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「わたくし、学園に入学する一ヶ月ほど前に、ノーラ・アルノワという行方不明になった庶民を探して欲しいと依頼されたの。依頼された経緯なんてものは、語るつもりはないけど、面白そうなので引き受けたのよね」
ノーラの名が出たとき、犯人ははっきりとした反応を見せ――トリスタンは身を屈め、カサンドラに耳打ちする。
カサンドラは扇を開いて口元を隠して微笑を浮かべ――すぐに扇を手の平に打ちつけ領にして閉じジョスランを指して、
「調べた結果、犯人は宰相の養子ジョスラン・ギヌメールだということが判明したのよ」
犯人だと言い放った。
会場は水を打ったように静まり返ったあと、凪いだ水面に水滴が落ちて広がる波紋のようにざわめきが広がる。
「証拠は!」
カサンドラに無視されていた宰相が、再び叫ぶ。
「宰相。お前は優秀で両親を失った子を、跡取りにした……で、間違いはないのよね」
”あらお前、まだそこにいたの。そしてその質問褒めてやるわ”と――
「その通りだ」
「第二王子の側にいるあの男が、ジョスラン・ブラスローだという証拠はあるの?」
カサンドラの口から”ブラスロー”という姓が出てきたことで、しっかりと調べていることを感じ取った宰相は”これは負けだ”と分かったが、途中で投げ出すわけにもいかず話を続ける。
「ジョスラン・ブラスローの出生証明書を持っていた。周りの者たちもそうだと証言していたそうだ」
「お前が地元に足を運んだわけではないのよね」
「部下を派遣した」
「それは抜き打ちで? それとも、何時訪れるか前もって連絡を入れてから?」
「もちろん……連絡を入れてからだ」
事前に訪問のアポイントメントを取るのは、礼儀として当然のこと。責められる覚えはないが、
「日時が分かっているのなら、その日に合わせて別人を用意できるわよね。お前だってできるでしょう、宰相」
「…………否定はしない」
否定もできない。そして今まで「ジョスラン」だと思って接してきた養子に視線を向ける。
「ジョスラン・ギヌメールにはいないのでしょうけれど、ジョスラン・ブラスローは友人がいたのよ。名はイーサンで、お前たちがブラスローに目を付ける前の知り合い」
ジョスランは目を見開き、顔には脂汗が浮かび、その姿にハルトヴィンは後ずさり、ナディアにぶつかった。
「友人のイーサンは、ジョスラン・ブラスローが宰相の養子になったということで、連絡を取り会いたいと手紙が届いた。ブラスローの昔の友人からの手紙に驚いたけれど、このままにしておけないと考えて、会ってイーサンを殺害することにした」
「ライヒシュタインは小説でも書かれたら宜しいのでは?」
顔色の悪さ、裏返った声は震えている――動揺を隠せないまま、だがジョスランは言い返した。
「どうして?」
「あまりにも想像力が豊かなので。驚きました」
「わたくし、想像などしていないわ。だって、イーサン本人から聞いたんですもの。ねえ、お前」
カサンドラがトリスタンを意味ありげに見上げる。この時点で会場にいる、カサンドラと帝国の三人以外で「イーサン」が帝国の人間であることを知っている者はいない――はずなのだが、
「まさかっ!」
カサンドラの意味ありげな視線を見て、イーサンが何者なのかを知っているジョスランは、自分に後がないことを悟った。
「どうしたの? 宰相の養子」
「そんなこと……いや、わたしは、そんな人物とは会っていない」
”いますぐ逃げよう”と思うも、気付けば異国の意匠が施されたフードを被った女性――メリザンドがいつの間にか、ジョスランがいる場所からもっとも近い出入り口に移動し、腰に差した背骨の柄に触れていた。
「生きているはずがない……なんて、言えないものね。殺害した本人でもない限り」
気を取られていたジョスランは、カサンドラの決定的な台詞に対して、咄嗟に言い返すことができなかった。
「宰相の養子に襲われたイーサンは、生き延びたのよ」
「…………」
「ここにイーサンの上司がいるわ。説明なさい」
「いきなり、俺にふるの? それに俺はイーサンの上官じゃないんだが」
「あら、お前。説明もできない愚図なの? 愚図なの?」
そのあまりな物言いに、メリザンドが肩を震わせる――フードの端についている、幾つかの鈴が震えにあわせて揺れて、透明感のある音が響く。
ハルトヴィンの護衛デュドネは、メリザンドが移動した時に、鈴の音がまったく聞こえなかったことに気付き――注意がそちらへと向いた。
「俺は帝国出身で、ハンス・シュミットと名乗っている……こんな大勢の前でこの名を名乗るのは、恥ずかしいものだな」
「似合ってるわよ、お前らしくて」
「そいつはどうも。ゼータの姫からのご指名なので、説明をするが、イーサンは故郷を出てから帝国に渡り軍に入隊した。そこからいろいろあって、イーサンは帝国の渉外部に所属になり、この国にとある取引を持ちかけるためにやってきた。帝国の国策の一環として」
”イーサンを殺害”と聞いた時点で「なんということをしてくれたのだ」と、内心で怒りを抱えていた宰相は、
「国策だと……」
帝国籍取得して、渉外担当になった人物に、無断で危害を加えようとしたと知り――いかにジョスランを上手く切り捨て、自分に被害が及ばないようにするかを考え始めた。
「昔の知り合いが、宰相家の跡取りになっているという事前情報を掴んでいたので、昔の知り合いにコンタクトを取り、非公式で宰相と会おうと考えた。それで、昔のノリのまま”ドバーチだ。お前の秘密は知っている。秘密をバラされたくなければ……”という手紙を書いて送ってしまった。イーサンが知っているジョスランは、笑ってやって来てくれるような男だったらしいのだが、成り代わっている男にしてみれば、ただの恐喝だ」
「そのドバーチって、なんなの?」
「イーサンの渾名だ。ジョスラン・ブラスローなら知っていて当然のな」
「そういうこと」
「人目につかないところに呼び出したのは、イーサンなりの配慮だ。宰相の養子が、帝国の役人の一人と会っているところを見られたら、後々困るかも知れない……というな。その配慮のせいで、ますます恐喝っぽくなったんだが」
「後ろ暗い人間からしてみれば、最悪な状況ね」
「そこでイーサンは、宰相の養子に襲われた。まあ、避けることも出来たが、帝国の役人を負傷させたというのは、交渉に際して大きなアドバンテージになる」
ハルトヴィンがフレデリカに婚約破棄を言い渡した時などとは、比べ物にならないほど会場が一瞬で凍え、ざわつきが大きくなる。
オルフロンデッタ王は硬直し、カエターンのほうを見る――バースクレイズ王国と縁を切らなければ、自国に被害が及ぶかもしれないと。
「死んだふりをしたイーサンを、ジョスラン・ギヌメール死体を埋めようとしたのは、学園の敷地内。そこには既に穴が掘られていて、女性の死体が投げ込まれていた。確認したところノーラ・アルノワだった」
ノーラ・アルノワのことを知っている、卒業生たちから悲鳴があがる。
「帝国側から見ると、昔の伝手を頼って訪れたら、全く素性が違う見ず知らずの人間が殺しにかかってきた……というわけね」
「そうだ。それも宰相の養子という立場の人間がだ。これは自分たちの手には負えないということで、本国に指示を仰ぎ……俺たちが来た」
トリスタンはそう言い、カエターンに視線を向ける。人の輪から少し離れたところにいた、顔に深い皺が刻まれている老人は、この状況を分かっていながら軽く手を上げ――大きな鈴が揺れて清らかな音が鳴る。
彼が退位した皇帝だと知っている宰相の顔は、死人のような有様だった。
「宰相の養子は、お前たちみたいな、とんでもないものを呼び込んでしまったわけね」
「とんでもないもの……と言われると、ちょっと傷付くんだが」
「そう。それで、宰相の養子に同じことを何度も言わせるつもりはないから、言っておくわ。この話は妄想ではないの。あなたがノーラ・アルノワとイーサンを埋めた穴はね、いま掘り起こされているのよ」
早鐘のように心臓が高鳴っているジョスラン――何か言わなければという気持ちはあるが、鼓膜を打つ鼓動によって、思考が纏まらない。
「お前が絶対に学園に足を運べない時に、掘り起こして現場検証をして逮捕する。下手に用事を作るより、もともとの行事を使ったほうが確実でしょ? だから、しばらく泳がせていたのよ」
言葉を発することができないジョスランに、扇を開き口元を隠しながら、カサンドラは「とっくの昔に分かっていたのよ」と。
絶対の自信を湛えた闇の王家を表す暗紫の瞳を前に、ジョスランは「口からの出任せだ」――その一言を発することができなかった。
「イーサンにも確認させた。お前で間違いないそうだ」
「…………」
自身の包囲網が、こんなにも狭まっていたことに、ジョスランは全く気付いていなかった。
ノーラの名が出たとき、犯人ははっきりとした反応を見せ――トリスタンは身を屈め、カサンドラに耳打ちする。
カサンドラは扇を開いて口元を隠して微笑を浮かべ――すぐに扇を手の平に打ちつけ領にして閉じジョスランを指して、
「調べた結果、犯人は宰相の養子ジョスラン・ギヌメールだということが判明したのよ」
犯人だと言い放った。
会場は水を打ったように静まり返ったあと、凪いだ水面に水滴が落ちて広がる波紋のようにざわめきが広がる。
「証拠は!」
カサンドラに無視されていた宰相が、再び叫ぶ。
「宰相。お前は優秀で両親を失った子を、跡取りにした……で、間違いはないのよね」
”あらお前、まだそこにいたの。そしてその質問褒めてやるわ”と――
「その通りだ」
「第二王子の側にいるあの男が、ジョスラン・ブラスローだという証拠はあるの?」
カサンドラの口から”ブラスロー”という姓が出てきたことで、しっかりと調べていることを感じ取った宰相は”これは負けだ”と分かったが、途中で投げ出すわけにもいかず話を続ける。
「ジョスラン・ブラスローの出生証明書を持っていた。周りの者たちもそうだと証言していたそうだ」
「お前が地元に足を運んだわけではないのよね」
「部下を派遣した」
「それは抜き打ちで? それとも、何時訪れるか前もって連絡を入れてから?」
「もちろん……連絡を入れてからだ」
事前に訪問のアポイントメントを取るのは、礼儀として当然のこと。責められる覚えはないが、
「日時が分かっているのなら、その日に合わせて別人を用意できるわよね。お前だってできるでしょう、宰相」
「…………否定はしない」
否定もできない。そして今まで「ジョスラン」だと思って接してきた養子に視線を向ける。
「ジョスラン・ギヌメールにはいないのでしょうけれど、ジョスラン・ブラスローは友人がいたのよ。名はイーサンで、お前たちがブラスローに目を付ける前の知り合い」
ジョスランは目を見開き、顔には脂汗が浮かび、その姿にハルトヴィンは後ずさり、ナディアにぶつかった。
「友人のイーサンは、ジョスラン・ブラスローが宰相の養子になったということで、連絡を取り会いたいと手紙が届いた。ブラスローの昔の友人からの手紙に驚いたけれど、このままにしておけないと考えて、会ってイーサンを殺害することにした」
「ライヒシュタインは小説でも書かれたら宜しいのでは?」
顔色の悪さ、裏返った声は震えている――動揺を隠せないまま、だがジョスランは言い返した。
「どうして?」
「あまりにも想像力が豊かなので。驚きました」
「わたくし、想像などしていないわ。だって、イーサン本人から聞いたんですもの。ねえ、お前」
カサンドラがトリスタンを意味ありげに見上げる。この時点で会場にいる、カサンドラと帝国の三人以外で「イーサン」が帝国の人間であることを知っている者はいない――はずなのだが、
「まさかっ!」
カサンドラの意味ありげな視線を見て、イーサンが何者なのかを知っているジョスランは、自分に後がないことを悟った。
「どうしたの? 宰相の養子」
「そんなこと……いや、わたしは、そんな人物とは会っていない」
”いますぐ逃げよう”と思うも、気付けば異国の意匠が施されたフードを被った女性――メリザンドがいつの間にか、ジョスランがいる場所からもっとも近い出入り口に移動し、腰に差した背骨の柄に触れていた。
「生きているはずがない……なんて、言えないものね。殺害した本人でもない限り」
気を取られていたジョスランは、カサンドラの決定的な台詞に対して、咄嗟に言い返すことができなかった。
「宰相の養子に襲われたイーサンは、生き延びたのよ」
「…………」
「ここにイーサンの上司がいるわ。説明なさい」
「いきなり、俺にふるの? それに俺はイーサンの上官じゃないんだが」
「あら、お前。説明もできない愚図なの? 愚図なの?」
そのあまりな物言いに、メリザンドが肩を震わせる――フードの端についている、幾つかの鈴が震えにあわせて揺れて、透明感のある音が響く。
ハルトヴィンの護衛デュドネは、メリザンドが移動した時に、鈴の音がまったく聞こえなかったことに気付き――注意がそちらへと向いた。
「俺は帝国出身で、ハンス・シュミットと名乗っている……こんな大勢の前でこの名を名乗るのは、恥ずかしいものだな」
「似合ってるわよ、お前らしくて」
「そいつはどうも。ゼータの姫からのご指名なので、説明をするが、イーサンは故郷を出てから帝国に渡り軍に入隊した。そこからいろいろあって、イーサンは帝国の渉外部に所属になり、この国にとある取引を持ちかけるためにやってきた。帝国の国策の一環として」
”イーサンを殺害”と聞いた時点で「なんということをしてくれたのだ」と、内心で怒りを抱えていた宰相は、
「国策だと……」
帝国籍取得して、渉外担当になった人物に、無断で危害を加えようとしたと知り――いかにジョスランを上手く切り捨て、自分に被害が及ばないようにするかを考え始めた。
「昔の知り合いが、宰相家の跡取りになっているという事前情報を掴んでいたので、昔の知り合いにコンタクトを取り、非公式で宰相と会おうと考えた。それで、昔のノリのまま”ドバーチだ。お前の秘密は知っている。秘密をバラされたくなければ……”という手紙を書いて送ってしまった。イーサンが知っているジョスランは、笑ってやって来てくれるような男だったらしいのだが、成り代わっている男にしてみれば、ただの恐喝だ」
「そのドバーチって、なんなの?」
「イーサンの渾名だ。ジョスラン・ブラスローなら知っていて当然のな」
「そういうこと」
「人目につかないところに呼び出したのは、イーサンなりの配慮だ。宰相の養子が、帝国の役人の一人と会っているところを見られたら、後々困るかも知れない……というな。その配慮のせいで、ますます恐喝っぽくなったんだが」
「後ろ暗い人間からしてみれば、最悪な状況ね」
「そこでイーサンは、宰相の養子に襲われた。まあ、避けることも出来たが、帝国の役人を負傷させたというのは、交渉に際して大きなアドバンテージになる」
ハルトヴィンがフレデリカに婚約破棄を言い渡した時などとは、比べ物にならないほど会場が一瞬で凍え、ざわつきが大きくなる。
オルフロンデッタ王は硬直し、カエターンのほうを見る――バースクレイズ王国と縁を切らなければ、自国に被害が及ぶかもしれないと。
「死んだふりをしたイーサンを、ジョスラン・ギヌメール死体を埋めようとしたのは、学園の敷地内。そこには既に穴が掘られていて、女性の死体が投げ込まれていた。確認したところノーラ・アルノワだった」
ノーラ・アルノワのことを知っている、卒業生たちから悲鳴があがる。
「帝国側から見ると、昔の伝手を頼って訪れたら、全く素性が違う見ず知らずの人間が殺しにかかってきた……というわけね」
「そうだ。それも宰相の養子という立場の人間がだ。これは自分たちの手には負えないということで、本国に指示を仰ぎ……俺たちが来た」
トリスタンはそう言い、カエターンに視線を向ける。人の輪から少し離れたところにいた、顔に深い皺が刻まれている老人は、この状況を分かっていながら軽く手を上げ――大きな鈴が揺れて清らかな音が鳴る。
彼が退位した皇帝だと知っている宰相の顔は、死人のような有様だった。
「宰相の養子は、お前たちみたいな、とんでもないものを呼び込んでしまったわけね」
「とんでもないもの……と言われると、ちょっと傷付くんだが」
「そう。それで、宰相の養子に同じことを何度も言わせるつもりはないから、言っておくわ。この話は妄想ではないの。あなたがノーラ・アルノワとイーサンを埋めた穴はね、いま掘り起こされているのよ」
早鐘のように心臓が高鳴っているジョスラン――何か言わなければという気持ちはあるが、鼓膜を打つ鼓動によって、思考が纏まらない。
「お前が絶対に学園に足を運べない時に、掘り起こして現場検証をして逮捕する。下手に用事を作るより、もともとの行事を使ったほうが確実でしょ? だから、しばらく泳がせていたのよ」
言葉を発することができないジョスランに、扇を開き口元を隠しながら、カサンドラは「とっくの昔に分かっていたのよ」と。
絶対の自信を湛えた闇の王家を表す暗紫の瞳を前に、ジョスランは「口からの出任せだ」――その一言を発することができなかった。
「イーサンにも確認させた。お前で間違いないそうだ」
「…………」
自身の包囲網が、こんなにも狭まっていたことに、ジョスランは全く気付いていなかった。
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※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。
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