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吉川大育
第22話・深淵を覗き込むものは
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むがしめっこめねえの
やまっこのだれもいねええさとまっだどぎ
すげねはんで
うだっこうだってだんだと
したらうたっごうだってけって
おなごしゃべったはんで
なんぼがうだっこうだってやったんだ
してあさまさなったんだど
したら
おなごがなめっこしゃべったんだとさ
■■■■■
おやまばおりだ
めっこみめねえの
むらのひとさ
きののばんげのこと
べろっとしゃべってまったら
しんでまったんだとさ
しらたそごさ
**********
バイト先のコンビニには、駐車場がある。
その日、俺はバイト上がりの前に、駐車場のゴミ拾いをしていた。
駐車場には三台ほど停車してて、そのうちの一台はとなりの市のナンバーだった。珍しくはなかったけれど、国内最高額のSUV車だった。
車には興味はないが、先日、車があったらもう少し節約できるのにと思い検索した時に、興味本位で調べたときに目にした。
俺が店内に入り着替えている間に、買い物を済ませて駐車場から出ていったから、どんな人が乗っていたのかは分からない。
「おや?」
バイトを終えた俺は、いつものチェーンのファミレスに。
そこでコンビニに駐車していた車と再会した。
ベトナム人が経営しているベトナム料理店に入店したようで、高級SUV車が停まっている。
ファミレス隣のベトナム料理店は、普通乗用車が六台駐車できるスペースがあった。
ベトナム料理店に停めて安いチェーン店に入ろうとすると、ベトナム料理店の人が出てきて注意されるので、チェーン店の入り口には「駐車場はお隣のベトナム料理店さんの駐車場ですので、絶対に駐車しないでください」と貼り紙されている。
――どんなヤツなんだろう
少しだけ車に乗っていた人が気になったが、その為にベトナム料理店に入って誰かを確認するためだけに、安いものでも一品2500円以上の料理を注文する気にはなれない――料金は店の前に置かれているA型のブラックボードに書かれている。
チェーン店より安いとは思っていなかったけれど、一品2500円以上と書かれていてすぐに退散した。
店長がいうには、ランチタイムは3800円だとか。アルバイトで生活している俺には、手が出せない。
――ま、Wi-Fiは使わせてもらうけど
フランス料理店の居抜き物件なベトナム料理店を尻目に、俺はファミレスに入店して、いつも通りベトナム料理店に近い席に座る――以前離れた所に座ったら、Wi-Fiが使えなくてイライラしたから、ぜったいにベトナム料理店側の席に座るようにしている。
「ん……」
注文を終えてスマホを取り出す。いつもはすぐにフリーWi-Fiがつながるのだが、
「もう一回、承認か」
なにかの拍子にログアウトしたらしい。
設定からWi-Fiへ。隣に店の店名と同じ【yagyu】を選び、ログインに使用していたSNSをタップすると、問題なく繋がった。
食事を終えて店から出ると、閉店時間を過ぎているはずなのに、隣のベトナム料理店の駐車場に、あの県外ナンバーの高級SUV車が停まっていた。
A型のブラックボードはなく、窓にはブランドが降りている。
照明もすべて消えているが、カーテンの隙間から明かりが漏れてきている――それを眺めていると、駐車場に一台の車が入ってきた。
黒のハイエースで、運転席から降りたスーツを着た男性は、入り口ドアの丸い輪っかのようなものを掴んでドアを叩いた。。
「遅くなりました、渡辺です」
声に反応して、ドアが開く。
ハイエースから降りた人と、出迎えた人の影で店内を見ることはできなかった。
通知:1件
ここだけ、手軽ニ儲けられるはナし
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車には興味はないが、先日、車があったらもう少し節約できるのにと思い検索した時に、興味本位で調べたときに目にした。
俺が店内に入り着替えている間に、買い物を済ませて駐車場から出ていったから、どんな人が乗っていたのかは分からない。
「おや?」
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そこでコンビニに駐車していた車と再会した。
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ファミレス隣のベトナム料理店は、普通乗用車が六台駐車できるスペースがあった。
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黒のハイエースで、運転席から降りたスーツを着た男性は、入り口ドアの丸い輪っかのようなものを掴んでドアを叩いた。。
「遅くなりました、渡辺です」
声に反応して、ドアが開く。
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