63 / 147
深海の魔女
12
しおりを挟む
桶に水を汲んだ奏は、ついでに叡智の書を開いて自身の能力を確認してみる。
奏の今の能力値はこんな感じだ。
【名前】エニシ カナデ
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】17歳
【レベル】いりますか?
【体力】100/100
【魔力】10/10
【状態】もう少しお肉をとりましょう。
【スキル】ありません。
【加護】悩み中です。
【称号】考え中です。
(なんか叡智の書が生意気な気がする……。いやとても助かってるんだけど……。数値の変動はないけど、エラーが無くなった上に何故かコメントみたいなものまで表示されているし……)
どう考えても一般的な能力値ではないだろう。レベルに関しては「いりますか?」って質問されてるのも謎だ。
できれば四人の能力も見れたらいいのだが、こっそり見るのは良くないだろうな……。
間違えて呼んだ神様がいるとしたら、奏に対してなかなか意地悪だと思う。
桶を持っていった奏はマンチに渡した。
「いいですか? まず魔法を使うためには、魔力を認識する必要があります。魔力は誰にでも存在します。私やエルレインは魔力量が多い方ですが、マンチやリータは私たちほど魔力はありません。幼少期にどれだけ魔力を使った訓練をしたかどうかで魔力量は大きく変わります。……もちろん個人差はありますけどね」
「大人になると魔力は増えないってことですか?」
「子供の時よりも増えにくい……って感じでしょうか。これはある本に書いてあったのですが、人の身体には魔力を溜め込める器があるって考え方です」
「器……ですか?」
マンチはからのコップを持ち上げて話しを続ける。
「魔力をイメージする時は、心の中の器に魔力という水が入ってくるイメージではなく、湧き出すイメージが重要です」
「湧き出すイメージ……」
「この器はあなた自身と考えると良いですよ。魔力はあなたの中にあるので、注ぐというよりも湧き出す方が近いんですよ。その感覚を知るために、まずは魔力を認識するのが先ですね」
マンチは奏の背中に手を当てる。奏はドキドキしていると、マンチの背中から何か温かいものを感じることができた。
「なんだか……ポカポカしてきたような」
「その感じが魔力です。慣れてくると自分でもイメージできるようになりますよ。魔法を使う時は逆に、コップの口から水を出すイメージです。子供の頃に鍛錬しているとこのコップは少しずつ大きくなっていきます。深くなれば魔力量が増えますし、器が広く慣れば一度に多くの魔法を使うことも可能になるわけです。魔力量を増やすのは簡単ではないので、日頃の継続が大事になるわけですね」
「そうなんで……すね……」
なんとなく感じ取れるようになった奏だったのだが、なぜかだんだん気持ち悪くなってきてしまった。その様子を見ていたエルレインは、マンチを制止させる。
「なんですか……これ……」
「す、すみませんっ! 多分魔力過多になったんだと思います」
「魔力過多……?」
「身体がこれ以上の魔力を受け取らないようにする症状です……。カナデさんは思ったよりも魔力が少ないのかもしれませんね」
暫くすれば落ち着くらしいので、奏は座って症状が軽減するまで待つことにした。その間にリータとガルマは食事を終えて、片付けているところだった。
奏の今の能力値はこんな感じだ。
【名前】エニシ カナデ
【種族】人間
【性別】女性
【年齢】17歳
【レベル】いりますか?
【体力】100/100
【魔力】10/10
【状態】もう少しお肉をとりましょう。
【スキル】ありません。
【加護】悩み中です。
【称号】考え中です。
(なんか叡智の書が生意気な気がする……。いやとても助かってるんだけど……。数値の変動はないけど、エラーが無くなった上に何故かコメントみたいなものまで表示されているし……)
どう考えても一般的な能力値ではないだろう。レベルに関しては「いりますか?」って質問されてるのも謎だ。
できれば四人の能力も見れたらいいのだが、こっそり見るのは良くないだろうな……。
間違えて呼んだ神様がいるとしたら、奏に対してなかなか意地悪だと思う。
桶を持っていった奏はマンチに渡した。
「いいですか? まず魔法を使うためには、魔力を認識する必要があります。魔力は誰にでも存在します。私やエルレインは魔力量が多い方ですが、マンチやリータは私たちほど魔力はありません。幼少期にどれだけ魔力を使った訓練をしたかどうかで魔力量は大きく変わります。……もちろん個人差はありますけどね」
「大人になると魔力は増えないってことですか?」
「子供の時よりも増えにくい……って感じでしょうか。これはある本に書いてあったのですが、人の身体には魔力を溜め込める器があるって考え方です」
「器……ですか?」
マンチはからのコップを持ち上げて話しを続ける。
「魔力をイメージする時は、心の中の器に魔力という水が入ってくるイメージではなく、湧き出すイメージが重要です」
「湧き出すイメージ……」
「この器はあなた自身と考えると良いですよ。魔力はあなたの中にあるので、注ぐというよりも湧き出す方が近いんですよ。その感覚を知るために、まずは魔力を認識するのが先ですね」
マンチは奏の背中に手を当てる。奏はドキドキしていると、マンチの背中から何か温かいものを感じることができた。
「なんだか……ポカポカしてきたような」
「その感じが魔力です。慣れてくると自分でもイメージできるようになりますよ。魔法を使う時は逆に、コップの口から水を出すイメージです。子供の頃に鍛錬しているとこのコップは少しずつ大きくなっていきます。深くなれば魔力量が増えますし、器が広く慣れば一度に多くの魔法を使うことも可能になるわけです。魔力量を増やすのは簡単ではないので、日頃の継続が大事になるわけですね」
「そうなんで……すね……」
なんとなく感じ取れるようになった奏だったのだが、なぜかだんだん気持ち悪くなってきてしまった。その様子を見ていたエルレインは、マンチを制止させる。
「なんですか……これ……」
「す、すみませんっ! 多分魔力過多になったんだと思います」
「魔力過多……?」
「身体がこれ以上の魔力を受け取らないようにする症状です……。カナデさんは思ったよりも魔力が少ないのかもしれませんね」
暫くすれば落ち着くらしいので、奏は座って症状が軽減するまで待つことにした。その間にリータとガルマは食事を終えて、片付けているところだった。
18
お気に入りに追加
351
あなたにおすすめの小説

転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!
アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。
->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました!
ーーーー
ヤンキーが勇者として召喚された。
社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。
巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。
そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。
ほのぼのライフを目指してます。
設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。
6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。

異世界の片隅で引き篭りたい少女。
月芝
ファンタジー
玄関開けたら一分で異世界!
見知らぬオッサンに雑に扱われただけでも腹立たしいのに
初っ端から詰んでいる状況下に放り出されて、
さすがにこれは無理じゃないかな? という出オチ感漂う能力で過ごす新生活。
生態系の最下層から成り上がらずに、こっそりと世界の片隅で心穏やかに過ごしたい。
世界が私を見捨てるのならば、私も世界を見捨ててやろうと森の奥に引き篭った少女。
なのに世界が私を放っておいてくれない。
自分にかまうな、近寄るな、勝手に幻想を押しつけるな。
それから私を聖女と呼ぶんじゃねぇ!
己の平穏のために、ふざけた能力でわりと真面目に頑張る少女の物語。
※本作主人公は極端に他者との関わりを避けます。あとトキメキLOVEもハーレムもありません。
ですので濃厚なヒューマンドラマとか、心の葛藤とか、胸の成長なんかは期待しないで下さい。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる