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第二章 6歳
4 研究の日々
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俺は、光魔法と闇魔法が使えるようになった。
【無荷無覚】のおかげで、相克がどんなに酷かろうと、ストレスに感じることはない。
ジェットコースターに乗ってるのに、恐怖は感じても、ストレスには感じないような感じ……と言って伝わるだろうか。
ストレスを感じない以上、相克で味わう独特の酩酊感やサイケな感覚も、むしろ興味深い体験のようにしか思えない。
相克を味わいながら魔法を使ってるうちに、光と闇の魔力を、体内で分断したまま循環させられることに気がついた。
かなり繊細で難しい操作だが、なにせ俺はストレスを感じない。
いまの俺なら、箸で無数の米粒を別の皿にひとつずつ移せと言われても、苦にすることなく淡々とやってのけるだろう。
こそばゆいようなむずかゆいような感覚に翻弄されながらも、俺は徐々に体内で二つの反発し合う魔力を「隔離」して扱う技術を身につけた。
ここまで、ざっと三ヶ月くらいかかった。
無用な心配や口出しをされないために、そのあいだは両親からは隠れて、一人で練習を繰り返していた。
もう相克を心配しなくていいレベルに達したところで、俺は両親に事情を打ち明けた。
まずは光魔法と闇魔法を実演して、魔法が使えることをわかってもらう。
今後の関係のことを考えて、俺が前世の記憶を取り戻したことも告白した。
両親はもちろん戸惑って、なかなか信じてもらえなかった。
でも、六歳児にして自力で魔法を習得したこと、それも、光闇なんていう克服不能なはずのハズレ二重属性を使いこなしてること、俺の話す前世の記憶が、とても六歳児の作り話には思えないことなどから、なんとか信じてもらうことができた。
……それだけで、まる一ヶ月くらいかかったけどな。
わかってもらうのは大変な労力だったけど、いまの俺はストレスを感じない。
同じことを粘り強く説明し、実演し、わかってもらう。
前世の俺だったら途中で投げてること確実の苦行だったが、いまの俺なら「ああ、やっぱり時間はかかるよな」くらいの受け止め方で済んでしまう。
今なら敏腕セールスマンにもなれそうだ。
ともあれそうして、俺が魔法を使うことは両親の認知するところとなった。
そうなると、俺の両親も二重属性の優秀な魔術師だ。
ともすれば、俺以上に探究心が強い。
俺は二人の有力な協力者を得て、魔法の研究に没頭した。
今日も、屋敷にあてがってもらった実験室で、俺は魔法の実験に勤しんでる。
俺は光と闇しか使えないので、今日は母さんに手伝ってもらう。
やるのは、火魔法の検証だ。
ガラス瓶に火のついたろうそくを入れ、ガラス板で蓋をする。
火はしばらく燃え続けるが、瓶の中の酸素を使い切ったところで火が消える。
たぶん、日本中の誰もが中学校でやらされる実験だ。
その後、石灰水に空気を通し、二酸化炭素で白く濁ることを確認するまでが1セット。
クラスのお調子者が、「上方チカン、下方チカン、水中チカン」に反応して騒ぎ出すのもお約束だ。
全然関係ないけど、理科の実験中にピンセットをコンセントに差し込んで救急車で運ばれたあいつ、今頃どんな人生を送ってるんだろうな……。
(って、そうじゃなかった)
今回は、石灰水は必要ない。
瓶の中に酸素がなければそれでいい。
「じゃあ、母さん。この瓶の中に魔法で火を生んでみて」
「なるほど……よく考えたわね」
母・ミスラが褒めてくれる。
さすがは魔術師。実験の狙いを正しく理解してくれている。
母さんは、火風の二重属性の持ち主だ。
複合魔法すら使いこなす高位の魔術師なので、瓶の中に直接火を生むくらいは朝飯前だ。
「じゃあ、やってみるわよ。『火よ』」
母さんが瓶に手をかざし、魔法を使う。
魔法を使うのに、呪文的なものは必要ない。
黙ったままでも使おうと思えば使える。
そこまで高等技術というわけでもなく、いっぱしの魔術師ならみんなできることらしい。
じゃあ、なぜそれでも発動の言葉を口に出すのか?
理由は主に二つある。
1)口に出したほうがイメージをまとめやすい。
無言で魔法を使うのは集中力を余計に使う。
イメージが弱いと威力も下がる。
なので、こっそり魔法を使いたい場合以外は声を出したほうが簡単で効果も大きい。
2)味方に魔法を使ったことを知らせたい。
集団で戦ってる時に無言でいきなり魔法を使うのは、フレンドリーファイヤーの危険がある。
よほど息の通じた相手でもない限り、声を出すのが戦場でのマナーだという。
物騒なマナーもあったものだ。
今回の場合、べつに声を出してはいけない状況でもないし、実験なので、俺に魔法を使ったことを明示したい。
そんなような理由で、声を出して魔法を使ったのだろう。
で、その結果はというと……
「やっぱり、問題なく火が出せるんだな」
ガラス瓶の中に、魔法の火が生まれていた。
その火は、さっきまで灯ってたろうそくの火と、外見上は見分けがつかない。
だが、同じものではありえない。
いま、ガラス瓶の中には酸素がない。
「酸化反応=燃焼」という前世の科学知識から考えれば、この「火」は通常の火とは原理が違うってことになる。
まあ、そもそも何もない空中で燃えてる時点で、通常の火ではありえないんだけどな。
そんなことを、俺は母さんに説明する。
「ふぅん? こんなこと、よく考えついたわね、エリア」
母さんが瓶に手をかざしたままで感心してくれる。
ちなみに、「エリア」っていうのは俺の愛称だ。
前も言ったけど、本名はエリアック=サンヌル=ブランタージュな。
この世界では(すくなくとも俺がいる地域では)、他人に呼びかける時には名前を使う。親しい間柄ではニックネームも使われる。前世の西欧のように名前に対応してニックネームが決まってるということはなく、それぞれが適当に名前を縮めて呼ぶようだ。
父さん――エリオス=ホドアマ=ブランタージュは、伯爵家の当主なので、公式な場ではブランタージュ伯爵と呼ばれるらしい。
親しい友人からはエリオと呼ばれ、母さんからは「あなた」かエリオ。
母さん――ミスラ=ジトヒュル=ブランタージェ(「ジュ」ではない)は、名前が短いので親しい人からはミスラだ。姓の語尾は性別によって変化するが、母さんをブランタージェさんと呼ぶケースはほとんどない。呼んでもブランタージュ伯爵夫人だな。
なお、サンヌルやホドアマのような属性名で呼び合うことはないとのこと。
精霊の加護を示す名前なので、属性名で呼び合うのは精霊的に微妙……みたいな理屈らしい。
そうでなくても、二重属性を除けば六人に一人は同じ属性名だからな。
街の大通りで、「アマさん!」とか「おまえにサンが救えるか!」とか叫んだら、それなりの人数が振り向く計算だ。
振り向いたのは属性名が呼ばれたからじゃなく、おかしなのがいるなと思われただけかもしれないが。
以上、豆知識終わり。
実験に戻ろう。
「母さん、その魔法の火を、瓶の中のろうそくに付けることはできる?」
「やってみるわ。……あら、ダメみたいね」
母さんは魔法の火を火の消えたろうそくの芯に近づけるが、ろうそくに火は灯らなかった。
「じゃあ、こっちに火をつけてみて?」
俺は手に持ってたもう一本のろうそくを、縦に持って母さんに向ける。
「わかったわ。『火よ』」
母さんは、瓶にかざしていた右手を、俺の持ったろうそくに向け直し、魔法を使う。
今度は、問題なく火がついた。
「そうなのよ。魔法の火でものを燃やすことは普通はできるの。戦場で火の魔法が重宝されるのはそのせいね。もし火魔法でものに着火できなかったら、かまどの火すらつけられないわ」
と、母さんが解説してくれる。
屋敷の使用人の中にも、火魔法が使える者がいる。
母さんがいま言ったように、その使用人は、かまどや暖炉やランプの火を、魔法を使ってつけている。
それは、なんら特別なことではない。
この世界に生まれた人間には、一人残らず加護がつく。
この世界における魔法は、「三本目の腕」のような存在なのだ。
(あくまでもこの世界での慣用表現であって、差別的な意図はない……けど)
この世界で魔法が使えないということは、場合によってはそれに匹敵するハンディキャップとなる。
できるわけのない産み分けを試みてまで、サンヌルを避けようとするくらいだからな。
ともあれ、この世界の住人にとって、魔法は使えて当然のものだ。
火魔法を使えば火がつけられる。
そこに疑問を抱く人はほぼいない。
ニュートン以前の地球人が、「りんごはなぜ落ちるのだろう」と疑問に思わなかったのと同じことだ。
「もうひとつ、確かめたいことがあるんだ」
俺は、ろうそくを傾け、溶けたろうをテーブルに落とす。
その上に、火がついたままのろうそくを立てて固定する。
そうしておいて、ガラス瓶を持ち上げ、蓋を押さえて逆さにする。
火の消えたろうそくが落ちてきたので、蓋をわずかにズラして取り出した。
蓋はすぐに閉める。
そうしないと、空気より重い二酸化炭素が逃げるからな。
「それ、どうするの?」
「見てて」
顔に疑問符を浮かべた母さんに答え、俺は逆さになったガラス瓶を、机に固定した火のついたろうそくの上に持ってくる。
蓋を取り、ろうそくにすばやく瓶をかぶせた。
ろうそくの火は、音もなくかき消えた。
「……どういうこと?」
「うん。整理すると、こういうことになると思う。
1、魔法の火は、自然の火とは別の原理に従ってる。
2、魔法の火は、ものに燃え移ることができる。
3、燃え移った魔法の火は、魔法の火そのものではなく、自然の火になっている」
ついでに言うと、魔法の火が燃え移るには、自然の火が発生できる条件を満たしてる必要があることもわかった。
いくら魔法の火を近づけても、周囲に酸素がなければ燃え移らない。
また、もともと火がつけられるものでなければ、いかに魔法の火であっても燃やすことはできない。魔法の火を近づけても、不燃物は不燃物のままなのだ。
「たしかに、地下室みたいに空気が淀んでるところだと、ランプの火がつかないことがあるって聞くわね。そういう地下室にいると窒息して死んじゃうから、ランプの火が消えたらすぐに引き返せって言われてるわ」
「閉め切った部屋でずっと火を焚いてると窒息するのと一緒だね」
「でも、だとしたら、自然の火がつかないような状況で、火の魔法を使う機会はなさそうよね」
「酸素がない=呼吸できない」のだから、そんな場所で火がつけられないことを気にしてもしょうがない。
それは、母さんの言う通りだ。
でも、
「俺が確かめたかったのは、魔法は自然現象を起こしてるんじゃないってことなんだ」
「えっと……どういう意味?」
「はじめは、『闇』ってなんだろうって思ったんだよね。
昼は、太陽から光が降り注ぐから明るい。夜は、太陽が隠れて光が届かないから暗い。闇っていうのは、光がない状態のことだ。
すくなくとも、俺の前世の知識ではそうなってる」
「そ、そうなのかしら……。
でも、闇魔法は、光がない状態を作ってるんじゃなくて、実体のある闇を作ってるわよね? 闇の霧は、光がない状態じゃなくて、闇でできた霧だわ」
「うん、それがさっきの実験につながるんだ。自然の火と魔法の火が別物なら、自然の闇と魔法の闇も別物ってことになりそうだよね」
「ああ、そういうこと。火や闇だけじゃなくて、他の属性にも言えそうね」
「うん、たぶんね。
魔法を前提に考えると、『闇』っていうものが本当に存在するように思えるけど、自然の中に『闇』なんてものは実在しない。単に光がない状態が闇と呼ばれてるだけだ」
「じゃあ、闇魔法っていうのは、魔法で自然にはありえない闇を生み出してるのね?」
「そうなんだけど、それでもちょっと不自然なんだ。
闇に実体があるとすると、闇の霧っていうのは、単なる黒い粒子の集合ってことになる。色の黒い砂煙を作ってる感じかな。
でも、霧を作るなら水魔法でもいいし、砂煙は地魔法で作ったっていい。どうしても闇魔法じゃないといけないわけじゃない」
「工夫次第で別の属性で他の属性を代用することはできるけど、闇ならではの何かがなければ、そもそも闇という属性が存在する意義がない、ということかしら?」
「さすが母さん」
「6歳の子に褒められても反応に困るんだけど……。
とにかく、闇が単に光のない状態なのだとしたら、闇属性の精霊の存在意義がなさそうだものね。光属性の精霊がいれば、光がある状態としての『光』と、光がない状態としての『闇』を、一体だけで司ることができるはず」
母さんが、頬に軽く手を添えながらそう言った。
「うん。それに、そもそも闇の霧は触れないしね。細かな水滴でもなければ、砂煙でもないんだ。そこには何もないんだけど、なぜか光を通さない。そういう現象が起こってる」
「さっきの魔法の火と同じね。自然の火が起きない状況でも魔法の火は起こせた。じゃあ、魔法の火ってなんなのかしら? たしかに不思議だわ」
「火のほうはまだわからないんだけど、闇については仮説があるんだ」
そう言うと、母さんが身を乗り出してきた。
「へえ。どんな?」
「闇は、世界に存在してるわけじゃない。見るものの心の中に存在してる。正確には、世界のその地点に闇があると錯覚させるのが闇魔法ってこと」
「錯覚?」
「うん。光と闇の相克を味わってわかったんだけどさ。光と闇の魔力が脳で衝突すると、そこにないはずの光や闇が『見える』んだ」
「見える……? どういうこと?」
「目はちゃんと目の前の光景を映してるのに、それとは関係なしに、まぶしい感じだったり、暗くて何も見えない感じだったりに襲われる」
「なるほどね……エリアの相克で起こってるのと同じことが、光魔法や闇魔法を使った時にも起こってる、と」
「光魔法の場合は、実際に光も生んでるね。さっきの魔法の火に近い。
でも、光を生まずに、直接相手に『まぶしさ』を錯覚させることもできるんだ」
「えっ……本当に? ちょっとわたしにやってみてくれる?」
母さんが驚き、ノータイムでそう言ってくる。
(さすが魔術師だよな)
普通、そんな得体の知れない魔法をかけられたいとは思わない。
「じゃあ、すごく弱くかけるよ。『眩惑せよ』」
「わっ! 本当にまぶしいわ!」
母さんが目をパチパチさせた。
本当に弱くかけたので、不意にランプの灯りを見てしまったくらいの感じのはずだ。
「いまの術を、母さんじゃなくてその辺の空間に空撃ちするよ。『眩惑せよ』」
「……たしかに、光は出てないわね」
「闇魔法でも同じようなことができるんだ。実際には明るいのに、暗いと思い込ませるってことが」
「そ、そんな仕組みになってたの……」
「有名な闇魔法に、相手を眠らせるって魔法があるよね」
「ええ。でも、あれは使い勝手がすごく悪いって聞いてるわ。
相手を眠らせると同時に自分も眠ってしまう。自分が眠ったら術が解けるから、相手もそれほど経たずに目覚めてしまうって。
相手が眠気に抵抗したら、眠りに落ちるのは術者だけ、なんて間の抜けたことにもなりかねない」
「それはたぶん、自分の脳内でイメージした『眠り』と、相手に錯覚させる『眠り』とがちゃんと区別できてないからだと思うんだ。
だから、魔法が自分の脳内でも発現してしまって、自分で自分の術にかかってしまう。
普通の人は相克を経験したことがないから、魔力を自分の体内で隔離するってことができないんだろうね」
「エリアは、光と闇の魔力をそれぞれ適切に隔離すれば、相克は発生しないって言ってたわね」
「火みたいに自分の外にあるものはイメージしやすいから、自分の脳内で魔法が発動することはないんだろうね。
でも、『眠り』みたいに心の中で思い描く現象は、魔法の発動のために思い描くイメージと、実際の魔法の効果とが、ごっちゃになりやすいんだと思う」
そこで、母さんが片手を額に当て、もう片方の手で俺を制す。
「ちょっと待って。
じゃあエリアは、闇属性の睡眠魔法を、相手に一方的にかけることができるっていうの?」
「できるよ」
俺が言い切ると、
「……それ、大変なことよ。うちの外で言ったりしないでね?」
「それはさすがにわかってる」
モノがモノだけに、悪用の方法には事欠かないからな。
「とにかく、大事なのは自然現象と魔法現象を区別することなんだ。
自然現象の性質にとらわれず、魔法現象独自の性質を把握する。
そうすることで、魔法が本来持ってる大きな可能性が見えてくる……と、思うんだけど。
まぁ、研究はこれからだね」
そう言うと、母さんが拍子抜けしたように肩を落とす。
「なんだ。まだ実用的な話じゃなかったのね」
「そりゃあね。きっと同じことに気づいた魔術師だって過去にはいたと思うけど、めぼしい結果は残してないわけだし」
「それもそうね。サンヌルなのにこれだけの魔法が使えるようになっただけでも精霊様に感謝しなくちゃ」
母さんがそう言って深くうなずく。
魔法の研究と修練に明け暮れるうちに、日々はあっという間に過ぎていった。
そして、その三年後。
ブランタージュ伯爵領に、予想すらしていなかった危機が襲いかかる。
【無荷無覚】のおかげで、相克がどんなに酷かろうと、ストレスに感じることはない。
ジェットコースターに乗ってるのに、恐怖は感じても、ストレスには感じないような感じ……と言って伝わるだろうか。
ストレスを感じない以上、相克で味わう独特の酩酊感やサイケな感覚も、むしろ興味深い体験のようにしか思えない。
相克を味わいながら魔法を使ってるうちに、光と闇の魔力を、体内で分断したまま循環させられることに気がついた。
かなり繊細で難しい操作だが、なにせ俺はストレスを感じない。
いまの俺なら、箸で無数の米粒を別の皿にひとつずつ移せと言われても、苦にすることなく淡々とやってのけるだろう。
こそばゆいようなむずかゆいような感覚に翻弄されながらも、俺は徐々に体内で二つの反発し合う魔力を「隔離」して扱う技術を身につけた。
ここまで、ざっと三ヶ月くらいかかった。
無用な心配や口出しをされないために、そのあいだは両親からは隠れて、一人で練習を繰り返していた。
もう相克を心配しなくていいレベルに達したところで、俺は両親に事情を打ち明けた。
まずは光魔法と闇魔法を実演して、魔法が使えることをわかってもらう。
今後の関係のことを考えて、俺が前世の記憶を取り戻したことも告白した。
両親はもちろん戸惑って、なかなか信じてもらえなかった。
でも、六歳児にして自力で魔法を習得したこと、それも、光闇なんていう克服不能なはずのハズレ二重属性を使いこなしてること、俺の話す前世の記憶が、とても六歳児の作り話には思えないことなどから、なんとか信じてもらうことができた。
……それだけで、まる一ヶ月くらいかかったけどな。
わかってもらうのは大変な労力だったけど、いまの俺はストレスを感じない。
同じことを粘り強く説明し、実演し、わかってもらう。
前世の俺だったら途中で投げてること確実の苦行だったが、いまの俺なら「ああ、やっぱり時間はかかるよな」くらいの受け止め方で済んでしまう。
今なら敏腕セールスマンにもなれそうだ。
ともあれそうして、俺が魔法を使うことは両親の認知するところとなった。
そうなると、俺の両親も二重属性の優秀な魔術師だ。
ともすれば、俺以上に探究心が強い。
俺は二人の有力な協力者を得て、魔法の研究に没頭した。
今日も、屋敷にあてがってもらった実験室で、俺は魔法の実験に勤しんでる。
俺は光と闇しか使えないので、今日は母さんに手伝ってもらう。
やるのは、火魔法の検証だ。
ガラス瓶に火のついたろうそくを入れ、ガラス板で蓋をする。
火はしばらく燃え続けるが、瓶の中の酸素を使い切ったところで火が消える。
たぶん、日本中の誰もが中学校でやらされる実験だ。
その後、石灰水に空気を通し、二酸化炭素で白く濁ることを確認するまでが1セット。
クラスのお調子者が、「上方チカン、下方チカン、水中チカン」に反応して騒ぎ出すのもお約束だ。
全然関係ないけど、理科の実験中にピンセットをコンセントに差し込んで救急車で運ばれたあいつ、今頃どんな人生を送ってるんだろうな……。
(って、そうじゃなかった)
今回は、石灰水は必要ない。
瓶の中に酸素がなければそれでいい。
「じゃあ、母さん。この瓶の中に魔法で火を生んでみて」
「なるほど……よく考えたわね」
母・ミスラが褒めてくれる。
さすがは魔術師。実験の狙いを正しく理解してくれている。
母さんは、火風の二重属性の持ち主だ。
複合魔法すら使いこなす高位の魔術師なので、瓶の中に直接火を生むくらいは朝飯前だ。
「じゃあ、やってみるわよ。『火よ』」
母さんが瓶に手をかざし、魔法を使う。
魔法を使うのに、呪文的なものは必要ない。
黙ったままでも使おうと思えば使える。
そこまで高等技術というわけでもなく、いっぱしの魔術師ならみんなできることらしい。
じゃあ、なぜそれでも発動の言葉を口に出すのか?
理由は主に二つある。
1)口に出したほうがイメージをまとめやすい。
無言で魔法を使うのは集中力を余計に使う。
イメージが弱いと威力も下がる。
なので、こっそり魔法を使いたい場合以外は声を出したほうが簡単で効果も大きい。
2)味方に魔法を使ったことを知らせたい。
集団で戦ってる時に無言でいきなり魔法を使うのは、フレンドリーファイヤーの危険がある。
よほど息の通じた相手でもない限り、声を出すのが戦場でのマナーだという。
物騒なマナーもあったものだ。
今回の場合、べつに声を出してはいけない状況でもないし、実験なので、俺に魔法を使ったことを明示したい。
そんなような理由で、声を出して魔法を使ったのだろう。
で、その結果はというと……
「やっぱり、問題なく火が出せるんだな」
ガラス瓶の中に、魔法の火が生まれていた。
その火は、さっきまで灯ってたろうそくの火と、外見上は見分けがつかない。
だが、同じものではありえない。
いま、ガラス瓶の中には酸素がない。
「酸化反応=燃焼」という前世の科学知識から考えれば、この「火」は通常の火とは原理が違うってことになる。
まあ、そもそも何もない空中で燃えてる時点で、通常の火ではありえないんだけどな。
そんなことを、俺は母さんに説明する。
「ふぅん? こんなこと、よく考えついたわね、エリア」
母さんが瓶に手をかざしたままで感心してくれる。
ちなみに、「エリア」っていうのは俺の愛称だ。
前も言ったけど、本名はエリアック=サンヌル=ブランタージュな。
この世界では(すくなくとも俺がいる地域では)、他人に呼びかける時には名前を使う。親しい間柄ではニックネームも使われる。前世の西欧のように名前に対応してニックネームが決まってるということはなく、それぞれが適当に名前を縮めて呼ぶようだ。
父さん――エリオス=ホドアマ=ブランタージュは、伯爵家の当主なので、公式な場ではブランタージュ伯爵と呼ばれるらしい。
親しい友人からはエリオと呼ばれ、母さんからは「あなた」かエリオ。
母さん――ミスラ=ジトヒュル=ブランタージェ(「ジュ」ではない)は、名前が短いので親しい人からはミスラだ。姓の語尾は性別によって変化するが、母さんをブランタージェさんと呼ぶケースはほとんどない。呼んでもブランタージュ伯爵夫人だな。
なお、サンヌルやホドアマのような属性名で呼び合うことはないとのこと。
精霊の加護を示す名前なので、属性名で呼び合うのは精霊的に微妙……みたいな理屈らしい。
そうでなくても、二重属性を除けば六人に一人は同じ属性名だからな。
街の大通りで、「アマさん!」とか「おまえにサンが救えるか!」とか叫んだら、それなりの人数が振り向く計算だ。
振り向いたのは属性名が呼ばれたからじゃなく、おかしなのがいるなと思われただけかもしれないが。
以上、豆知識終わり。
実験に戻ろう。
「母さん、その魔法の火を、瓶の中のろうそくに付けることはできる?」
「やってみるわ。……あら、ダメみたいね」
母さんは魔法の火を火の消えたろうそくの芯に近づけるが、ろうそくに火は灯らなかった。
「じゃあ、こっちに火をつけてみて?」
俺は手に持ってたもう一本のろうそくを、縦に持って母さんに向ける。
「わかったわ。『火よ』」
母さんは、瓶にかざしていた右手を、俺の持ったろうそくに向け直し、魔法を使う。
今度は、問題なく火がついた。
「そうなのよ。魔法の火でものを燃やすことは普通はできるの。戦場で火の魔法が重宝されるのはそのせいね。もし火魔法でものに着火できなかったら、かまどの火すらつけられないわ」
と、母さんが解説してくれる。
屋敷の使用人の中にも、火魔法が使える者がいる。
母さんがいま言ったように、その使用人は、かまどや暖炉やランプの火を、魔法を使ってつけている。
それは、なんら特別なことではない。
この世界に生まれた人間には、一人残らず加護がつく。
この世界における魔法は、「三本目の腕」のような存在なのだ。
(あくまでもこの世界での慣用表現であって、差別的な意図はない……けど)
この世界で魔法が使えないということは、場合によってはそれに匹敵するハンディキャップとなる。
できるわけのない産み分けを試みてまで、サンヌルを避けようとするくらいだからな。
ともあれ、この世界の住人にとって、魔法は使えて当然のものだ。
火魔法を使えば火がつけられる。
そこに疑問を抱く人はほぼいない。
ニュートン以前の地球人が、「りんごはなぜ落ちるのだろう」と疑問に思わなかったのと同じことだ。
「もうひとつ、確かめたいことがあるんだ」
俺は、ろうそくを傾け、溶けたろうをテーブルに落とす。
その上に、火がついたままのろうそくを立てて固定する。
そうしておいて、ガラス瓶を持ち上げ、蓋を押さえて逆さにする。
火の消えたろうそくが落ちてきたので、蓋をわずかにズラして取り出した。
蓋はすぐに閉める。
そうしないと、空気より重い二酸化炭素が逃げるからな。
「それ、どうするの?」
「見てて」
顔に疑問符を浮かべた母さんに答え、俺は逆さになったガラス瓶を、机に固定した火のついたろうそくの上に持ってくる。
蓋を取り、ろうそくにすばやく瓶をかぶせた。
ろうそくの火は、音もなくかき消えた。
「……どういうこと?」
「うん。整理すると、こういうことになると思う。
1、魔法の火は、自然の火とは別の原理に従ってる。
2、魔法の火は、ものに燃え移ることができる。
3、燃え移った魔法の火は、魔法の火そのものではなく、自然の火になっている」
ついでに言うと、魔法の火が燃え移るには、自然の火が発生できる条件を満たしてる必要があることもわかった。
いくら魔法の火を近づけても、周囲に酸素がなければ燃え移らない。
また、もともと火がつけられるものでなければ、いかに魔法の火であっても燃やすことはできない。魔法の火を近づけても、不燃物は不燃物のままなのだ。
「たしかに、地下室みたいに空気が淀んでるところだと、ランプの火がつかないことがあるって聞くわね。そういう地下室にいると窒息して死んじゃうから、ランプの火が消えたらすぐに引き返せって言われてるわ」
「閉め切った部屋でずっと火を焚いてると窒息するのと一緒だね」
「でも、だとしたら、自然の火がつかないような状況で、火の魔法を使う機会はなさそうよね」
「酸素がない=呼吸できない」のだから、そんな場所で火がつけられないことを気にしてもしょうがない。
それは、母さんの言う通りだ。
でも、
「俺が確かめたかったのは、魔法は自然現象を起こしてるんじゃないってことなんだ」
「えっと……どういう意味?」
「はじめは、『闇』ってなんだろうって思ったんだよね。
昼は、太陽から光が降り注ぐから明るい。夜は、太陽が隠れて光が届かないから暗い。闇っていうのは、光がない状態のことだ。
すくなくとも、俺の前世の知識ではそうなってる」
「そ、そうなのかしら……。
でも、闇魔法は、光がない状態を作ってるんじゃなくて、実体のある闇を作ってるわよね? 闇の霧は、光がない状態じゃなくて、闇でできた霧だわ」
「うん、それがさっきの実験につながるんだ。自然の火と魔法の火が別物なら、自然の闇と魔法の闇も別物ってことになりそうだよね」
「ああ、そういうこと。火や闇だけじゃなくて、他の属性にも言えそうね」
「うん、たぶんね。
魔法を前提に考えると、『闇』っていうものが本当に存在するように思えるけど、自然の中に『闇』なんてものは実在しない。単に光がない状態が闇と呼ばれてるだけだ」
「じゃあ、闇魔法っていうのは、魔法で自然にはありえない闇を生み出してるのね?」
「そうなんだけど、それでもちょっと不自然なんだ。
闇に実体があるとすると、闇の霧っていうのは、単なる黒い粒子の集合ってことになる。色の黒い砂煙を作ってる感じかな。
でも、霧を作るなら水魔法でもいいし、砂煙は地魔法で作ったっていい。どうしても闇魔法じゃないといけないわけじゃない」
「工夫次第で別の属性で他の属性を代用することはできるけど、闇ならではの何かがなければ、そもそも闇という属性が存在する意義がない、ということかしら?」
「さすが母さん」
「6歳の子に褒められても反応に困るんだけど……。
とにかく、闇が単に光のない状態なのだとしたら、闇属性の精霊の存在意義がなさそうだものね。光属性の精霊がいれば、光がある状態としての『光』と、光がない状態としての『闇』を、一体だけで司ることができるはず」
母さんが、頬に軽く手を添えながらそう言った。
「うん。それに、そもそも闇の霧は触れないしね。細かな水滴でもなければ、砂煙でもないんだ。そこには何もないんだけど、なぜか光を通さない。そういう現象が起こってる」
「さっきの魔法の火と同じね。自然の火が起きない状況でも魔法の火は起こせた。じゃあ、魔法の火ってなんなのかしら? たしかに不思議だわ」
「火のほうはまだわからないんだけど、闇については仮説があるんだ」
そう言うと、母さんが身を乗り出してきた。
「へえ。どんな?」
「闇は、世界に存在してるわけじゃない。見るものの心の中に存在してる。正確には、世界のその地点に闇があると錯覚させるのが闇魔法ってこと」
「錯覚?」
「うん。光と闇の相克を味わってわかったんだけどさ。光と闇の魔力が脳で衝突すると、そこにないはずの光や闇が『見える』んだ」
「見える……? どういうこと?」
「目はちゃんと目の前の光景を映してるのに、それとは関係なしに、まぶしい感じだったり、暗くて何も見えない感じだったりに襲われる」
「なるほどね……エリアの相克で起こってるのと同じことが、光魔法や闇魔法を使った時にも起こってる、と」
「光魔法の場合は、実際に光も生んでるね。さっきの魔法の火に近い。
でも、光を生まずに、直接相手に『まぶしさ』を錯覚させることもできるんだ」
「えっ……本当に? ちょっとわたしにやってみてくれる?」
母さんが驚き、ノータイムでそう言ってくる。
(さすが魔術師だよな)
普通、そんな得体の知れない魔法をかけられたいとは思わない。
「じゃあ、すごく弱くかけるよ。『眩惑せよ』」
「わっ! 本当にまぶしいわ!」
母さんが目をパチパチさせた。
本当に弱くかけたので、不意にランプの灯りを見てしまったくらいの感じのはずだ。
「いまの術を、母さんじゃなくてその辺の空間に空撃ちするよ。『眩惑せよ』」
「……たしかに、光は出てないわね」
「闇魔法でも同じようなことができるんだ。実際には明るいのに、暗いと思い込ませるってことが」
「そ、そんな仕組みになってたの……」
「有名な闇魔法に、相手を眠らせるって魔法があるよね」
「ええ。でも、あれは使い勝手がすごく悪いって聞いてるわ。
相手を眠らせると同時に自分も眠ってしまう。自分が眠ったら術が解けるから、相手もそれほど経たずに目覚めてしまうって。
相手が眠気に抵抗したら、眠りに落ちるのは術者だけ、なんて間の抜けたことにもなりかねない」
「それはたぶん、自分の脳内でイメージした『眠り』と、相手に錯覚させる『眠り』とがちゃんと区別できてないからだと思うんだ。
だから、魔法が自分の脳内でも発現してしまって、自分で自分の術にかかってしまう。
普通の人は相克を経験したことがないから、魔力を自分の体内で隔離するってことができないんだろうね」
「エリアは、光と闇の魔力をそれぞれ適切に隔離すれば、相克は発生しないって言ってたわね」
「火みたいに自分の外にあるものはイメージしやすいから、自分の脳内で魔法が発動することはないんだろうね。
でも、『眠り』みたいに心の中で思い描く現象は、魔法の発動のために思い描くイメージと、実際の魔法の効果とが、ごっちゃになりやすいんだと思う」
そこで、母さんが片手を額に当て、もう片方の手で俺を制す。
「ちょっと待って。
じゃあエリアは、闇属性の睡眠魔法を、相手に一方的にかけることができるっていうの?」
「できるよ」
俺が言い切ると、
「……それ、大変なことよ。うちの外で言ったりしないでね?」
「それはさすがにわかってる」
モノがモノだけに、悪用の方法には事欠かないからな。
「とにかく、大事なのは自然現象と魔法現象を区別することなんだ。
自然現象の性質にとらわれず、魔法現象独自の性質を把握する。
そうすることで、魔法が本来持ってる大きな可能性が見えてくる……と、思うんだけど。
まぁ、研究はこれからだね」
そう言うと、母さんが拍子抜けしたように肩を落とす。
「なんだ。まだ実用的な話じゃなかったのね」
「そりゃあね。きっと同じことに気づいた魔術師だって過去にはいたと思うけど、めぼしい結果は残してないわけだし」
「それもそうね。サンヌルなのにこれだけの魔法が使えるようになっただけでも精霊様に感謝しなくちゃ」
母さんがそう言って深くうなずく。
魔法の研究と修練に明け暮れるうちに、日々はあっという間に過ぎていった。
そして、その三年後。
ブランタージュ伯爵領に、予想すらしていなかった危機が襲いかかる。
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