異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜

はくまい

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烈風という名の冒険者パーティ

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 解体を済ませたリータとガルマは、使っていた道具をマンチと共に洗い、エルレインはテントの片づけを行なっている。奏は一度家に帰ると、昨日出したジュースを持って行き、四人に振る舞った。
 さっぱりした飲み物は解体で疲れた身体を内面から癒してくれる。特に魔法的な効果はないけど、四人とも喜んでくれた。
 昨夜の話で、日の高いうちにここから出発すると聞いていたので、もうすぐお別れになる。

「やっぱ問題はどうやってこの森から出るかってことだよな」

「【幻惑の森】の魔物が強力なのもそうですけど、進むべき方向すらわからなくなるのは困りますね」

「ま、なんとかなるんじゃね?」

「またリータは……そうやって楽観的なところはいいところですけど、直すべきところでもあるんですからね?」

「……うんうん」

 彼女たちは装備を確認しながら、今後の方針を決めているようだ。奏はその話の中には入れない。しかし、彼女たちが安全にこの森から出られるように何かないか考える。

(私も何か手伝えたらいいんだけど……)

 装備の数々はダメ。奏自身が持てないものなのであげても良さそうだけど、なんでそんな装備が家の中にあるのか聞かれても困る。その話がもし広がって、装備目当ての人とか、勇者を探しにきた人の目に止まると面倒だろう。
 収納袋も考えたが、ファルマーも、マンチたちもみんな持っている。もしかしたら結構普及しているアイテムなのかもしれない。

(でもアイテムならあげても大丈夫かも……?)

 アイテムなら複製鏡でいくらでも増やせるし、装備よりも渡しやすい。それに、ほとんどのアイテムは収納袋の中に入れたまま死蔵されている状態。彼女たちの旅に使えそうなアイテムを、奏は探すことにした。
 奏は叡智の書を早速開くと、彼女たちが使えそうなアイテムをいくつか見繕う。アイテムの中で魔物に会わずにすむ物を探すことにした。今では叡智の書は奏にとってなくてはならないものとなっている。その中で渡せそうなものを見つける。

(まぁ、これが一番無難よね……)

 奏が選んだのは【魔除けの鈴】というアイテムだ。性能も名前の通り、魔物を近寄らせない効果がある。数あるアイテムの中で一番場所も取らない。

(魔除けの鈴と、私が作った魔法薬も渡してしまおう……これで【幻惑の森】抜けられるかな……?)

 【上位魔力水】の生成に注力していたため、奏が作った魔法薬は後一つしか残っていないが、奏が今すぐ使わなくてはいけない状況になることはなさそうだし、作ろうと思えばいつでも作れる。
 ただ、魔力が少ない奏が作ったといっても信じてもらえないだろうから、祖母が残してくれたものだということにした。
 それから収穫していた野菜や果物、気に入ってくれたゆずのジュースも、お土産として準備していく。
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