異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜

はくまい

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烈風という名の冒険者パーティ

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 一人家に戻った奏は、久々の来客もあってかちょっとだけ気疲れしてしまった。

(久しぶりにあんなに喋ったなぁ。この世界について知ることができたし、ちょっと楽しかった)

 食事の時に使った食器や鍋を洗い、ながら今日起こったことを振り返っていた。
 冒険者として生活してきた四人。無骨な武具に、魔法の存在。本当に異世界にきてしまったんだと再確認した。今日一番の収穫は、魔力を感じることができたことだろう。訓練すれば魔力が増えて、奏でも魔法が使えるようになる可能性がある。

(あのだるい感じはちょっとしんどいから……悩みどころだ)

 正直、ここで生活するにあたっては現状魔力は必要ない感じだ。魔力水が作れるようになるのなら練習しておいたほうがいいのだろうが、今は魔石を使っての魔力水の量産に成功している。魔法を使うための呪文も知らないし、そこまで無理して取り組む必要はないのかもしれない。
 窓の外では火を消した『烈風』のみんなが、すでにテントの中に入ってしまったようで、誰も外に出ていない。
 冒険者ならもっとはしゃいだりするものと思っていたのだが、休める時に休むのも大事なのだろう。
 奏もお風呂もそこそこに布団に入ると、その日もぐっすりと寝ることができた。


 翌朝、普段起きる時よりも早い時間なのだが、奏はもそっと布団から出てきた。外はまだうっすらと明るくなっている状態で、この時間は魔物の声もいつもより小さくなっているようだ。
 顔を洗い、奏は畑に水を上げようと家の外に出ると、すでに起きていたエルレインと目があった。エルレインは昨日見ていた果実樹とは別の、昨日は咲いていなかった桜の木を見上げていた。

「おはようございます」

「おはようございます……。早いんですね」

「いつもこの時間に目が覚めますから……。この木は昨日咲いていなかったと思うのですが?」

(やっぱり変だよね……私が見てもそう思うもん)

 咲き誇っている桜の花は、風が吹くたびにひらひらと舞う。ミニチュアサイズの、万能鉢ではあまり見られなかった光景は、日本に見た時の桜の景色を思い出させてくれる。
 
「そ、そうなんですよ! 不思議なんですよね!!」

 なんと答えたらいいのか、うまく思いつかなかった奏は知らないことにして誤魔化すことにした。
 二人で桜を見ていると、マンチがテントから起きてきて、朝の支度をし始める。一緒に桜を見ていたエルレインは、今から朝のストレッチをするらしく、奏も一緒に混ぜてもらうことになった……のだが……。

「ふ……くぅっ……!」

「そうです。ゆっくり伸ばすように……」

(さ、流石冒険者さんだ……! 身体が柔らかい! それに比べて、私の硬さといったら、ちょっと情けなく思える……)

 奏はエルレインのポーズを真似しているだけなのだが、その一つ一つが結構身体に響く。マンチの支度が終わるまで一緒にストレッチしていただけなのに、奏の額はうっすらと汗ばんできていた。
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