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第一部 序章:羽搏くのはあなただけ
一話 トカゲになった
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あれはいつだったか。俺の記憶では六、七十年前くらいだと思うんだが、目の前にめっちゃ光る羽虫がいたんだ。
これでもかって言うぐらい黄金に輝いているくせに、その羽虫自体は強くも何ともなくてな。無警戒に俺の目の前を通り過ぎたんだ。
だから、俺はその羽虫を食べたんだよ。おい、そこ気持ち悪いとか思うなよ。それは俺の立派な本能なんだ。
トカゲとして至極当たり前な事をしただけなんだ。
で、だ。その至極真っ当な事をして、黄金の羽虫を食べたらな前世の記憶みたいなのが蘇ったんだ。
日本っていう所でサラリーマンをしていたおっさんの記憶が脳裏を駆け巡ったんだよ。ホントだ。嘘じゃないぞ。俺に嘘をつかせたら大したもんだ。
そして、前世の記憶が蘇ったついでに、脳裏に無機質な声が流れたんだ。
――確認しました。種族:ルルカスレルトルトカゲから種族:ペレグリーナーティオトカゲに変異します。それにより、祝福とスキルの変更を行います。……完了しました。承認されました――
ってな感じの言葉が。
俺は興奮したね。めっちゃ興奮した。
前世の記憶が蘇ったことによって、知性すらなかった俺に理知が芽生えて思考して、感情を爆発させて、それを喜んだんだ。
ファンタジーの世界へ異世界転生したってな。
前世で社畜だった俺の唯一の楽しみがネット小説を読むことで、大学生くらいの時は王道異世界ファンタジーが好きでな。ここ最近は恋愛ものが好きだったな。まぁ、前世で一度も恋愛したことなかったけど。
それで、死ぬ一年くらい前から、ネット小説のアニメ化ラッシュがあってさ。それで、俺が最初に読んだネット小説がアニメ化するってんでウッキウッキしてたらな、浮かれすぎてたんだろうな。
ペットショップ屋の車に引き殺されたんだ。やっぱり、ペットショップを運営しているからあれだったのか知らないが、ひき逃げしていったんだよ。まったく。
まぁ、いいや。
それで、俺はその、こいつ、脳内に直接!っというセリフを心の中で叫んだあと、ステータスって念じたんだ。
当たり前だろう。あんな如何にもっていうアナウンスが脳裏に響いたんだ。ステータスがあってしかるべきだろう。
で、俺の目の前にそれは出てきたんだ。
=====================================
名前:
種族:ペレグリーナーティオトカゲ
祝福:雑食・前世の記憶
スキル:舌伸ばし・熱視・張り付き・登攀・尻尾再生・隠密・身大変化・不老
=====================================
で、さ。思ったんだよ。俺はトカゲなんだなって。
いやさ、何か這いずって動いてたし、さっきだって黄金の羽虫を食べたし、舌だって結構伸びたしさ。色々と分かってはいたんだよ。
だけど、こう、ハッキリと突きつけられるとさ。少しだけ落ち込んだんだ。
トカゲはトカゲでもドラゴンの方が良かったなって。
まぁ、けど、自分がトカゲになったことに対しての絶望とか違和感はなかったんだよな。
そりゃあ、トカゲよりも人間とかの方がよかったし、せめてドラゴンが良かったけど、まぁ、けど、トカゲでもいいかって思ったんだ。
それに、気になる事もあったしな。
なので、まず、種族の所を念じてみたんだ。ペレグリーナーティオトカゲって何だろうと思ってな。
そしたら、詳細がキチンと出てきたんだ。
=====================================
ペレグリーナーティオトカゲ
知能が高く、雑食性で身体の大きさを自由に変化できる事から、太古の昔は馬の代わりとして使われていた。しかし、戦う事ができない温厚な気性と、老いる事のない特性によって、子供を産んでも生き残る事がなく、絶滅していった。
最近は普通のトカゲが魔力を多く含んだ羽虫を食べて、魔力が身体を改変してペレグリーナーティオトカゲになる場合が多い。
なお、知能は高いが食事になると理性を失う。
=====================================
それを見て、最初に思ったのは、なんで老いないと子供が死ぬんだと思ったんだが、前世の記憶を辿っていくとその理由が分かった。
老いないっていう事は、子供だけがその種族の中で弱くなるんだ。
だから、多くの外敵は子供だけを狙うんだ。
普通なら、老いることによって、老いた弱い奴らが囮となる事で子供たちは生き残るのだが、老いることがないので老いた弱い奴らがいないのだ。
子供だけが標的にされるんだ。
だから、子供の数が減って、最終的には外敵かなんかに滅ぼされたんだろうと思った。
まぁ、けどそれはおいといて、説明を読んでいて気になる言葉があった。
そう、魔力だ。
魔力といえばファンタジーでは鉄則のものだろ。
ワクワクするし、魔力があるという事は魔法もあるという事。
まぁ、けど、魔力が何かは未だ分かっていないので、ステータスの他の部分を調べよう。
これでもかって言うぐらい黄金に輝いているくせに、その羽虫自体は強くも何ともなくてな。無警戒に俺の目の前を通り過ぎたんだ。
だから、俺はその羽虫を食べたんだよ。おい、そこ気持ち悪いとか思うなよ。それは俺の立派な本能なんだ。
トカゲとして至極当たり前な事をしただけなんだ。
で、だ。その至極真っ当な事をして、黄金の羽虫を食べたらな前世の記憶みたいなのが蘇ったんだ。
日本っていう所でサラリーマンをしていたおっさんの記憶が脳裏を駆け巡ったんだよ。ホントだ。嘘じゃないぞ。俺に嘘をつかせたら大したもんだ。
そして、前世の記憶が蘇ったついでに、脳裏に無機質な声が流れたんだ。
――確認しました。種族:ルルカスレルトルトカゲから種族:ペレグリーナーティオトカゲに変異します。それにより、祝福とスキルの変更を行います。……完了しました。承認されました――
ってな感じの言葉が。
俺は興奮したね。めっちゃ興奮した。
前世の記憶が蘇ったことによって、知性すらなかった俺に理知が芽生えて思考して、感情を爆発させて、それを喜んだんだ。
ファンタジーの世界へ異世界転生したってな。
前世で社畜だった俺の唯一の楽しみがネット小説を読むことで、大学生くらいの時は王道異世界ファンタジーが好きでな。ここ最近は恋愛ものが好きだったな。まぁ、前世で一度も恋愛したことなかったけど。
それで、死ぬ一年くらい前から、ネット小説のアニメ化ラッシュがあってさ。それで、俺が最初に読んだネット小説がアニメ化するってんでウッキウッキしてたらな、浮かれすぎてたんだろうな。
ペットショップ屋の車に引き殺されたんだ。やっぱり、ペットショップを運営しているからあれだったのか知らないが、ひき逃げしていったんだよ。まったく。
まぁ、いいや。
それで、俺はその、こいつ、脳内に直接!っというセリフを心の中で叫んだあと、ステータスって念じたんだ。
当たり前だろう。あんな如何にもっていうアナウンスが脳裏に響いたんだ。ステータスがあってしかるべきだろう。
で、俺の目の前にそれは出てきたんだ。
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名前:
種族:ペレグリーナーティオトカゲ
祝福:雑食・前世の記憶
スキル:舌伸ばし・熱視・張り付き・登攀・尻尾再生・隠密・身大変化・不老
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で、さ。思ったんだよ。俺はトカゲなんだなって。
いやさ、何か這いずって動いてたし、さっきだって黄金の羽虫を食べたし、舌だって結構伸びたしさ。色々と分かってはいたんだよ。
だけど、こう、ハッキリと突きつけられるとさ。少しだけ落ち込んだんだ。
トカゲはトカゲでもドラゴンの方が良かったなって。
まぁ、けど、自分がトカゲになったことに対しての絶望とか違和感はなかったんだよな。
そりゃあ、トカゲよりも人間とかの方がよかったし、せめてドラゴンが良かったけど、まぁ、けど、トカゲでもいいかって思ったんだ。
それに、気になる事もあったしな。
なので、まず、種族の所を念じてみたんだ。ペレグリーナーティオトカゲって何だろうと思ってな。
そしたら、詳細がキチンと出てきたんだ。
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ペレグリーナーティオトカゲ
知能が高く、雑食性で身体の大きさを自由に変化できる事から、太古の昔は馬の代わりとして使われていた。しかし、戦う事ができない温厚な気性と、老いる事のない特性によって、子供を産んでも生き残る事がなく、絶滅していった。
最近は普通のトカゲが魔力を多く含んだ羽虫を食べて、魔力が身体を改変してペレグリーナーティオトカゲになる場合が多い。
なお、知能は高いが食事になると理性を失う。
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それを見て、最初に思ったのは、なんで老いないと子供が死ぬんだと思ったんだが、前世の記憶を辿っていくとその理由が分かった。
老いないっていう事は、子供だけがその種族の中で弱くなるんだ。
だから、多くの外敵は子供だけを狙うんだ。
普通なら、老いることによって、老いた弱い奴らが囮となる事で子供たちは生き残るのだが、老いることがないので老いた弱い奴らがいないのだ。
子供だけが標的にされるんだ。
だから、子供の数が減って、最終的には外敵かなんかに滅ぼされたんだろうと思った。
まぁ、けどそれはおいといて、説明を読んでいて気になる言葉があった。
そう、魔力だ。
魔力といえばファンタジーでは鉄則のものだろ。
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まぁ、けど、魔力が何かは未だ分かっていないので、ステータスの他の部分を調べよう。
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