異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど！〜

植物の精霊

11

「なに食べてるの？」

　片付けが終わり、リビングに戻った奏は簡単に調理を済ませた野菜炒めを食べていた。ライアように小さいスプーンと、魔力水が入ったコップも用意して、少し休憩していた時、ライアが奏が食べているものを凝視していた。

「……美味しそうなの」

「食べてみたい？」

「いいの？」

　奏は小さなお皿にいくつかの野菜片を置いていく。出来立ての料理は熱いので、息を吹きかけで食べやすいように冷ましてあげた。ライアはお箸を使えないから、フォークを取り出して渡してあげる。
　ライアは目の前に出された料理を見て目を輝かせている。
　
「……そういえば、ドライアドって普通にご飯食べても大丈夫なの？」

「え、うーん……多分だいじょうぶなの！」

　そう言うとライアは手に持ったフォークを使って、野菜炒めを口に運んだ。ライアの手には少し大きいフォークを、彼女は器用に持って食べている。何度か咀嚼したライアは腕をぶんぶん振り回している。

「すごいのっ！　おいしいのっ！」

「気に入ってくれた？」

「うん！」

　ライアは目の前にあるお皿をパクパク食べてしまうと、おかわりを欲しがった。奏は少し多めに分けてあげる。

「それにしても意外な感じ」

「ん？　どうしたの？」

「ドライアドって、なんとなく食べるとしても野菜とか果物しか食べないと思ってたんだけど、お肉も食べるんだね」

　奏の作った野菜炒めには少量だけどお肉が入っている。ライアも食べている時に見ていたはずなのだが、今も気にせずに食べていた。

「このお肉って、ままがそだてたの？　お肉くさくなくて、ハーブのいい匂いもするの」

「あ、なるほど……？」

　そういえば今ライアが食べているのは、奏が育てている肉花の花びらだ。見た目がアレだったので今は数鉢しか育てていない。奏は魔物肉を収納袋から取り出して見せてみると、ライアは渋い顔を見せた。

「……そのお肉はおいしくなさそうなの」

「やっぱり？」

　普通のお肉には興味を示さなかったので、奏の育てた肉花だから食べたのかもしれない。

「ドライアドって普通の食事も摂るの？」

「んー……たぶん、食べなくてもだいじょうぶだとおもう……の？　でも、食べるとうれしい気持ちになれるの」

「そっか。じゃあ今度から一緒に食べようか」

　そう言うとライアは両手を上げて喜んだ。
　それから二人は食事を終えると、庭に植えてある植物を見るために外に出たのだった。