異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜

はくまい

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■■■■■・■■■■■■■■が残したもの

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「いやぁ、可愛い子だったなぁ……」

 ファルマーを見送った奏はしみじみと感じていた。来客が来たときは何が起きるのかと恐れていたのだが、今では嬉しい出来事だと思うようになっていた。
 この世界の色々なことをファルマーに教えてもらえたし、また会える……かもしれない。九人の勇者の現状はわからないけれど、知ったところでどうすることもできないが、今でも活動していることを知れて良かったと思う。
 柵の向こう側へ行ったファルマーはすぐに霧の中へと消えていき、その姿を見ることはすぐにできなくなってしまった。ファルマーが去った後、奏は思い切って柵の手前まで移動してみたのだが、柵のそばでも向こう側は霧と森によって近寄っても視界が悪いまま、先も見通すことができない。それなのに獣のような声が響き続けているため、不気味で仕方がなかった。
 柵をよく見てみると奇妙な文字が彫られていて、ここまで近くで見ないとわからなかったのだが、文字のところが薄く光っているようだった。この柵のおかげで魔物というものが襲ってこないとファルマーも言っていた。
 そんな柵が家の周りを囲うように設置されていて、その内側には森に生えているような木も生えていなかった。

「これが壊れたら私も最後かな……。この柵のことを叡智の書で調べたら何かわからないかな?」

 そう奏は思いつき、一度小屋へと戻ろうと振り返ると……。

「あれ? こんな外観だったっけ……?」

 そこには最初に見たような小屋ではなくて、立派な家が建っていた。古そうな様子もなく、新築と言われれば信じてしまうかもしれないほど綺麗な家が目の前にあり、奏は不思議に思う。

(こんなに立派な建物だったっけ……? いやいや、最初に入った時はこじんまりしてたし、なにより土を運んだ時はこんなに大きくなかった。いつの間にこんなになっちゃったんだろう?)

 この外観なら部屋のサイズと比較しても妥当だ。前回の小屋の時は小さな見た目の割に中の空間が倍以上広がっていた。最初の頃は内心気持ちが悪かったのだが、今見直すとそうでもない。
 
(まぁ立派な分にはいいのかな……?)

 奏は不思議に思いながらも家の中に戻り、叡智の書を持ち出した。柵に触ると新しいページが更新される。

【反魔の結界柱】
 ■■■■■・■■■■■■■■によって作成された魔の物を寄せ付けない柱。製作者の魔力が込められてた魔石が埋め込まれており、半永久的に効果を発揮し続ける特殊な柱。破壊不可の付与もされている逸話級の品物。
 
「……だいぶすごい物だったわ」

 半永久的で破壊不可付与とは……この■■■■■・■■■■■■■■って一体何者なのだろうか……。家の中のアイテムもそうだが、【叡智の書】にしても考えられないようなものを制作している。
 一本あるだけでもすごい性能のものなのに、それと同じものが家を取り囲むように何本も設置されているのが不思議でしょうがない。

(こんなにすごいもので守られていたなんて……。■■■■■・■■■■■■■■は一体この家に何を隠しているんだろう……?)

 奏は心の中で名前もわからない人に対して感謝を伝えながらも、疑問を抱えながら家へと戻っていった。
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