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ドワーフの魔術師とエルフ
第18話 市場で買い物
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鍛冶屋を出て、セイランに昼食を奢ってもらいます。
「そういえば、冒険者ギルドでは飛脚便も取り扱っているのですよね?」
「ああ。正確には輸送ギルドだが。何を送るのだ?」
「これです」
私は懐から本を取り出しました。
「もしかして、魔術のか?」
「はい。以前、魔物を使役する魔法を見せてもらったでしょう?」
虹色大好き鬼人お爺さんがいた村での話です。
セイランに服を作った後、散歩をしに外に出たらばったり彼と会ったのです。晩酌をしました。
鬼人でしたのでかなり飲める口でした。お互いについつい口が緩んでしまうほどには、美味しく飲めたと思います。
「彼に頼まれましてね」
「魔術化をか?」
「ええ。彼も長くはないので。そのうち飛脚に頼んで届けてもらおうかと思っています」
あの村はあの蜘蛛の糸で生計を立てています。あの蜘蛛の魔物、ケダマは高い知性を持っていましたが、それでも心からの意思疎通を図るには使役魔法が必要になるでしょう。
魔物を使役する魔法の習得は容易ではありません。彼専用の固有魔法と言っても過言ではないほどに。
だから、ケダマ専用にチューニングした使役魔術を書きました。
「お料理をお持ちしました」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
女給さんが注文した料理を持ってきてくださいました。セイランはきのこ山盛りのステーキ定食です。
私はキャラメルアップルパイ定食と迷いましたが、最終的に琥珀のデザート付きオムレツ定食に決めました。
「いただきます」
「森羅の恵みに感謝を。我らは自然の一部となりて命を享受する」
食べ終わりました。
「セイランはこの後、どうしますか?」
「特に予定はないな。お前は?」
「魔法店巡りでもしようかと」
「……アタシもついていこう」
「えぇ」
寂しがりなのですか。
「お前が全財産スリそうだから監視するのだ。寂しいわけではない! それに掘り出し物の魔法具や魔術具を探したいしな」
とかいって、本当は寂しいのでしょう。うんうん。
「だから違うと言っているだろう! まったく」
「ごちそうさまでした」と言って店を出ます。
直感と魔力探知に従って魔法店を探します。
「ここです! ここに入りましょう!」
「急にテンションが高くなるな……」
大きい魔法店を見つけました。入ります。魔法具はもちろん、本棚四つ分の魔法書が置かれていました。
「うっひょーー!! 店主! 全部の魔法書をください――」
「五冊までにしろ、アホ!」
口をふさがれました。
「何するのですかっ! 私のお金です。私がどう使おうが勝手でしょう!」
「ここにある魔法書を持ち帰れるのかっ!? それにボルボルゼンの報酬金でも足りないだろう! 考えてから物を言え! ドワーフでもそれくらいの頭はあるだろう!」
「考えもしない直感脳筋バカには言われたくないですよ! エルフのくせして魔法にギャーギャーと!」
喧嘩します。
「出ていけや、エルドワどもっ! 喧嘩なら自分たちの国でしろ!」
追い出されました。
「貴方のせいですよ」
「お前のせいだ」
これだからエルフは。一緒にいてはまともに買い物もできません。
「もういい! 勝手に破産でもしてろ、あほドワーフ」
「それはこっちの台詞ですよ、あほエルフ」
ふんっと鼻を鳴らして別れました。
「悪いが入らないでくれ」
入店拒否されました。頼んでも入れてもらえませんでした。
……仕方ありません。次です。ここは大きな都市なので、いくつも魔法店があるのです。
「駄目だ」
「くるな」
「悪いが……」
全て入店拒否されました。最初の店で問題を起こしたせいで、入れなくなってしまったのでしょう。
広場のベンチで座り込み項垂れます。
「「はぁ……」」
ポツリと呟けば、ちょうど隣に座ったセイランも同じように項垂れていました。
「どうしてここにいるのですか?」
「お前こそどうしてここにいる」
聞かなくても分かります。セイランも魔法店の入店を拒否されたのでしょう。
「私はともかく、貴方も落ち込むのですか」
「……魔法具が好きだからな。よく集めている。ここは多くの商人がくるから、掘り出し物が多いのだ」
はぁ、と溜息を吐くセイラン。
「仕方ない。明日の市で探すか」
「鎧がないのに、起きれるのですか?」
「起こしてくれ」
「嫌ですよ。私だけで行きます」
「起こしてくださいやがれ」
「……はぁ」
起こせばいいのでしょう、起こせば。へっぴり腰のエルフを蹴とばすのはドワーフの役目ですし、仕方ありません。
Φ
「起きなさい、このぐうたらエルフ!」
「ぐうたらはしていない。あと三日待っててくれ。寝る……」
「三日も寝るつもりですか!」
セイランを叩き起こします。服を渡し、着替えさせます。朝食を作り食べさせます。
「……絶対この人と別れてやります」
パーティーを組むとしてもこの人じゃありません。毎朝こんな世話をしたくありません。
というか、今まで本当にどうやって過ごして来たのですか。
「だから、ずっと鎧を着てたのだ。悪魔に転移させられる前までは予備の鎧も持ち歩いていたのだがな」
「全部破壊されているだろうな……」と彼女は少し諦めたようにぼやきました。
「じゃあ、市に向かうか」
アパートを出て朝市に向かいます。
数々の露店と多くの人々がいて、そこは大変盛況でした。
「週二で開催される市らしい。食料や日用品はもちろん、工芸品や書物、魔物の素材や武具、魔法具などが並ぶとか」
「詳しいですね」
「昨日聞いた」
改まったようにセイランが振り返ります。
「さて、グフウ。同じ轍を踏み散らかすのはもうやめようと思う」
「といいますと?」
「ここでは一切喧嘩をしない。約束だ」
「分かっていますよ。魔法書が買えなくなったら困りますし。お互い気張っていきましょう。そうすれば、魂に刻まれた喧嘩因子が反応することはない」
「だな」
指切りげんまんをし、私たちは市に足を踏み入れました。
「ひゃっほーーー!! 魔法書ください!」
「五冊までだぞ」
「分かっていますよ」
魔法書を買います。店主と頑張って交渉して十五万プェッファーまで値切ることができました。
「竜人の魔法!」
七万プェッファーもした竜人の固有魔法が書かれている魔法書が買えたので、本当に満足です。ずんちゃっちゃと踊ります。
「次はアタシの番だな」
セイランお目当ての魔法具を探します。
「どんな魔法具がいいのですか?」
「なんでもいい。蒐集が趣味みたいなもだからな。ただ、アクセサリー型ならなおいい」
その長い耳から下がった、ヒイラギモチーフのイヤリングが揺れます。
エルフにとってその長い耳はとても重要です。
魔法を使う際の触媒としてもですが、自然の音や魔力の流れを聞き取ることができるからです。それに耳を見ればその健康状態が分かり、魔力量もある程度分かってしまいます。
アクセサリー型の中でもイヤリングのものを探しましょう。
「……それにしても、やけに注目されていますね。特に貴方」
周りを見渡します。ヒューマンや獣人たちが私たち、特にセイランをチラチラと見ているのです。
私には好奇な視線ばかりですが、セイランには熱い視線が多いです。
「ああ、鎧を着ていないからな。エルフはヒューマンたちにとって、美しい存在なのだそうだ。顔に傷があってもこうやって視線を集める」
白のTシャツにパンツルックのセイランは自分の体を見下ろしながら肩をすくめます。
背が高く、筋肉質で、ある程度の起伏がある体です。
そこらのエルフよりは健康的ですが、ドワーフの私から言えばまだまだ太さが足りません。ちょっと不健康に見えます。
「その細身でよくまぁあの馬鹿力を出せますよね」
「エルフはお前らみたいに筋肉が肥大化しにくいからな。密度が高いだけだ。闘気の補助もある」
「肥大化って言わないでくださいよ。それにキチンと脂肪ものっているのですよ」
ドワーフの戦士にとって理想の体型は、筋肉質なずんぐりむっくりです。師匠によれば『お相撲さん』とやらがそれに近いとか。
「ともかくあまり気にするな」
「なんですか、その哀れみの目は。私だって注目されていますよ」
子供たちが「ひげもじゃ凄い!」と言っています。このひげの素晴らしさが分かるとは有望な子供たちです。
「あ、セイラン。あれなんかはどうでしょうか?」
「む?」
露店の一つを指さします。品ぞろえを見る限り、アクセサリー型の魔法具を取り扱っているようです。
セイランは並ぶ商品を見て、頬を緩ませます。
「いいな、全部欲しい」
「セイラン」
「分かっている。私はお前の様なアホではない」
「一々人を貶さないと気が済まないのですか? 脳筋エルフ」
「そっくりその言葉を返してやる」
軽口を叩きあいながら、私はネックレスを一つ手に取ります。金木犀モチーフのネックレスです。
「これなんてどうです? 風への親和性を高める魔法が込められていますし、見た目的にも貴方に似合うと思いますが」
「ネックレスか。戦っている最中に首がしまりそうでな」
「なんで戦いの場面限定なんですか。町の中で使うとかしましょうよ」
呆れます。私は花柄の髪飾りを手に取ります。
「じゃあ、これはどうです? 髪が汚れにくくなるそうですよ」
「……これなら戦いの邪魔にならなそうだな。一つはこれにしよう。ありがとう」
「どういたしまして」
それからアクセサリー型の魔法具以外にも、他の魔法具も物色していました。
「ふぅ、満足した」
「私もです」
ホクホク顔になります。私もセイランもルンルンとスキップしてしまいます。
「一緒に踊るか?」
「ええ、喜んで」
調子に乗ってずんちゃったずんちゃったと踊りました。喜びの舞いです。
「ねぇ、あれ」
「昨日のやつらじゃねぇか?」
「でも、喧嘩してねぇぞ」
いつの間にか注目を集めていました。途端に恥ずかしくなり、私とセイランはそそくさとアパートに戻りました。
「そういえば、冒険者ギルドでは飛脚便も取り扱っているのですよね?」
「ああ。正確には輸送ギルドだが。何を送るのだ?」
「これです」
私は懐から本を取り出しました。
「もしかして、魔術のか?」
「はい。以前、魔物を使役する魔法を見せてもらったでしょう?」
虹色大好き鬼人お爺さんがいた村での話です。
セイランに服を作った後、散歩をしに外に出たらばったり彼と会ったのです。晩酌をしました。
鬼人でしたのでかなり飲める口でした。お互いについつい口が緩んでしまうほどには、美味しく飲めたと思います。
「彼に頼まれましてね」
「魔術化をか?」
「ええ。彼も長くはないので。そのうち飛脚に頼んで届けてもらおうかと思っています」
あの村はあの蜘蛛の糸で生計を立てています。あの蜘蛛の魔物、ケダマは高い知性を持っていましたが、それでも心からの意思疎通を図るには使役魔法が必要になるでしょう。
魔物を使役する魔法の習得は容易ではありません。彼専用の固有魔法と言っても過言ではないほどに。
だから、ケダマ専用にチューニングした使役魔術を書きました。
「お料理をお持ちしました」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
女給さんが注文した料理を持ってきてくださいました。セイランはきのこ山盛りのステーキ定食です。
私はキャラメルアップルパイ定食と迷いましたが、最終的に琥珀のデザート付きオムレツ定食に決めました。
「いただきます」
「森羅の恵みに感謝を。我らは自然の一部となりて命を享受する」
食べ終わりました。
「セイランはこの後、どうしますか?」
「特に予定はないな。お前は?」
「魔法店巡りでもしようかと」
「……アタシもついていこう」
「えぇ」
寂しがりなのですか。
「お前が全財産スリそうだから監視するのだ。寂しいわけではない! それに掘り出し物の魔法具や魔術具を探したいしな」
とかいって、本当は寂しいのでしょう。うんうん。
「だから違うと言っているだろう! まったく」
「ごちそうさまでした」と言って店を出ます。
直感と魔力探知に従って魔法店を探します。
「ここです! ここに入りましょう!」
「急にテンションが高くなるな……」
大きい魔法店を見つけました。入ります。魔法具はもちろん、本棚四つ分の魔法書が置かれていました。
「うっひょーー!! 店主! 全部の魔法書をください――」
「五冊までにしろ、アホ!」
口をふさがれました。
「何するのですかっ! 私のお金です。私がどう使おうが勝手でしょう!」
「ここにある魔法書を持ち帰れるのかっ!? それにボルボルゼンの報酬金でも足りないだろう! 考えてから物を言え! ドワーフでもそれくらいの頭はあるだろう!」
「考えもしない直感脳筋バカには言われたくないですよ! エルフのくせして魔法にギャーギャーと!」
喧嘩します。
「出ていけや、エルドワどもっ! 喧嘩なら自分たちの国でしろ!」
追い出されました。
「貴方のせいですよ」
「お前のせいだ」
これだからエルフは。一緒にいてはまともに買い物もできません。
「もういい! 勝手に破産でもしてろ、あほドワーフ」
「それはこっちの台詞ですよ、あほエルフ」
ふんっと鼻を鳴らして別れました。
「悪いが入らないでくれ」
入店拒否されました。頼んでも入れてもらえませんでした。
……仕方ありません。次です。ここは大きな都市なので、いくつも魔法店があるのです。
「駄目だ」
「くるな」
「悪いが……」
全て入店拒否されました。最初の店で問題を起こしたせいで、入れなくなってしまったのでしょう。
広場のベンチで座り込み項垂れます。
「「はぁ……」」
ポツリと呟けば、ちょうど隣に座ったセイランも同じように項垂れていました。
「どうしてここにいるのですか?」
「お前こそどうしてここにいる」
聞かなくても分かります。セイランも魔法店の入店を拒否されたのでしょう。
「私はともかく、貴方も落ち込むのですか」
「……魔法具が好きだからな。よく集めている。ここは多くの商人がくるから、掘り出し物が多いのだ」
はぁ、と溜息を吐くセイラン。
「仕方ない。明日の市で探すか」
「鎧がないのに、起きれるのですか?」
「起こしてくれ」
「嫌ですよ。私だけで行きます」
「起こしてくださいやがれ」
「……はぁ」
起こせばいいのでしょう、起こせば。へっぴり腰のエルフを蹴とばすのはドワーフの役目ですし、仕方ありません。
Φ
「起きなさい、このぐうたらエルフ!」
「ぐうたらはしていない。あと三日待っててくれ。寝る……」
「三日も寝るつもりですか!」
セイランを叩き起こします。服を渡し、着替えさせます。朝食を作り食べさせます。
「……絶対この人と別れてやります」
パーティーを組むとしてもこの人じゃありません。毎朝こんな世話をしたくありません。
というか、今まで本当にどうやって過ごして来たのですか。
「だから、ずっと鎧を着てたのだ。悪魔に転移させられる前までは予備の鎧も持ち歩いていたのだがな」
「全部破壊されているだろうな……」と彼女は少し諦めたようにぼやきました。
「じゃあ、市に向かうか」
アパートを出て朝市に向かいます。
数々の露店と多くの人々がいて、そこは大変盛況でした。
「週二で開催される市らしい。食料や日用品はもちろん、工芸品や書物、魔物の素材や武具、魔法具などが並ぶとか」
「詳しいですね」
「昨日聞いた」
改まったようにセイランが振り返ります。
「さて、グフウ。同じ轍を踏み散らかすのはもうやめようと思う」
「といいますと?」
「ここでは一切喧嘩をしない。約束だ」
「分かっていますよ。魔法書が買えなくなったら困りますし。お互い気張っていきましょう。そうすれば、魂に刻まれた喧嘩因子が反応することはない」
「だな」
指切りげんまんをし、私たちは市に足を踏み入れました。
「ひゃっほーーー!! 魔法書ください!」
「五冊までだぞ」
「分かっていますよ」
魔法書を買います。店主と頑張って交渉して十五万プェッファーまで値切ることができました。
「竜人の魔法!」
七万プェッファーもした竜人の固有魔法が書かれている魔法書が買えたので、本当に満足です。ずんちゃっちゃと踊ります。
「次はアタシの番だな」
セイランお目当ての魔法具を探します。
「どんな魔法具がいいのですか?」
「なんでもいい。蒐集が趣味みたいなもだからな。ただ、アクセサリー型ならなおいい」
その長い耳から下がった、ヒイラギモチーフのイヤリングが揺れます。
エルフにとってその長い耳はとても重要です。
魔法を使う際の触媒としてもですが、自然の音や魔力の流れを聞き取ることができるからです。それに耳を見ればその健康状態が分かり、魔力量もある程度分かってしまいます。
アクセサリー型の中でもイヤリングのものを探しましょう。
「……それにしても、やけに注目されていますね。特に貴方」
周りを見渡します。ヒューマンや獣人たちが私たち、特にセイランをチラチラと見ているのです。
私には好奇な視線ばかりですが、セイランには熱い視線が多いです。
「ああ、鎧を着ていないからな。エルフはヒューマンたちにとって、美しい存在なのだそうだ。顔に傷があってもこうやって視線を集める」
白のTシャツにパンツルックのセイランは自分の体を見下ろしながら肩をすくめます。
背が高く、筋肉質で、ある程度の起伏がある体です。
そこらのエルフよりは健康的ですが、ドワーフの私から言えばまだまだ太さが足りません。ちょっと不健康に見えます。
「その細身でよくまぁあの馬鹿力を出せますよね」
「エルフはお前らみたいに筋肉が肥大化しにくいからな。密度が高いだけだ。闘気の補助もある」
「肥大化って言わないでくださいよ。それにキチンと脂肪ものっているのですよ」
ドワーフの戦士にとって理想の体型は、筋肉質なずんぐりむっくりです。師匠によれば『お相撲さん』とやらがそれに近いとか。
「ともかくあまり気にするな」
「なんですか、その哀れみの目は。私だって注目されていますよ」
子供たちが「ひげもじゃ凄い!」と言っています。このひげの素晴らしさが分かるとは有望な子供たちです。
「あ、セイラン。あれなんかはどうでしょうか?」
「む?」
露店の一つを指さします。品ぞろえを見る限り、アクセサリー型の魔法具を取り扱っているようです。
セイランは並ぶ商品を見て、頬を緩ませます。
「いいな、全部欲しい」
「セイラン」
「分かっている。私はお前の様なアホではない」
「一々人を貶さないと気が済まないのですか? 脳筋エルフ」
「そっくりその言葉を返してやる」
軽口を叩きあいながら、私はネックレスを一つ手に取ります。金木犀モチーフのネックレスです。
「これなんてどうです? 風への親和性を高める魔法が込められていますし、見た目的にも貴方に似合うと思いますが」
「ネックレスか。戦っている最中に首がしまりそうでな」
「なんで戦いの場面限定なんですか。町の中で使うとかしましょうよ」
呆れます。私は花柄の髪飾りを手に取ります。
「じゃあ、これはどうです? 髪が汚れにくくなるそうですよ」
「……これなら戦いの邪魔にならなそうだな。一つはこれにしよう。ありがとう」
「どういたしまして」
それからアクセサリー型の魔法具以外にも、他の魔法具も物色していました。
「ふぅ、満足した」
「私もです」
ホクホク顔になります。私もセイランもルンルンとスキップしてしまいます。
「一緒に踊るか?」
「ええ、喜んで」
調子に乗ってずんちゃったずんちゃったと踊りました。喜びの舞いです。
「ねぇ、あれ」
「昨日のやつらじゃねぇか?」
「でも、喧嘩してねぇぞ」
いつの間にか注目を集めていました。途端に恥ずかしくなり、私とセイランはそそくさとアパートに戻りました。
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