異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜

はくまい

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魔法薬の調合

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【ウルタナ草】
 魔法薬の基本となる植物。葉に魔力を内包して成長する。栽培には不向き。

「やった……! これでファルマーからくれた魔法薬も作れるようになるかも!」

 栽培には不向きと書いてあるが、万能鉢はそんな植物も育成することができるとすると、もしかしたら小説の中にしかないようなファンタジーっぽいものも種子の宝箱で造り出し、万能鉢でその姿をみることができるかもしれない。
 奏は思いつく限りの、ファンタジー要素の強い存在をイメージしながら新しい種を創造していった。
 この種たちは魔法薬を作る部屋の中に万能鉢を置いて、そこで育てていくことにした。
 もうすでに日もだいぶ傾いてきているが、奏は成長したウルタナ草から葉っぱを数枚採集して、早速魔法薬の実験の準備を始めた。
 ウルタナ草を採集し、そのまま小さな鍋の中に入れて魔力水に浸していく。そうしてキッチンまで移動したらコンロに火をつけて、沸騰するのを待つ。

「……部屋とキッチン行ったり来たりするってちょっと大変かも……。こういう時にガスコンロがあったらいいのになぁ」

 奏は鍋の中を混ぜながら独り言を呟く。温まってきた魔力水は、ウルタナ草をアロエの時のように溶けていくように吸収されていく。
 ウルタナ草が完全に姿をなくし、沸騰した魔力水を半分だけ別の容器に入れて、残り半分を再度火にかける。
 魔法薬を生成するのにわざわざ「薬草を煎じて魔力水で煮込むことで完成する」と書いてあるのを検証しないといけない。
 火元に注意しつつ、移した方の魔力水を冷やす。叡智の書で確認するには熱いままだと触ることができない。流し台の中にボウルを置き、その中に氷と少量の水を加えて気をつけながら容器を入れる。
 奏の母親がこうやって熱いものを冷やしていたのを、奏は覚えていた。
 傾いても中の魔力水が漏れないのを確認して、再度鍋の方へと注意を向ける。

「煮込むってどのくらい日にかけるんだろ? 煮詰めるとは違うのかな?」

 くるくると鍋の中を混ぜながら、奏は別の容器に移した魔力水の方を見る。アロエを混ぜた魔力水……【不思議な魔法薬ポーション】は薄い青色をしているが、ウルタナ草を入れた魔力水にはまだ無色透明の状態だった。
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