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第二部 二章:独りはあっても孤独はない
八話 自伝的魔導書
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『にしても、あの武器ってヘルメスの前世にあったの?』
『……あったにはあったが、似ても似つかないもんだぞ。というか、俺がその武器を詳しく知らなかったからな。魔法で無理やりどうにかしたんだ』
『ふーん。まぁ、一般的に作れる武器じゃないしいいか。〝魔法を宝石にする魔法〟は伝わってない魔法だし』
ああ、あれが一般転用される事が気になってるのか。確かに、“森顎”と“森彩”は扱うのに相当に技術が必要だが、それでも強力な武器だ。
なんせ、戦う力を持たない者でも上位の魔物を殺せるくらいの力を発揮できるからだ。
今だって、ライゼは〝魔力を刃にする魔法〟で“森顎”に纏わせた刃で、雷を伴いながら飛んでくる数十匹の飛雷魚を切り伏せ、“森彩”から爆発する弾丸を撃ち出し、周囲一帯を爆炎に染めている。爆発の威力はそこまで高くないのだが。
まぁ、けど、飛雷魚は中級の魔物であって上位の魔物ではないんだが。
けど、一応“森顎”と“森彩”には上位の魔物を斃せるほどの力があるが、上位の魔物を斃せるわけではない。結局はそれを扱う技術だ。
というかむしろ、精密な魔力操作を一瞬の戦いの中で要求するので、使い勝手が悪い方だ。チートではない。微チートと言ったところか。
まぁ、けど、その使い勝手の悪い武器をある程度使いこなしているライゼを見れば、あと一週間くらいで飛雷魚を通常の数に戻せるだろう。
まぁ、未だに銃機能を完全に使え熟せているとは言えないが。
けど、それでもライゼは努力する天才だ。努力でどうにかなる範囲には必ず到達できる力と才能がある。なので、今はまだ、その限界まで成長している途中だ。
そして俺は努力ではどうにもできない部分を補えばいい。主に道具を作って。
『伝わってないのか?』
『うん。〝魔法を宝石にする魔法〟とそれに関連する宝石系の魔法は、数百年前にとある貴族が生み出したんだけど、強欲だったから死ぬまで誰にも魔法を伝えなかったんだ。まぁ、それでも魔導書は残したらしいんだけど』
どんなに強欲な者でも、いや、そういう人間こそ死ぬ間際に日記とか、自伝とかを書くしな。
たぶん、その貴族もそうなんだろう。
『つまり、あの魔導書は唯一〝魔法を宝石にする魔法〟とそれに関連した魔法を記した魔導書って事か?』
『うん、そうだね』
確かに、いくら高度な魔法技術と魔力操作技術を必要とするとはいえ、あれだけ使い勝手のいい魔法が広まってないのは不思議だ。
貴族や商人が欲しがりそうな魔法だし。
レーラーは生ける魔導図書館みたいなものなのだろう。その内、索引を意味する英語と目録が合わさった感じに呼ばれるのだろうか。
銀髪ではないし、違うか。
そうして、レーラーと雑談していたら、昼になったので、ライゼの休憩もかねて冒険者ギルドに併設されている食堂へと向かった。
Φ
「ライゼ、〝水の上に立つ魔法〟は慣れた?」
「うん。安定して戦えるようになったよ」
卵のスープと黒パンを食べながら、ライゼは頷く。
レーラーは冷たい半眼でライゼを見て、頷く。
「なら、今度はこれを身に着けて〝水の上に立つ魔法〟を行使して」
レーラーは懐から、小さな小石をライゼに渡した。
「これで問題なく〝水の上に立つ魔法〟が使えれば、数秒くらい気絶しても水の上で立てると思うから」
「うん」
その小石は〝水の上に立つ魔法〟の発動を阻害する魔道具である。
半無意識化でも〝水の上に立つ魔法〟が行使できるレベルにまで慣れさせ、落とし込むのだ。
レーラーの魔法指導は大体こんな感じだ。
幾つかの魔法を同時進行で教え、それらをある程度操れるようになったら、重要な、もしくはライゼが使いたい魔法から順に、その魔法限定の魔法阻害の魔道具を持たせ、そのでも問題なく魔法を発動できるようにする。
まぁ、レーラーがもの凄く重要だと考えている魔法の場合は、もうひと段階、訓練が追加されるのだが。
「じゃあ、食べたらまた行こうか」
「うん」
そうして、ライゼとレーラーは黙々と昼食を進める。
因みに、俺は六目鹿の燻製肉を喰らっている。俺は虫ではなく、肉が大好物である。後は、山菜なども好きだ。
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
レーラーとライゼは、掌の皺と皺を合わせて奔走してくれた韋駄天様に感謝した後、木製の皿とコップを手に持ち、食べ終わった食器を置く専用の棚に移動する。 俺もライゼの肩に乗って移動する。
それから、二人は飛雷魚を討伐する時に同時に熟せる依頼がないか、冒険者ギルドの受付へ確認しに行く。
そして、受付嬢が依頼を精査している間に、ライゼが当たりを見回すと、二人の冒険者が興味深い事を話していた。
「なぁ、北の村に『聖金棒』がい付いているらしいぞ」
禿頭の盾使い。
「……その噂は本当か?」
禿頭の大剣使い。
「ああ、確かな情報筋だ。なんせ、今日の冒険者新聞のコラムに乗ってたからな」
「……はぁ、あれなら俺も読んだぞ。ただ、今日記載されてた内容は二か月前の事だぞ。定住しない事で有名な『聖金棒』がいるわけないだろ。馬鹿は大概にしろ」
禿頭の大剣使いは呆れる。
「馬鹿はお前だ。今は冬だぞ。しかも雪も降ってる。移動できるわけないだろ」
「いや、やはりお前は馬鹿だな。移動できないんじゃなくて、移動し辛いだけだ。あの身体の二倍もの金棒を操る『聖金棒』だぞ。移動できるに決まってるだろ」
「……確かにその通りだな」
『聖金棒』とは、最近台頭し始めてきた冒険者だ。神官でありながら、闘気を操る岩人らしい。
ランクをどんどん上げていき、齢十四歳にしてCランクにまで上り詰めたらしい。今、冒険者界隈で注目されているルーキーなのだ。
『一度、会ってみたいな』
『うん。神官が使う神聖魔法ってどんな感じなのか知りたいし』
俺とライゼは冒険者たちの会話を聞きながら、そんな会話をしていた。
と、ライゼが肩を叩かれる。俺が少し揺れる。
「丁度良い依頼があったから行くよ」
「わかった、レーラー師匠」
それから会話を中断して港に向かった。
そしてライゼは数千の飛雷魚を討伐した。殆どは銃身の〝魔力を刃にする魔法〟で斃していた。
小さい体躯で素早く動く飛雷魚を全て精密に撃ち抜く技術はまだライゼにはなかったのだ。鍛錬中である。
『……あったにはあったが、似ても似つかないもんだぞ。というか、俺がその武器を詳しく知らなかったからな。魔法で無理やりどうにかしたんだ』
『ふーん。まぁ、一般的に作れる武器じゃないしいいか。〝魔法を宝石にする魔法〟は伝わってない魔法だし』
ああ、あれが一般転用される事が気になってるのか。確かに、“森顎”と“森彩”は扱うのに相当に技術が必要だが、それでも強力な武器だ。
なんせ、戦う力を持たない者でも上位の魔物を殺せるくらいの力を発揮できるからだ。
今だって、ライゼは〝魔力を刃にする魔法〟で“森顎”に纏わせた刃で、雷を伴いながら飛んでくる数十匹の飛雷魚を切り伏せ、“森彩”から爆発する弾丸を撃ち出し、周囲一帯を爆炎に染めている。爆発の威力はそこまで高くないのだが。
まぁ、けど、飛雷魚は中級の魔物であって上位の魔物ではないんだが。
けど、一応“森顎”と“森彩”には上位の魔物を斃せるほどの力があるが、上位の魔物を斃せるわけではない。結局はそれを扱う技術だ。
というかむしろ、精密な魔力操作を一瞬の戦いの中で要求するので、使い勝手が悪い方だ。チートではない。微チートと言ったところか。
まぁ、けど、その使い勝手の悪い武器をある程度使いこなしているライゼを見れば、あと一週間くらいで飛雷魚を通常の数に戻せるだろう。
まぁ、未だに銃機能を完全に使え熟せているとは言えないが。
けど、それでもライゼは努力する天才だ。努力でどうにかなる範囲には必ず到達できる力と才能がある。なので、今はまだ、その限界まで成長している途中だ。
そして俺は努力ではどうにもできない部分を補えばいい。主に道具を作って。
『伝わってないのか?』
『うん。〝魔法を宝石にする魔法〟とそれに関連する宝石系の魔法は、数百年前にとある貴族が生み出したんだけど、強欲だったから死ぬまで誰にも魔法を伝えなかったんだ。まぁ、それでも魔導書は残したらしいんだけど』
どんなに強欲な者でも、いや、そういう人間こそ死ぬ間際に日記とか、自伝とかを書くしな。
たぶん、その貴族もそうなんだろう。
『つまり、あの魔導書は唯一〝魔法を宝石にする魔法〟とそれに関連した魔法を記した魔導書って事か?』
『うん、そうだね』
確かに、いくら高度な魔法技術と魔力操作技術を必要とするとはいえ、あれだけ使い勝手のいい魔法が広まってないのは不思議だ。
貴族や商人が欲しがりそうな魔法だし。
レーラーは生ける魔導図書館みたいなものなのだろう。その内、索引を意味する英語と目録が合わさった感じに呼ばれるのだろうか。
銀髪ではないし、違うか。
そうして、レーラーと雑談していたら、昼になったので、ライゼの休憩もかねて冒険者ギルドに併設されている食堂へと向かった。
Φ
「ライゼ、〝水の上に立つ魔法〟は慣れた?」
「うん。安定して戦えるようになったよ」
卵のスープと黒パンを食べながら、ライゼは頷く。
レーラーは冷たい半眼でライゼを見て、頷く。
「なら、今度はこれを身に着けて〝水の上に立つ魔法〟を行使して」
レーラーは懐から、小さな小石をライゼに渡した。
「これで問題なく〝水の上に立つ魔法〟が使えれば、数秒くらい気絶しても水の上で立てると思うから」
「うん」
その小石は〝水の上に立つ魔法〟の発動を阻害する魔道具である。
半無意識化でも〝水の上に立つ魔法〟が行使できるレベルにまで慣れさせ、落とし込むのだ。
レーラーの魔法指導は大体こんな感じだ。
幾つかの魔法を同時進行で教え、それらをある程度操れるようになったら、重要な、もしくはライゼが使いたい魔法から順に、その魔法限定の魔法阻害の魔道具を持たせ、そのでも問題なく魔法を発動できるようにする。
まぁ、レーラーがもの凄く重要だと考えている魔法の場合は、もうひと段階、訓練が追加されるのだが。
「じゃあ、食べたらまた行こうか」
「うん」
そうして、ライゼとレーラーは黙々と昼食を進める。
因みに、俺は六目鹿の燻製肉を喰らっている。俺は虫ではなく、肉が大好物である。後は、山菜なども好きだ。
「ごちそうさま」
「ごちそうさまでした」
レーラーとライゼは、掌の皺と皺を合わせて奔走してくれた韋駄天様に感謝した後、木製の皿とコップを手に持ち、食べ終わった食器を置く専用の棚に移動する。 俺もライゼの肩に乗って移動する。
それから、二人は飛雷魚を討伐する時に同時に熟せる依頼がないか、冒険者ギルドの受付へ確認しに行く。
そして、受付嬢が依頼を精査している間に、ライゼが当たりを見回すと、二人の冒険者が興味深い事を話していた。
「なぁ、北の村に『聖金棒』がい付いているらしいぞ」
禿頭の盾使い。
「……その噂は本当か?」
禿頭の大剣使い。
「ああ、確かな情報筋だ。なんせ、今日の冒険者新聞のコラムに乗ってたからな」
「……はぁ、あれなら俺も読んだぞ。ただ、今日記載されてた内容は二か月前の事だぞ。定住しない事で有名な『聖金棒』がいるわけないだろ。馬鹿は大概にしろ」
禿頭の大剣使いは呆れる。
「馬鹿はお前だ。今は冬だぞ。しかも雪も降ってる。移動できるわけないだろ」
「いや、やはりお前は馬鹿だな。移動できないんじゃなくて、移動し辛いだけだ。あの身体の二倍もの金棒を操る『聖金棒』だぞ。移動できるに決まってるだろ」
「……確かにその通りだな」
『聖金棒』とは、最近台頭し始めてきた冒険者だ。神官でありながら、闘気を操る岩人らしい。
ランクをどんどん上げていき、齢十四歳にしてCランクにまで上り詰めたらしい。今、冒険者界隈で注目されているルーキーなのだ。
『一度、会ってみたいな』
『うん。神官が使う神聖魔法ってどんな感じなのか知りたいし』
俺とライゼは冒険者たちの会話を聞きながら、そんな会話をしていた。
と、ライゼが肩を叩かれる。俺が少し揺れる。
「丁度良い依頼があったから行くよ」
「わかった、レーラー師匠」
それから会話を中断して港に向かった。
そしてライゼは数千の飛雷魚を討伐した。殆どは銃身の〝魔力を刃にする魔法〟で斃していた。
小さい体躯で素早く動く飛雷魚を全て精密に撃ち抜く技術はまだライゼにはなかったのだ。鍛錬中である。
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