異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜

はくまい

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■■■■■・■■■■■■■■が残したもの

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 魔力水が完成するまで待っている間に、奏は薬草になりそうなお花を叡智の書で探す。元の世界ではメジャーな花たちでも、ここでは思いがけないような効果を持っている時があるからだ。
 一番最初に育てたプチトマトの花には【魔法薬に追加することで効果が増す】という項目が記載されていたし、ファルマーにあげたサネカズラには【調髪薬】という薬になることまで書かれている。
 魔法薬ポーションは魔力水が必要になるがも薬草を煎じて魔力水で煮るだけで作られると書いてはある。

(まぁやってみないことにはわからないしね。暇つぶしにもなるし、もしかしたらビックリするものができるかもしれない……!)

 奏はお花を育てている部屋へ赴き、【叡智の書】を広げながらメモをとる。どのお花がどんな効果を持っているのか書き出すためであった。
 奏は最初に花の種をイメージしている時、薔薇だったりチューリップだったりと鉢植えで育てられる有名な花を想像し、その種子を埋めていっていた。その時に一度だけ桜の花をイメージしてしまったことがあった。【種子の宝箱】の中にはイメージした桜の種子が入ってはいたが、桜は木になる花だし【万能鉢】で育てることができるものなのか不安だったのだが、奏は好奇心に負けてそのまま万能鉢に植えてしまった。
 その結果どうなったかというと……ミニチュアサイズの桜ができていたのだ。

(そうそう……最初はこういうものができるなんて思わなかったもん)

 万能鉢のサイズに合わせて桜の木は根を張り、枝の先には満開の桜を咲かせている。未だ一輪も枯れることなく咲いていて、またその小ささが奏の心に刺さった。
 叡智の書に念じて花のページに移る。一ページずつ、花を確認しながらどういうものが作れるのかを確認していった。

 【桜(白)】
 生産者:エニシ カナデ
 花びらは精神安定薬として使用可能である。
 花言葉:優雅な女性・純潔・精神美

 【薔薇(赤)】
 生産者:エニシ カナデ
 花びらは惚薬として使用可能である。
 花言葉:愛情・熱烈な愛

 【サネカズラ】
 生産者:エニシ カナデ
 花びらは調髪薬として使用可能である。
 花言葉:再会・また会いましょう・好機

 【プチトマト】
 生産者:エニシ カナデ
 黄色い花は魔法薬の材料として最後に追加すると効果が増す。
 花言葉:完成美・感謝

 エトセトラ……エトセトラ……。

 本来白い桜にも赤い薔薇にも学名なりもっと詳しい情報が出て来るはずなのだが、現状知ることができるのはこのくらいだけだった。
 ゲームでよくある熟練度のようなものが必要なのかわからないが、最低限の知識を教えてくれるし、今の奏にとって必要なのは魔法薬についての情報のみなのを叡智の書は理解してくれたのかもしれない。内容が読みやすいものになっていた。
 花として育てていたものと、野菜として育てていたもので叡智の書の内容が若干違ったのだが、これなら少しわかりやすい。

「なんか変なのばっかりできそう……。普通の治癒のポーションとかって、やっぱりそれ用の植物がいるのかな」

 内容を確認しながら、まずは基本となりそうな植物を探す奏だった。
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