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44話 ダゴン戦 決着

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 姫様も戦い、ライリーは操舵しながら敵を蹴り上げ、エヴァンもナイフを使いながら1匹、また1匹と倒していく。
 
 後数匹というところで水面が激しく揺れ、水の中からダゴンがまた姿を現した。砲撃でやられたはずの目が再生している。

「これはまずいな」

 後ろを振り返ったライリーから絶望している声が聞こえる。後ろを向いているから表情は分からないけれど、笑っていそうな気がする。微かにだけど、肩が震えているから。
 
 爪を振り上げたダゴン。その先は船を操舵するライリーに向けてだった。

「ライリー逃げて!」
「そういうわけにはいかねぇよ」

 舵を切り、なんとか逃れようとするライリーの頭上まで爪が迫っている。逃げなければ縦に半分どころか三枚おろしの状態になってしまう。ライリーのそんな姿見たくない。見たくないと手で目を覆ったその時、4つの轟音が連続で鳴り響いた。4つの弾がライリーの横を通り過ぎ、2つがダゴンに当たったのだ。
 これで倒れてくれたらよかったんだけど、相手はなんたって街を水没させたクトゥルフ神話生物だ。津波だって起こせちゃう。
 なんでこんなこと言ってるかって? ダゴンの後ろから津波が迫ってきているのが見えているから。

「ライリー、早く!」
「やってらぁ! 野郎ども! 全部の帆を降ろせ! 全力前進だ」
「援護します!」

 姫様が帆に向かって杖を振るった。すると、吹いている風とは違うものが帆に当たり、勢いはつくが制御が難しくなる。突然の速さに驚いた声が聞こえてきた。

「おい、誰だ! 何かやる場合は俺に言ってからにしろ」
「わ、私です」
「今のはなんだ」

 メアリー様からライリーに魔法について説明があった。何か知らない単語が出て来たけど、分かりやすく言えば、体の内側に巡っている魔力を意識しながら杖に持っていき、そこから放つ。といったけど、説明が長すぎるってライリーが怒っていた。

「もっと分かりやすく言え! 魔法だなんだってのはおとぎ話の中にしやがれってんだ」
「こ、これ以上は」

 怒りと操舵で忙しく、メアリー様の言葉が右から左へと流れていってるんだろう。
 
「ようは自然の力を自分たちが好きに出せるってことじゃない?」
「それならそうと言え。それでこいつのスピードが変わる」

 落ち込んでいるメアリー様をなぐさめつつ、ライリーに簡単に説明した。最初は手こずっていた舵輪の操作も少しずつ慣れてきたのか、船がスピードに乗ってきた。

「風の威力少しだけ下げろ」
「は、はい」

 先ほどまで大きく膨らんでいた帆が少し緩やかになった。それに合わせるかのように舵輪を回し、旋回する船。くるりと回った船はダゴンを正面に構えている。

「なにをやっている!」

 まさか正面を向くとは思わなかった。エヴァンからも驚きの声が上がっている。

「てめぇら、難破なんぱを覚悟しとけよ」

 後ろを振り返り、ライリーの顔を見ると真剣な表情をしているが、どこか楽しそうに口角を上げている。まさかあれをしようとしている?

へりに捕まってた方がいい?」
「そうしろ!」

 ライリーのやりたいことがわかった。波を後ろや横から受けないようにする為にして、正面から受けることで被害を少なくしようとしてるんだ。

「みんな捕まって!」
「あいつはいったい何を」
「賭けだけど、波を越えようとしてる」
「この状況でか」

 皆がへりに捕まり、耐えようとしている。そのなかで舵輪を回しながらダゴンので横を越えようとしていた。

「砲手長!」
「準備は出来てる」

 いつのまに準備してたんだろう。エヴァンがしっかりとした足取りで甲板に足を付け、大砲の向きを変え、ダゴンに向けている。

「撃て!」

 ライリーの掛け声で放たれた砲弾は煙を上げ、真っ直ぐ向かい、ダゴンの脳天を貫通した。さすがに脳をやられたら無事ではすまないだろう。開いている穴から緑色の液体が流れ、ダゴンの顔を伝い、水に落ち、少しずつ広がっていく。

「やった!」
「倒したぞ!」
「まだ安心するんじゃねぇ」

 ゆっくりと倒れていくダゴン。喜ぶみんなとは違い、ライリーは焦っていた。前方から来る津波とダゴンが倒れたことによる水の波で操舵に悪戦苦闘している。
 
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感想 4

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みんなの感想(4件)

penpen
2024.01.02 penpen

°̥✩ℋᎯᎵᎵᎩ ᏁᏋᏔ ᎩᏋᎯℛ*ೄ°̥✩

昨年はお世話になりました♡
本年も宜しくお願い致します♪

★☆★ 2024年新春★☆★
 \|/
――●――  / ̄\⊂⌒
 /|\ /~~~\⊂
 ⊂⌒⌒⌒⊃/人\\\
 ⊂⌒⌒⌒⌒⌒⊃\\\

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penpen
2023.09.15 penpen

面白そうなので昨日Twitterに紹介しちゃいました(っ'ヮ'c)
今読んでます〜あとちょっと( *´꒳ˋ*)ノ⁾⁾

yasaca
2023.09.15 yasaca

Twitterでの紹介ありがとうございます!感想を見てめちゃくちゃびっくりしました!

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代 居玖間
2022.10.04 代 居玖間

やっと最新話まで追い付きました☆
スマホが重要なアイテムっていうのはナイスアイデアですね。
色々と呼び出したり記録したりなどなど、すごく想像力が刺激されます。
そして電源どうなってるのん? って思いつつ読んでいます。
たぶん、あかりちゃんの生命力とか元気力とかに連動しているのかな……それとも時間経過で補充される仕様なのかな。
その辺りや世界のことも、これから明らかになっていくのでしょうね。
新キャラの看護士さんも一癖ありつつも良い人みたいでひと安心です。
神話やゲームはからっきしですが、ここまで楽しく読ませていただきました。
事件の顛末やキャラさんたちの活躍を楽しみにしております。

yasaca
2022.10.04 yasaca

読んでくださりありがとうございます!
スマホは偉大です(´▽`*)なんでもできますからね!
スマホと言ってますけど、あれを魔法を使う力(マジックポイントとか)だと考えていただければ分かりやすいかと。
看護師さんの活躍をお楽しみに!

クトゥルフ神話という創作神話ですが、ハマると沼るのでお気をつけて(;´∀`)

解除

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