異世界でフローライフを 〜誤って召喚されたんだけど!〜

はくまい

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この世界で生きていくために……

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「……見た目は普通の植木鉢なんだけどなぁ……」

 ついさっき入れたばかりで、水もまだ与えていないというのにもう芽が出てきている。新芽はどんどん成長を始め、茎も太くなり、葉っぱも増え、黄色い花が咲き、やがて奏のイメージしたプチトマトが実った。
 その間実に一分ほどの出来事だった。

「これは……凄すぎる」

 出来上がったプチトマトを採集すると、叡智の書のページが光った。内容を確認してみると、

【プチトマト】
 生産者:エニシ カナデ
 高品質のプチトマト。程よい甘さと瑞々しさがあり、身もしっかり詰まっている。
 黄色い花は魔法薬の材料として使用可能である。

「……なんで食べる前から評価ついてるのよ……」

 奏は若干呆れながらも、これで食料はなんとかなりそうだと思いながら、収穫したばかりの実を口の中に放り込んだ。

「お、おいしぃぃぃ……!」

 万能鉢の量産が奏の中で確定した瞬間だった。
 それから奏はできたプチトマトを頬張りながら冷静に考えていた。

(複製鏡で一度コピーを作るのに魔石が一つ必要。魔石はまだ山ほどあるけど、今後手に入る保証はないわけだから大事に使わないといけない……。種子の宝箱と、万能鉢にもそれぞれ一つずつ必要だし、この家の至る所のエネルギー源は全て魔石によって賄われてるわけだし、どうにかしないとこれは……)

 叡智の書にも、魔石は魔物の体内で生成されるものだと記載されている。つまりこの家の在庫がなくなったら魔石を取りに外に出る必要があるのだ。しかし今の奏に魔石を入手する方法はない。正直どうすれば手に入るのかもわからない状態だった。
 一応叡智の書には魔物から手に入れることができるのだが、奏に戦闘能力なんてものはなく、更にいえばこの家にある武器たちを使うことすらできない。仮に使えたところで魔物を倒しに行こうとは思わなかった。
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