めるくらい。
っていうか、べつに褒めたわけでもないし。事実を言っただけだ」
「ふんっ、知らない!」
俺の耳を離し、ロゼがぷいっと顔をそらす。
俺の席の背を、後ろからラシヴァが蹴り飛ばしてきた。
「おいてめえら、惚気てねえで試合を見やがれ。これはデートじゃねえんだぞ」
「あ、ああ。悪い悪い」
ラシヴァに正論をぶつけられ、俺はディスプレイへと視線を戻す。
ディスプレイには、焦れた顔で指示を飛ばす、優勝チームのリーダーの顔が映っていた。
俺は、戦況を把握するために床を見下ろす。
床は、全面がガラス張りになったように、地下にある闘戯場の様子を映してる。
だが、本当にガラス張りなわけではない。
闘戯場を天井側から見下ろした様子を、床をディスプレイ代わりに映してるのだ。観客が見やすいように、見下ろし画像の倍率は、闘戯者の位置や戦況に応じて変化する。
前世のFPSやバトルロイヤルゲームで、死亡後に戦場を自由に眺められるモードがあったが、あれに近い感覚だ。
俺の視点で、向かって左側が円卓の陣、右側が挑戦者の陣になっている。
フィールド全体は、舟のような形をしてる。
中央に横に長い長方形があって、その両方の短辺から、左右に二等辺三角形が伸びている。
二等辺三角形は、それぞれ、外側に向かって、上りの傾斜がついていた。
その傾斜の上に高台があり、そこには両陣営の本陣である、青い光のサークルが浮かんでる。
二等辺三角形の二つの頂点同士の距離は2キロくらい。長方形の短辺は、幅数百メートルってところだろう。
長方形は、さらに8つの区画に分けられている。
長辺と平行に半分に切り、短辺と平行に4つに切る。
上下2行、左右4列、計8つの区画が、太めのグリッドラインで仕切られていた。
図にするとこんな感じだ。
本|1-1、1-2、1-3、1-4|本
陣|2-1、2-2、2-3、2-4|陣
(円卓側) (挑戦者側)
それぞれの区画には、闘戯の開始前に、障害物や属性を設定することができる。
コイントスで勝ったほうから、好きな障害物や属性を、区画を指定して割り当てられるルールだ。
たとえば今回なら、コイントスで勝った挑戦者チームは、中央自陣よりの区画(2-3)に「岩場」を設定し、その隣奥の区画(1-3)に光属性を設定している。
対する円卓は、1-2に闇属性を設定した後、1-4に光属性を設定した。
他の区画にも、自分のチームと相手のチームのメンバーの属性を考慮して、それぞれが交互に属性を指定していた。
(1-2)(1-3)(1-4)
本|1-1、闇属性、光属性、光属性|本
陣|2-1、2-2、岩 場、2-4|陣
(円卓側) (2-3)(挑戦者側)
※ 一部省略
(こういうところを見ると、マジでゲームっぽいよな。どっちかというとボードゲームに似てるか)
ますます、黄昏人のゲーム説が有力になってくるな。
だが、たとえこれが暇と技術を持て余した黄昏人のゲームだったとしても、生徒騎士が闘戯にかける意気込みは本物だ。
円卓に勝つことがこの学園の支配者となる唯一の方法である以上、これは正真正銘の、権力を巡る「戦い」である。
その意味では、本当の殺し合いをせずに済む闘戯という形式は、生徒騎士に切磋琢磨を促す意味では有用だ。
議会制民主主義が選挙や議会での討論によって権力を争うのに対し、この学園都市ウルヴルスラでは、戦いを模したゲームによって権力を争う。
戦争やクーデターみたいな血なまぐさい生身の闘争を避けるって意味では共通してる。
「なんか、将棋みたいだよね」
隣のロゼも、俺と似たような感想を持ったようだ。
ロゼは初めて会った時から将棋が好きだったが、最近はさらに腕を上げて、俺に勝ち越すようになっている。
ロゼとしてはちょっと物足りないらしい。
それはともかく、ロゼの言う通り、円卓戦における布陣は、この世界の将棋に似てる。
円卓は、リーダーであるエクセリア会長を自陣の本陣に置いていた。
前衛の左翼(1-2から1-3)にバズパ副会長がいて、その後ろに少し離れて書記であるメイベルがいる(1-2)。
前衛の右翼(2-2)では、見覚えのある魔術科女子と武術科男子のコンビが戦ってる。
対する挑戦者チームは、円卓の左翼側のバズパに4人ものメンバーを充て、右翼のコンビにも3人を割いていた。
バズパはヌル(闇)なので、円卓が闇属性を設定した1-2では有利に戦える。
だが、その一つ奥の1-3は、挑戦者によって光属性に設定されている。
さらに、バズパに張り付く挑戦者チームには、サンの生徒が2人も含まれていた。
円卓の右翼側(2の行)も、挑戦者は「岩場」を設定した2-3を砦のように使って、円卓コンビ相手に互角以上の戦いをしてる。
武術科の制服を着たリーダーの男子は、その後ろ(2-4)で、本陣への道を塞ぐように立っていた。
そこから、他のメンバーに適時指示を飛ばしている。
そのそばには、護衛役、あるいは予備戦力として、魔術科の男子が一人残されていた。
「よく練ってるもんだな」
俺は挑戦者側の作戦に感心しながらつぶやいた。
「でも、ここまで手を打ってようやく互角ってのはちょっとキツいな」
挑戦者側は、障害物や属性の設定で地の利を作り上げた上に、数に勝る戦力を投入してる。
にもかかわらず、挑戦者側は、左翼のバズパや右翼のコンビを倒すことはおろか、前線を押し上げることすらできないでいた。
とくに目を引くのは、
「すごいね、バズパさん」
ロゼが、床に映ったバズパを指さして言う。
「ああ。4人を相手に一歩も引かない……っていうか、まとめて引きつけてるんだな」
槍を構えたホドの武術科男子と、弓を構えたジトの学術科女子、さらにそれを後方から支援する魔術科のサンの男子2人。
4人のかなり統率の取れた連携を、バズパは「影隠れ」を駆使してたった一人でさばいてる。
だが、挑戦者のほうも、ここまでは折り込み済みだったらしい。
槍の生徒は、バズパが下がっても深追いをせず、自分が危なくなれば後ろに下がる。
そこに、矢や魔法が降り注ぐ。
さしものバズパも、足を止めるしかないようだ。
足を止めたバズパには、2人のサンが放つ光魔法が襲いかかり、同時に、体勢を立て直した槍持ちが前に出る。
挑戦者側が1-3を光属性に設定したのは、明らかにバズパ対策なのだろう。
1-2は円卓の設定した闇属性なので、バズパは1-2で戦いつつ1-3への侵入を図る。
挑戦者たちは、1-3で強化された光魔法を生かして、バズパを青いグリッドラインの向こうへと押し返す。
この繰り返しで、左翼側は一進一退の状況が続いていた。
「でも、メイベル先輩が不気味だな……」
バズパの後ろ(1-2の円卓本陣寄りの位置)からは、俺のバイトの先輩でもあるメイベルが形勢をうかがってる。
ホドアマ(闇地)という珍しめの二重属性を持つ彼女は、学術科の生徒ながら、魔術科でも滅多にいないほどの強力な複合魔法を使うという。
もし挑戦者側がバズパ相手に隙を見せれば、メイベルからどんな魔法が飛んでくるかわからない。
メイベルが使う魔法の正体については、ハントの情報網を持ってしても、断片的な情報しか得られなかった。
どういうわけか、メイベルはまだ動いてない。
左翼側が膠着してるのはそのせいもあった。
バズパが一時下がることがあっても、挑戦者側はメイベルの術を警戒して深追いできない。
とはいえ、バズパを四人がかりで抑えにかかる挑戦者側は、緊張感を切らさず、安定した戦いぶりを見せている。
区画の属性設定からして、左翼は挑戦者側が事前に想定してた通りの展開になってるんだろうな。
焦りが見えるのは、むしろ反対の右翼側だ。
『何をしている! 早く抜けっ!』
挑戦者側のリーダーが焦った声を上げた。
魔術科一人、学術科二人を割いて攻めのぼろうとする挑戦者側を、円卓は無役職の武術科男子と魔術科女子のコンビが迎え撃つ。
挑戦者側は、本来アタッカーになるはずの武術科の生徒を欠いている。
学術科の二人がその役目を代わりに担ってるようだ。
学術科とはいえ、模擬戦リーグで優勝するようなチームのメンバーだ。
二人の闘いぶりは、武術科の生徒騎士と比べても遜色がない。
2-3に設定された「岩場」を巧みに利用しつつ、右翼を突破しようと。抜け目なく隙を伺ってる。
そのあたりの戦術性は、学術科の面目躍如と言ったところか。
「このレベルになると、術科はあまり関係なくなってくるみたいだな」
「各術科から3人ずつが上限だもんね。学術科の中からいかに強い生徒を見つけるかはけっこう重要らしいよ」
俺のつぶやきに、ロゼがそう言ってくる。
「でも、抜けそうにないな」
円卓側の二人は無役職だ。
エクセリア、バズパ、メイベルに比べれば、単体戦力としては一段以上落ちるだろう。
だが、この二人は、ともに剣を使いつつ、時に魔法も織り交ぜる。
しかも、風と火の魔法のタイミングを合わせ、さながら複合魔法のような火炎の旋風を巻き起こす。
火炎旋風で面を制圧して敵の足を止め、一気に斬り込んで追い詰める。
挑戦者側は、その度に後退を強いられていた。
挑戦者のリーダーは、バズパのいない円卓右翼側を「弱い」と見立てたのだろう。
だが、人数的な劣勢にもかかわらず、円卓の二人はむしろ挑戦者を押し返す勢いだ。
『くそっ……!』
挑戦者のリーダーが、声に焦りをにじませる。
リーダーは、傍らに立つ魔術科生徒を、円卓右翼側への攻撃に合流させた。
これで、右翼側は4対2になった。
さすがに厳しいらしく、円卓の二人がじりじりと下がっていく。
挑戦者側は、2-3の「岩場」の陰からすかさず飛び出し、2-2へと戦線を押し上げる。
そして、さらに円卓コンビを追っていく。
2-2は風属性の設定だが、挑戦者側にもヒュルがいるので、どちらに有利とも言いがたい。
後ろの席で、ぽつりとユナがつぶやいた。
「……そういうこと。円卓もよく考えてる」
「んあ? いきなりなんだよ?」
ラシヴァがユナに聞いている。
「あの二人、まっすぐには下がってない」
「……たしかにそうだな。
でも、本陣のある内側に寄るってんならともかく、なんで外側に開くんだ?」
問い返したラシヴァに、ユナが冷たく言い放つ。
「すこしは自分の頭で考えたら?」
「んだと? ケンカ売ってんのか?」
「そうやってすぐ挑発に乗る。
それではあの円卓には敵わない。副会長以前に、あのコンビにもやられそう。コンビの片方だけと戦ったとしても、どっち相手でもまず勝てない」
「ぐっ……」
ユナの言葉にラシヴァが黙り込む。
ユナとラシヴァは、文字通り水と油みたいな関係だ。
いつもどこかぼーっとしてるようなユナと、いつもカッカしてるラシヴァ。
そもそもユナは、二百年以上前にこの地に攻め込んできたザスターシャ軍と戦って仲間を失ってる。ラシヴァはそのザスターシャの元王子だ。
ユナが過去の遺恨をラシヴァにぶつけたりすることはないものの、どちらも相手に対して腫れ物に触れるような感じになるのもしかたがない。
どっちも気が強いので、腫れ物に触れるようになったかと思えば、その反動で相手に強く出ることもあった。
その上、アマとジトでは相克もある。
この二人を一緒に運用するのは難しいだろう。
(ユナは典型的な後衛術者タイプだ。ユナに合わせられる前衛がほしいんだが、ラシヴァじゃ無理だ。属性の問題だけじゃない。敵陣に斬り込んでいくタイプのラシヴァを、後衛の護衛にするのは無理がある)
ユナの前衛を俺がやるという手もなくはない。
ただ、俺は俺で、行動の自由を確保しておきたい。
奇手や奇襲の多い俺も、盾役に向いてるほうじゃないからな。
(まあ、バズパが今やってるみたいに回避中心で敵を引きつけてもいいんだが……って、んん?)
俺がそんなことを思ったところで、バズパが動きを変えていた。
といっても、微妙な変化だ。
それも、攻めに転じたわけじゃない。
逆に、じりじりと後ろに下がり始めてる。
右翼のコンビと同じく、中央ではなくやや外側に向かって、気づかれない程度に開く形で、挑戦者4人を釘付けにしたまま下がっていく。
サン2人を含む挑戦者は、闇属性の設定された2-2に踏み込むことをしばしためらっていた。
だが、バズパからの反撃がないことに勇気を得て、一気に前線を押し上げる。
「そうか、円卓の狙いは……」
俺のつぶやきを遮るように、円卓が動いた。
チームメンバーであるユナとラシヴァも一緒である。
大講堂は、床が例によって透け(正確には床に地下の光景が投影され)、広大な地下空間で繰り広げられる闘戯の様子が一望できる。
演壇の上の大型ディスプレイには、闘戯参加者が代わる代わるアップで映されていた。
都市機能によってコントロールされているというディスプレイは、かなり的確に闘戯の「見所」を映し出す。人工知能のような何かが、映すべき場面を選択してるとしか思えない。
「すごい熱気だね」
観客席の隣の席で、ロゼが言った。
「ああ。模擬戦も人は多かったけど、それ以上だ」
今、地下の闘戯場で繰り広げられてるのは円卓戦だ。
数日前に、模擬戦リーグの今年度第一期が終了した。
慣例通り、優勝チームは生徒会円卓への挑戦を宣言。
円卓も、その挑戦を受けて立った。
今期の優勝チームは、六年生をリーダーに、六年生と五年生を中心に構成されたチームである。
優勝チームは、チームとしての上限である9人のメンバーを揃えている。
対して、生徒会円卓は5人しかいない。
にもかかわらず、優勝チームは劣勢だった。
『くそっ! 数では勝ってるんだ! 脇を抜いて本陣を落とせ!』
優勝チームのリーダーがそう叫ぶ。
「会話が中継されると臨場感があるな」
ラシヴァが副会長に挑んだ時や、同じくラシヴァと俺がやりあった時は、闘戯場での会話は、観客席には中継されていなかった。
円卓戦では、闘戯場の音声は観客席に中継される。
円卓戦は、生徒会円卓の座を賭けた挑戦であると同時に、学園内の生徒に範を示すための戦いでもある。
そのため、双方の作戦や戦術、戦況などの情報は、可能な限りオープンにされていた。
前世のスポーツの試合のような実況・解説こそないものの、学術科の有志が、後日、試合について詳しく分析したレポートを公表するという。
優勝チームや円卓へのインタビューも行われ、都市内でのアルバイトの一環として発行されている新聞や雑誌に記事が掲載されたりもするらしい。
円卓に挑戦しようと思うものたちは、そうした情報を参考に、自分たちのチームの課題を見つけたり、円卓と戦うための戦略を練ったりする。
円卓に挑戦する気のない生徒たちにとっても、円卓戦は格好の話のタネである。
すこしでもその戦い方を真似しようと励むもののいるが、完全に娯楽感覚で観戦している生徒も多いようだ。
さすがに、勝敗で賭けをするのだけは校則で禁止されてるけどな。
「こんな風に衆人環視の状況だと、俺やロゼはやりにくいな」
「今更じゃないかな。ユナだってかなり常識はずれな術を使うし」
俺とロゼの会話に、後ろの席からラシヴァが言ってくる。
「けっ。どうせ俺の戦い方は常識の域を出てねえよ。
ったく……こんなバケモノ揃いのチームじゃ自信なくすぜ」
「まあまあ。そう思わせておいて、見返してやったらいいじゃないか」
俺はそう言ってラシヴァを宥める。
「……常識はずれ……」
ロゼの背後にいたユナが、ショックを受けたようにつぶやいた。
「いや、二百四十年前の生徒騎士って時点でもう、な……」
むしろ、なんで今更ショックを受けてるのか。
ロゼが俺に小声で言う。
「ユナ、生きてた時代が違うから、魔術科のクラスに馴染めないらしくて……」
「ロゼ、聞こえてる」
ユナが、アクアマリンの瞳でロゼをジトッと睨む。
「ご、ごめん!」
ロゼが慌てて謝った。
「でも、事実。
二百四十年のブランクは大きすぎる。ただでさえ人見知りだったのに」
「なんだ、人見知りは元からなのか」
「当時から、わたしは魔力が桁外れに強かったから」
「でなきゃ、そんな綺麗な髪にはならないよな」
ユナは、まるで清流のようにさらさらと流れる、長くつややかな水色の髪をしている。
それも、単なる水色じゃない。本当に水のように透けてるのだ。
ロゼとはまた別の意味で、ユナも精霊に好かれた存在だった。
ユナが、自分の髪を手で梳きながら言う。
「き、綺麗……? そんな風に言われたのは初めて」
「えっ、そうなのか?
どう見ても綺麗だろ。浮世離れしてる。
それこそ、水の精霊がいたらこんな風じゃないかって感じだな」
「そ、そう……」
俺の言葉に、ユナが顔を伏せてしまう。
そこで、いきなり耳を引っ張られた。
「……エリア、あんまりわたし以外の女の子を褒めないでくれないかな?」
引っ張った耳に向かって囁いてきたのは、もちろんロゼだ。
「いたた……いいだろ、褒めるくらい。
っていうか、べつに褒めたわけでもないし。事実を言っただけだ」
「ふんっ、知らない!」
俺の耳を離し、ロゼがぷいっと顔をそらす。
俺の席の背を、後ろからラシヴァが蹴り飛ばしてきた。
「おいてめえら、惚気てねえで試合を見やがれ。これはデートじゃねえんだぞ」
「あ、ああ。悪い悪い」
ラシヴァに正論をぶつけられ、俺はディスプレイへと視線を戻す。
ディスプレイには、焦れた顔で指示を飛ばす、優勝チームのリーダーの顔が映っていた。
俺は、戦況を把握するために床を見下ろす。
床は、全面がガラス張りになったように、地下にある闘戯場の様子を映してる。
だが、本当にガラス張りなわけではない。
闘戯場を天井側から見下ろした様子を、床をディスプレイ代わりに映してるのだ。観客が見やすいように、見下ろし画像の倍率は、闘戯者の位置や戦況に応じて変化する。
前世のFPSやバトルロイヤルゲームで、死亡後に戦場を自由に眺められるモードがあったが、あれに近い感覚だ。
俺の視点で、向かって左側が円卓の陣、右側が挑戦者の陣になっている。
フィールド全体は、舟のような形をしてる。
中央に横に長い長方形があって、その両方の短辺から、左右に二等辺三角形が伸びている。
二等辺三角形は、それぞれ、外側に向かって、上りの傾斜がついていた。
その傾斜の上に高台があり、そこには両陣営の本陣である、青い光のサークルが浮かんでる。
二等辺三角形の二つの頂点同士の距離は2キロくらい。長方形の短辺は、幅数百メートルってところだろう。
長方形は、さらに8つの区画に分けられている。
長辺と平行に半分に切り、短辺と平行に4つに切る。
上下2行、左右4列、計8つの区画が、太めのグリッドラインで仕切られていた。
図にするとこんな感じだ。
本|1-1、1-2、1-3、1-4|本
陣|2-1、2-2、2-3、2-4|陣
(円卓側) (挑戦者側)
それぞれの区画には、闘戯の開始前に、障害物や属性を設定することができる。
コイントスで勝ったほうから、好きな障害物や属性を、区画を指定して割り当てられるルールだ。
たとえば今回なら、コイントスで勝った挑戦者チームは、中央自陣よりの区画(2-3)に「岩場」を設定し、その隣奥の区画(1-3)に光属性を設定している。
対する円卓は、1-2に闇属性を設定した後、1-4に光属性を設定した。
他の区画にも、自分のチームと相手のチームのメンバーの属性を考慮して、それぞれが交互に属性を指定していた。
(1-2)(1-3)(1-4)
本|1-1、闇属性、光属性、光属性|本
陣|2-1、2-2、岩 場、2-4|陣
(円卓側) (2-3)(挑戦者側)
※ 一部省略
(こういうところを見ると、マジでゲームっぽいよな。どっちかというとボードゲームに似てるか)
ますます、黄昏人のゲーム説が有力になってくるな。
だが、たとえこれが暇と技術を持て余した黄昏人のゲームだったとしても、生徒騎士が闘戯にかける意気込みは本物だ。
円卓に勝つことがこの学園の支配者となる唯一の方法である以上、これは正真正銘の、権力を巡る「戦い」である。
その意味では、本当の殺し合いをせずに済む闘戯という形式は、生徒騎士に切磋琢磨を促す意味では有用だ。
議会制民主主義が選挙や議会での討論によって権力を争うのに対し、この学園都市ウルヴルスラでは、戦いを模したゲームによって権力を争う。
戦争やクーデターみたいな血なまぐさい生身の闘争を避けるって意味では共通してる。
「なんか、将棋みたいだよね」
隣のロゼも、俺と似たような感想を持ったようだ。
ロゼは初めて会った時から将棋が好きだったが、最近はさらに腕を上げて、俺に勝ち越すようになっている。
ロゼとしてはちょっと物足りないらしい。
それはともかく、ロゼの言う通り、円卓戦における布陣は、この世界の将棋に似てる。
円卓は、リーダーであるエクセリア会長を自陣の本陣に置いていた。
前衛の左翼(1-2から1-3)にバズパ副会長がいて、その後ろに少し離れて書記であるメイベルがいる(1-2)。
前衛の右翼(2-2)では、見覚えのある魔術科女子と武術科男子のコンビが戦ってる。
対する挑戦者チームは、円卓の左翼側のバズパに4人ものメンバーを充て、右翼のコンビにも3人を割いていた。
バズパはヌル(闇)なので、円卓が闇属性を設定した1-2では有利に戦える。
だが、その一つ奥の1-3は、挑戦者によって光属性に設定されている。
さらに、バズパに張り付く挑戦者チームには、サンの生徒が2人も含まれていた。
円卓の右翼側(2の行)も、挑戦者は「岩場」を設定した2-3を砦のように使って、円卓コンビ相手に互角以上の戦いをしてる。
武術科の制服を着たリーダーの男子は、その後ろ(2-4)で、本陣への道を塞ぐように立っていた。
そこから、他のメンバーに適時指示を飛ばしている。
そのそばには、護衛役、あるいは予備戦力として、魔術科の男子が一人残されていた。
「よく練ってるもんだな」
俺は挑戦者側の作戦に感心しながらつぶやいた。
「でも、ここまで手を打ってようやく互角ってのはちょっとキツいな」
挑戦者側は、障害物や属性の設定で地の利を作り上げた上に、数に勝る戦力を投入してる。
にもかかわらず、挑戦者側は、左翼のバズパや右翼のコンビを倒すことはおろか、前線を押し上げることすらできないでいた。
とくに目を引くのは、
「すごいね、バズパさん」
ロゼが、床に映ったバズパを指さして言う。
「ああ。4人を相手に一歩も引かない……っていうか、まとめて引きつけてるんだな」
槍を構えたホドの武術科男子と、弓を構えたジトの学術科女子、さらにそれを後方から支援する魔術科のサンの男子2人。
4人のかなり統率の取れた連携を、バズパは「影隠れ」を駆使してたった一人でさばいてる。
だが、挑戦者のほうも、ここまでは折り込み済みだったらしい。
槍の生徒は、バズパが下がっても深追いをせず、自分が危なくなれば後ろに下がる。
そこに、矢や魔法が降り注ぐ。
さしものバズパも、足を止めるしかないようだ。
足を止めたバズパには、2人のサンが放つ光魔法が襲いかかり、同時に、体勢を立て直した槍持ちが前に出る。
挑戦者側が1-3を光属性に設定したのは、明らかにバズパ対策なのだろう。
1-2は円卓の設定した闇属性なので、バズパは1-2で戦いつつ1-3への侵入を図る。
挑戦者たちは、1-3で強化された光魔法を生かして、バズパを青いグリッドラインの向こうへと押し返す。
この繰り返しで、左翼側は一進一退の状況が続いていた。
「でも、メイベル先輩が不気味だな……」
バズパの後ろ(1-2の円卓本陣寄りの位置)からは、俺のバイトの先輩でもあるメイベルが形勢をうかがってる。
ホドアマ(闇地)という珍しめの二重属性を持つ彼女は、学術科の生徒ながら、魔術科でも滅多にいないほどの強力な複合魔法を使うという。
もし挑戦者側がバズパ相手に隙を見せれば、メイベルからどんな魔法が飛んでくるかわからない。
メイベルが使う魔法の正体については、ハントの情報網を持ってしても、断片的な情報しか得られなかった。
どういうわけか、メイベルはまだ動いてない。
左翼側が膠着してるのはそのせいもあった。
バズパが一時下がることがあっても、挑戦者側はメイベルの術を警戒して深追いできない。
とはいえ、バズパを四人がかりで抑えにかかる挑戦者側は、緊張感を切らさず、安定した戦いぶりを見せている。
区画の属性設定からして、左翼は挑戦者側が事前に想定してた通りの展開になってるんだろうな。
焦りが見えるのは、むしろ反対の右翼側だ。
『何をしている! 早く抜けっ!』
挑戦者側のリーダーが焦った声を上げた。
魔術科一人、学術科二人を割いて攻めのぼろうとする挑戦者側を、円卓は無役職の武術科男子と魔術科女子のコンビが迎え撃つ。
挑戦者側は、本来アタッカーになるはずの武術科の生徒を欠いている。
学術科の二人がその役目を代わりに担ってるようだ。
学術科とはいえ、模擬戦リーグで優勝するようなチームのメンバーだ。
二人の闘いぶりは、武術科の生徒騎士と比べても遜色がない。
2-3に設定された「岩場」を巧みに利用しつつ、右翼を突破しようと。抜け目なく隙を伺ってる。
そのあたりの戦術性は、学術科の面目躍如と言ったところか。
「このレベルになると、術科はあまり関係なくなってくるみたいだな」
「各術科から3人ずつが上限だもんね。学術科の中からいかに強い生徒を見つけるかはけっこう重要らしいよ」
俺のつぶやきに、ロゼがそう言ってくる。
「でも、抜けそうにないな」
円卓側の二人は無役職だ。
エクセリア、バズパ、メイベルに比べれば、単体戦力としては一段以上落ちるだろう。
だが、この二人は、ともに剣を使いつつ、時に魔法も織り交ぜる。
しかも、風と火の魔法のタイミングを合わせ、さながら複合魔法のような火炎の旋風を巻き起こす。
火炎旋風で面を制圧して敵の足を止め、一気に斬り込んで追い詰める。
挑戦者側は、その度に後退を強いられていた。
挑戦者のリーダーは、バズパのいない円卓右翼側を「弱い」と見立てたのだろう。
だが、人数的な劣勢にもかかわらず、円卓の二人はむしろ挑戦者を押し返す勢いだ。
『くそっ……!』
挑戦者のリーダーが、声に焦りをにじませる。
リーダーは、傍らに立つ魔術科生徒を、円卓右翼側への攻撃に合流させた。
これで、右翼側は4対2になった。
さすがに厳しいらしく、円卓の二人がじりじりと下がっていく。
挑戦者側は、2-3の「岩場」の陰からすかさず飛び出し、2-2へと戦線を押し上げる。
そして、さらに円卓コンビを追っていく。
2-2は風属性の設定だが、挑戦者側にもヒュルがいるので、どちらに有利とも言いがたい。
後ろの席で、ぽつりとユナがつぶやいた。
「……そういうこと。円卓もよく考えてる」
「んあ? いきなりなんだよ?」
ラシヴァがユナに聞いている。
「あの二人、まっすぐには下がってない」
「……たしかにそうだな。
でも、本陣のある内側に寄るってんならともかく、なんで外側に開くんだ?」
問い返したラシヴァに、ユナが冷たく言い放つ。
「すこしは自分の頭で考えたら?」
「んだと? ケンカ売ってんのか?」
「そうやってすぐ挑発に乗る。
それではあの円卓には敵わない。副会長以前に、あのコンビにもやられそう。コンビの片方だけと戦ったとしても、どっち相手でもまず勝てない」
「ぐっ……」
ユナの言葉にラシヴァが黙り込む。
ユナとラシヴァは、文字通り水と油みたいな関係だ。
いつもどこかぼーっとしてるようなユナと、いつもカッカしてるラシヴァ。
そもそもユナは、二百年以上前にこの地に攻め込んできたザスターシャ軍と戦って仲間を失ってる。ラシヴァはそのザスターシャの元王子だ。
ユナが過去の遺恨をラシヴァにぶつけたりすることはないものの、どちらも相手に対して腫れ物に触れるような感じになるのもしかたがない。
どっちも気が強いので、腫れ物に触れるようになったかと思えば、その反動で相手に強く出ることもあった。
その上、アマとジトでは相克もある。
この二人を一緒に運用するのは難しいだろう。
(ユナは典型的な後衛術者タイプだ。ユナに合わせられる前衛がほしいんだが、ラシヴァじゃ無理だ。属性の問題だけじゃない。敵陣に斬り込んでいくタイプのラシヴァを、後衛の護衛にするのは無理がある)
ユナの前衛を俺がやるという手もなくはない。
ただ、俺は俺で、行動の自由を確保しておきたい。
奇手や奇襲の多い俺も、盾役に向いてるほうじゃないからな。
(まあ、バズパが今やってるみたいに回避中心で敵を引きつけてもいいんだが……って、んん?)
俺がそんなことを思ったところで、バズパが動きを変えていた。
といっても、微妙な変化だ。
それも、攻めに転じたわけじゃない。
逆に、じりじりと後ろに下がり始めてる。
右翼のコンビと同じく、中央ではなくやや外側に向かって、気づかれない程度に開く形で、挑戦者4人を釘付けにしたまま下がっていく。
サン2人を含む挑戦者は、闇属性の設定された2-2に踏み込むことをしばしためらっていた。
だが、バズパからの反撃がないことに勇気を得て、一気に前線を押し上げる。
「そうか、円卓の狙いは……」
俺のつぶやきを遮るように、円卓が動いた。
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