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一年
プロトタイプが完成しました:this summer
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「ふぅ」
机に工具を置き、一息つく。
俺は額に流した汗を手の甲で拭う。それに合わせて、首に下げている鈍い銀が光る縁を持つゴーグルが音を立てて揺れる。
「お疲れ様です」
と、そこにバトラ爺がやって来た。手には柑橘系のジュースが入ったコップを持っていた。
「セオドラー様、重ね重ね感謝します」
そして、コップを近くに置き、頭を下げた。
「バトラ爺。前にも言ったけど、俺の趣味だから、そんなに感謝されても困るよ。それに、上手くいけばこれも売り込めるからさ。俺にも利益があってやっていることだからさ。ロイス父さんにも恩が売れそうだし」
「……では、契約書などを作っておきましょうか」
バトラ爺はその強面の優し気に歪める。
「じゃあ、お願いしようかな」
ギブアンドテイクがあった方がバトラ爺も落ち着くだろう。
「承りました」
「うん。お願いね。ああ、それと午後には完成すると思うから、試用して改善点とか教えてくれる? 数回は改良するつもりだからさ」
「かしこまりました」
そう言ってバトラ爺は一礼して出て行った。
俺はそれを見送りながら、近くにあったコップを手に取る。そしてクイッといっぱい呷る。
「プハァー。……めっちゃ美味い!」
口の中に広がる清涼な香り。爽やかで、しかし少し奥にある甘い色。めっちゃ美味い。流石、マキーナルト領でとれた果物である。自慢である。
俺はそんな自慢の果物で作られたジュースを時間をかけて堪能する。
そして、数分後。コップは外にも中にも汗をかいている。キンキンに冷えたコップは空になったのだ。
「……さてと、もうひと頑張りしますかね」
手に持っていたコップを近くの机に置く。それから、首に下げていたゴーグルを掛けて、漆黒のグローブを嵌める。
そして、目の前にあった工具を持ち、魔道具制作に取り組むのだった。
Φ
静寂がその部屋を包む。斜めの天井から幾つもの工具がぶら下がり、部屋の中心には天井窓から光が差し込んでいる。
そして、その陽光の中心に俺がいた。
「はーーー。やっと終わった!」
手を大きく広げ、後ろに倒れる。
「完成だ!」
机の上には漆黒の模様が刻まれた深紅の箱が二つ。深紅の模様に刻まれた漆黒の球体が二つ。そして漆黒と深紅が混じり合った台形型の大きな箱が置いてあった。
深紅の箱は所々に機構部分が見え、その奥には小さな世界が見える。漆黒の球体はほぼ真球を描き、まるでブラックホールがあるが如く光を飲み込んでいる。
そして、大きな箱はとても緻密な機械部を多くつけ、傍から見ればゴミ屋敷にしか見えないようで。しかし、それは現時点で最も効率的な仕上がり。
書類整理用の魔道具がようやく完成したのだ。
「ああー! ああー!」
喜びで言葉がでない。連結方式がとても難しく、けれど苦労した甲斐があった。とても嬉しい。言葉に表せないほどうれしい。
だから、やめられないのだ。何かを作る事がやめれられないのだ!
と、とてもハイになっていたのだが、その時、控えめに扉を叩く音が聞こえた。
「……あの、セオ様。入ってもよろしいでしょうか……」
そして、恐る恐る爆発物を扱うようなレモンの声が聞こえてきた。
「……大丈夫だよ!」
返事をしたら、ゆっくりと扉が開いた。
「本当に大丈夫ですよね? いきなり、襲い掛かったりは……」
「しないよ!」
流石に言いすぎだろ!
「ふふっ。冗談ですよ」
と、思ったのだが、開いた扉から覗かせたレモンの顔には悪戯が成功したような顔が浮かんでいた。
揶揄われたらしい。
「無事に完成したようですね」
レモンは机の上に置かれていた魔道具を見ながら、少し嬉し気に言った。
「うん。自動書類整理の魔法の魔道具のプロトタイプ、“オートドキュ”だよ」
「へー、そうなんですか。……でも、これのお陰で秋に激務に追われなくても済みそうですね。ありがとうございます。セオ様」
満面の笑みを浮かべ、レモンは嬉しそうに感謝を言う。
激務? 秋の……
「ああ、あれか。……レモン、喜んでいるところ悪いんだけどさ」
「はい?」
「この魔道具があっても激務は解消されないよ」
「え……」
レモンは絶望を浮かべる。上げて落としたせいで、レモンの心はやられてしまったらしい。下げて上げるならまだいいんだが。
俺は絶望で心を飛ばしたレモンに説明を始める。
「あのね、まず、これはプロトタイプなの」
「プロトタイプですか」
レモンはオウムの様に可愛らしく、そして心無く聞き返す。
「うん。だから、まだ魔力効率が悪いの。魔法よりも魔道具の方が魔力を消費してしまうんだよ。それに、簡単な書類整理位なら可能なんだけど、高度の処理機構の理論や経験がまだ作れていないんだよね。だから、秋の激務をこなせないんだよ」
「そんなー!」
そんなにガッカリしなくても。
「ようやく、計算ホムンクルスから抜け出せると思ったのに!?」
「計算ホムンクルス?」
「高度計算ができる作業人形ですよ! 高度な理論演算系能力を持っているのはわたしとアテナ様だけなのですよ!」
へぇー。ロイス父さんやアランも持っていると思っていたんだが違うのか。
ん? 理論演算って何だ?
「しかし、秋はアテナ様は違う仕事で掛かりっきりになるんですよ! 結果、秋の膨大な書類や決算の全てはわたしが処理することになるんですよ! 他の皆さんは智が内事を個々に持っているので誰も手伝ってくれませんし」
が、そんな疑問を持つことすら許してくれず、レモンは悲痛な声をあげる。
「ずっと、紙を見つめて能力をフル稼働させて、来る日も来る日も……」
いっきにヒステリックな感じになっていくレモン。顔がやばい。
「なので、ようやく解放されると思ったのに!」
一気に暴走する声。本格的にやばい。
そんなにストレスがあるのか。……これはロイス父さんとアテナ母さんに絶対に報告だな。っていうか、労働状態がやばいじゃん。
説教だな。
「レモン、レモン。落ち着いて。大丈夫だよ。大丈夫だから」
「シクシク……セオ様?」
おっと、泣いていらした。シクシクと声を鳴らして、目に涙を浮かべている。でも、眉が上がってる?
ん? 若干、嘘くさいぞ。
「セオ様! もしかして何とかなりますか!?」
あれ?
さっきの悲壮感は何処へ?っと思うくらい、キラキラした目で問いかけてくる。
「う、うん。さっきの問題はプロトタイプだからで改良すれば問題ないよ。ところでレモン。そんなに辛いの……」
その眩しい目は圧倒的に力があり、あらゆる疑問が浄化されてしまいそうだ。
「ええ、本当に辛くて……」
嘘くさい。およよと変に艶めくレモン。目端に涙を溜めて、最も弱弱しい姿を晒している。
「……ねぇ、めっちゃ嘘くさいんだけど」
普段のレモンの様子ではとても考えられず、そしてレモンのスペックなら、そもそも問題がないはずだ。去年、ボーっと見学させてもらったがそこまで問題ではなかったはずだ。
だって、激務というイメージが直ぐに思い浮かばなかったのだから。
むしろ、去年見たレモンはとても怠けていたし、手を抜いていた。そしてマリーさんに怒られていた。そんな余裕があったはずなのだ。
「……バレましたか。ええ、そうですよ。そもそもわたしがあの程度の雑魚に手間取るわけがありません。高速演算の能力を有しているんですよ」
ふすんっと鼻を鳴らし、自慢するレモン。凄いムカつく。
「じゃあ、何であんなことしたのかな? ねぇ?」
俺はその感情をそのままレモンにぶつける。もちろん、適度な範囲で。
「何を言っているんですか、セオ様。サボるためですよ」
……そんな当たり前ですよ的な言葉を言われても。いや、どちらかというと俺もレモン側の人間だから何とも言えないのだがさ。
「元々、部屋に入った瞬間から、その魔道具の大方の性能と性質は見抜いていました。だからこそ、セオ様に頑張ってもらえば、今年の秋はいつも以上にサボれると踏んだのです。なので、セオ様の同情を引けばと――」
「――俺が頑張って改良に乗り出すと」
「はい」
「……はぁ」
本当に残念だ。何でレモンは素直に尊敬させてくれないのだろう。
色々と助けてもらっていて、恩がある。普段している仕事は尊敬に値するし、そのお陰で俺たちの生活が守られている。
しかも、レモンは人望がとても厚い。特に獣人族から。
齢二十にして覚醒個体であり、しかもそれは神祖だ。
覚醒個体とは、“覚醒”という獣人族の源流である神獣の力を一時的に一部、身に宿す能力を所有している個体の事を言う。そして、その能力は才能がある獣人族が数十年間、日夜問わず鍛錬してようやく獲得できる能力なのである。
レモンはそれを十五歳の時に獲得した。
しかも、それだけにとどまらず、レモンの“覚醒”は神祖なのだ。
神祖とはすなわち神獣の事。レモンの場合は九尾である。
レモンはその九尾の力を一部ではなく、全て身に宿すことができるのだ。つまり一時的とはいえ、レモンは神と名がつく存在と並ぶのだ。
もちろん才能もあっただろう。しかし、それだけでは辿り着けない領域なのだ。文字通りの血が滲む努力がそこにあり、想像を絶する過去があるのだろう。
物凄い存在なのだ。
つい一週間前に部品の受け取りに行った際に、その事をアカサから聞いたのだが、初めは全く信じられなかった。しかし、アカサは嘘はつかない主義なので本当に驚いた。
俺にとっては想像し難いんで、大した実感がわかないが、同じ覚醒個体であるアカサが言うのだから本当に凄い事なのだろう。
なのに、なのに。
燃え尽き症候群なのか。頑張り過ぎて、その反動で怠惰になったのだろう。
尻尾をゆらゆらりと上機嫌に揺らしているレモンを見て、不思議に思った。
机に工具を置き、一息つく。
俺は額に流した汗を手の甲で拭う。それに合わせて、首に下げている鈍い銀が光る縁を持つゴーグルが音を立てて揺れる。
「お疲れ様です」
と、そこにバトラ爺がやって来た。手には柑橘系のジュースが入ったコップを持っていた。
「セオドラー様、重ね重ね感謝します」
そして、コップを近くに置き、頭を下げた。
「バトラ爺。前にも言ったけど、俺の趣味だから、そんなに感謝されても困るよ。それに、上手くいけばこれも売り込めるからさ。俺にも利益があってやっていることだからさ。ロイス父さんにも恩が売れそうだし」
「……では、契約書などを作っておきましょうか」
バトラ爺はその強面の優し気に歪める。
「じゃあ、お願いしようかな」
ギブアンドテイクがあった方がバトラ爺も落ち着くだろう。
「承りました」
「うん。お願いね。ああ、それと午後には完成すると思うから、試用して改善点とか教えてくれる? 数回は改良するつもりだからさ」
「かしこまりました」
そう言ってバトラ爺は一礼して出て行った。
俺はそれを見送りながら、近くにあったコップを手に取る。そしてクイッといっぱい呷る。
「プハァー。……めっちゃ美味い!」
口の中に広がる清涼な香り。爽やかで、しかし少し奥にある甘い色。めっちゃ美味い。流石、マキーナルト領でとれた果物である。自慢である。
俺はそんな自慢の果物で作られたジュースを時間をかけて堪能する。
そして、数分後。コップは外にも中にも汗をかいている。キンキンに冷えたコップは空になったのだ。
「……さてと、もうひと頑張りしますかね」
手に持っていたコップを近くの机に置く。それから、首に下げていたゴーグルを掛けて、漆黒のグローブを嵌める。
そして、目の前にあった工具を持ち、魔道具制作に取り組むのだった。
Φ
静寂がその部屋を包む。斜めの天井から幾つもの工具がぶら下がり、部屋の中心には天井窓から光が差し込んでいる。
そして、その陽光の中心に俺がいた。
「はーーー。やっと終わった!」
手を大きく広げ、後ろに倒れる。
「完成だ!」
机の上には漆黒の模様が刻まれた深紅の箱が二つ。深紅の模様に刻まれた漆黒の球体が二つ。そして漆黒と深紅が混じり合った台形型の大きな箱が置いてあった。
深紅の箱は所々に機構部分が見え、その奥には小さな世界が見える。漆黒の球体はほぼ真球を描き、まるでブラックホールがあるが如く光を飲み込んでいる。
そして、大きな箱はとても緻密な機械部を多くつけ、傍から見ればゴミ屋敷にしか見えないようで。しかし、それは現時点で最も効率的な仕上がり。
書類整理用の魔道具がようやく完成したのだ。
「ああー! ああー!」
喜びで言葉がでない。連結方式がとても難しく、けれど苦労した甲斐があった。とても嬉しい。言葉に表せないほどうれしい。
だから、やめられないのだ。何かを作る事がやめれられないのだ!
と、とてもハイになっていたのだが、その時、控えめに扉を叩く音が聞こえた。
「……あの、セオ様。入ってもよろしいでしょうか……」
そして、恐る恐る爆発物を扱うようなレモンの声が聞こえてきた。
「……大丈夫だよ!」
返事をしたら、ゆっくりと扉が開いた。
「本当に大丈夫ですよね? いきなり、襲い掛かったりは……」
「しないよ!」
流石に言いすぎだろ!
「ふふっ。冗談ですよ」
と、思ったのだが、開いた扉から覗かせたレモンの顔には悪戯が成功したような顔が浮かんでいた。
揶揄われたらしい。
「無事に完成したようですね」
レモンは机の上に置かれていた魔道具を見ながら、少し嬉し気に言った。
「うん。自動書類整理の魔法の魔道具のプロトタイプ、“オートドキュ”だよ」
「へー、そうなんですか。……でも、これのお陰で秋に激務に追われなくても済みそうですね。ありがとうございます。セオ様」
満面の笑みを浮かべ、レモンは嬉しそうに感謝を言う。
激務? 秋の……
「ああ、あれか。……レモン、喜んでいるところ悪いんだけどさ」
「はい?」
「この魔道具があっても激務は解消されないよ」
「え……」
レモンは絶望を浮かべる。上げて落としたせいで、レモンの心はやられてしまったらしい。下げて上げるならまだいいんだが。
俺は絶望で心を飛ばしたレモンに説明を始める。
「あのね、まず、これはプロトタイプなの」
「プロトタイプですか」
レモンはオウムの様に可愛らしく、そして心無く聞き返す。
「うん。だから、まだ魔力効率が悪いの。魔法よりも魔道具の方が魔力を消費してしまうんだよ。それに、簡単な書類整理位なら可能なんだけど、高度の処理機構の理論や経験がまだ作れていないんだよね。だから、秋の激務をこなせないんだよ」
「そんなー!」
そんなにガッカリしなくても。
「ようやく、計算ホムンクルスから抜け出せると思ったのに!?」
「計算ホムンクルス?」
「高度計算ができる作業人形ですよ! 高度な理論演算系能力を持っているのはわたしとアテナ様だけなのですよ!」
へぇー。ロイス父さんやアランも持っていると思っていたんだが違うのか。
ん? 理論演算って何だ?
「しかし、秋はアテナ様は違う仕事で掛かりっきりになるんですよ! 結果、秋の膨大な書類や決算の全てはわたしが処理することになるんですよ! 他の皆さんは智が内事を個々に持っているので誰も手伝ってくれませんし」
が、そんな疑問を持つことすら許してくれず、レモンは悲痛な声をあげる。
「ずっと、紙を見つめて能力をフル稼働させて、来る日も来る日も……」
いっきにヒステリックな感じになっていくレモン。顔がやばい。
「なので、ようやく解放されると思ったのに!」
一気に暴走する声。本格的にやばい。
そんなにストレスがあるのか。……これはロイス父さんとアテナ母さんに絶対に報告だな。っていうか、労働状態がやばいじゃん。
説教だな。
「レモン、レモン。落ち着いて。大丈夫だよ。大丈夫だから」
「シクシク……セオ様?」
おっと、泣いていらした。シクシクと声を鳴らして、目に涙を浮かべている。でも、眉が上がってる?
ん? 若干、嘘くさいぞ。
「セオ様! もしかして何とかなりますか!?」
あれ?
さっきの悲壮感は何処へ?っと思うくらい、キラキラした目で問いかけてくる。
「う、うん。さっきの問題はプロトタイプだからで改良すれば問題ないよ。ところでレモン。そんなに辛いの……」
その眩しい目は圧倒的に力があり、あらゆる疑問が浄化されてしまいそうだ。
「ええ、本当に辛くて……」
嘘くさい。およよと変に艶めくレモン。目端に涙を溜めて、最も弱弱しい姿を晒している。
「……ねぇ、めっちゃ嘘くさいんだけど」
普段のレモンの様子ではとても考えられず、そしてレモンのスペックなら、そもそも問題がないはずだ。去年、ボーっと見学させてもらったがそこまで問題ではなかったはずだ。
だって、激務というイメージが直ぐに思い浮かばなかったのだから。
むしろ、去年見たレモンはとても怠けていたし、手を抜いていた。そしてマリーさんに怒られていた。そんな余裕があったはずなのだ。
「……バレましたか。ええ、そうですよ。そもそもわたしがあの程度の雑魚に手間取るわけがありません。高速演算の能力を有しているんですよ」
ふすんっと鼻を鳴らし、自慢するレモン。凄いムカつく。
「じゃあ、何であんなことしたのかな? ねぇ?」
俺はその感情をそのままレモンにぶつける。もちろん、適度な範囲で。
「何を言っているんですか、セオ様。サボるためですよ」
……そんな当たり前ですよ的な言葉を言われても。いや、どちらかというと俺もレモン側の人間だから何とも言えないのだがさ。
「元々、部屋に入った瞬間から、その魔道具の大方の性能と性質は見抜いていました。だからこそ、セオ様に頑張ってもらえば、今年の秋はいつも以上にサボれると踏んだのです。なので、セオ様の同情を引けばと――」
「――俺が頑張って改良に乗り出すと」
「はい」
「……はぁ」
本当に残念だ。何でレモンは素直に尊敬させてくれないのだろう。
色々と助けてもらっていて、恩がある。普段している仕事は尊敬に値するし、そのお陰で俺たちの生活が守られている。
しかも、レモンは人望がとても厚い。特に獣人族から。
齢二十にして覚醒個体であり、しかもそれは神祖だ。
覚醒個体とは、“覚醒”という獣人族の源流である神獣の力を一時的に一部、身に宿す能力を所有している個体の事を言う。そして、その能力は才能がある獣人族が数十年間、日夜問わず鍛錬してようやく獲得できる能力なのである。
レモンはそれを十五歳の時に獲得した。
しかも、それだけにとどまらず、レモンの“覚醒”は神祖なのだ。
神祖とはすなわち神獣の事。レモンの場合は九尾である。
レモンはその九尾の力を一部ではなく、全て身に宿すことができるのだ。つまり一時的とはいえ、レモンは神と名がつく存在と並ぶのだ。
もちろん才能もあっただろう。しかし、それだけでは辿り着けない領域なのだ。文字通りの血が滲む努力がそこにあり、想像を絶する過去があるのだろう。
物凄い存在なのだ。
つい一週間前に部品の受け取りに行った際に、その事をアカサから聞いたのだが、初めは全く信じられなかった。しかし、アカサは嘘はつかない主義なので本当に驚いた。
俺にとっては想像し難いんで、大した実感がわかないが、同じ覚醒個体であるアカサが言うのだから本当に凄い事なのだろう。
なのに、なのに。
燃え尽き症候群なのか。頑張り過ぎて、その反動で怠惰になったのだろう。
尻尾をゆらゆらりと上機嫌に揺らしているレモンを見て、不思議に思った。
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読んでくださりありがとうございます!!少しでも面白いと思われたら、お気に入り登録や感想をよろしくお願いします!!また、エールで動画を見てくださると投稿継続につながりますのでよろしくお願いします。
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