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39話 避けるべきこと
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「高い者が見た場合どうなるのです?」
「正気度が減るだけですね。それでも危険なことに変わりはないですが」
たとえ、耐えることが出来たとしてものちのちに響いてくる。低すぎると発狂してしまう。シナリオで回復させることが出来るものもあるけど、どうしたら。
自分のスマホは召喚するだけなのだろうか? 今まで水とエヴァンとゾーイと見えない馬を召喚した。それ以外に何かできないかと、かばんの中でこっそりとスマホの画面を確認すると、何か一件通知が来ていた。電波は繋がっていないのに、いったい誰から? もしかしてニャル様? スマホ使えたの?
【新たなスキルを覚えました。確認しますか?】
という通知。新たなスキルってなに? 召喚するだけじゃなかったの? 詳しく見たいけど、今は目の前にいるメアリー様を優先しなくては。
「君が本を読んだらいいんじゃないか?」
ひとりの衛兵が言ってくる。その言葉に反応するエヴァンとゾーイ。一度、私がおかしくなるところを見ているからこそ、許せなかったのかも。
エヴァンが目の前の衛兵を殺してしまう前に抑えてと言い聞かせ、腰に付けているナイフから手を離させた。抜いたら一瞬で喉を切り裂いちゃうだろうから。
「知っているからしろってことですか?」
「そうだ」
「これに関して、知識はない方がいいんです。あればあるほど発狂します」
「そんなことあり得るのか?」
「あり得るんです。だって、神と同様の相手ですから」
大いなるクトゥルフ。次元を超えるティンダロスの猟犬。黄衣の王。父なるダゴン。
有名どころだけど、これだけ知っていても会ってしまったら正気度が減っていく。
減るどころか死ぬ。
「神と……」
「極力戦闘は避けてください。ですが、もし出会ってしまった時、倒せそうだと判断したら戦闘してから逃げてください」
「矛盾していないか?」
矛盾しているけど、私たちが広場に行ったとき奇襲されたことを伝えた。そういう時は仕方なしに戦闘するしかない。
これから説明する敵は倒せるかもしれない敵の名前と特徴を言うことにした。姿を説明するだけだったら大丈夫だよね。これでもSAN値減少とかにはならないよね。
「私が出来るのは知っていることを教えるのみです」
自分が役に立てないことは知っている。だから裏でサポートをする。それしかできない。
「今あかり様がおっしゃった敵は人でも倒せるのですね?」
「倒せますが、緊急の時以外は手を出さないように」
私は何度も言う。それほどクトゥルフとの戦闘は避けるべきだから。
「わかりましたわ。他に注意することはございますか?」
「ニャルラトホテップと呼ばれる生物には特に注意してください。あれは人が好きでありながらも狂気に陥れようとしてくるので」
メアリー様たちの見た肌が黒い姿。褐色のとき。醜い女性として現れたなどいろいろと姿を変えてでてくるのだ。
「その数は?」
「千以上」
「千……」
メアリー様たちが目を見開いて驚いている。
「そいつがお前をおかしくさせたのか」
エヴァンの声色が変わった。背筋が凍るような感覚がして横に座っているエヴァンの顔をちらりと見たら、無表情になっている。ついでにとゾーイの顔も見たら無表情になっていた。2人して変えないで。
ずっと内緒にしてたけど、メアリー様に説明するとき言ってしまった名前を、二人して小声で呟きながら名前を覚えるかのように繰り返している。特にゾーイがすると怖い。恨んでいるかのように呟き続けているし。
今思ったんだけど、もしかしてこれ、被害者を増やしてしまった可能性なくないか? だ、大丈夫だよね。これでメアリー様とかエヴァンたちのSAN値が減って発狂したら完全に私のせいだよね。
うわぁあああ、やってしまった。証言者がここにはいっぱいいるし、クトゥルフの知識があるのは私だけ。もし、発狂しておかしくなってしまったらその罪で処されないよね? なってしまった時の対処法も教えておこう。うん。
「姫様、もし、例の者に会っておかしくなってしまった人物がいたら、監視しながらしっかりと療養させてください」
「どんなふうにですか?」
「暴れているなら抑え、心を安定させるように治療するんです。言葉をかけてあげるといいかもしれません。大丈夫、と」
これは1つの例え。他にもいろいろと方法はある。私が考えられるのは1つしかないけど、寄り添いながら看病すれば出てくると思う。
「正気度が減るだけですね。それでも危険なことに変わりはないですが」
たとえ、耐えることが出来たとしてものちのちに響いてくる。低すぎると発狂してしまう。シナリオで回復させることが出来るものもあるけど、どうしたら。
自分のスマホは召喚するだけなのだろうか? 今まで水とエヴァンとゾーイと見えない馬を召喚した。それ以外に何かできないかと、かばんの中でこっそりとスマホの画面を確認すると、何か一件通知が来ていた。電波は繋がっていないのに、いったい誰から? もしかしてニャル様? スマホ使えたの?
【新たなスキルを覚えました。確認しますか?】
という通知。新たなスキルってなに? 召喚するだけじゃなかったの? 詳しく見たいけど、今は目の前にいるメアリー様を優先しなくては。
「君が本を読んだらいいんじゃないか?」
ひとりの衛兵が言ってくる。その言葉に反応するエヴァンとゾーイ。一度、私がおかしくなるところを見ているからこそ、許せなかったのかも。
エヴァンが目の前の衛兵を殺してしまう前に抑えてと言い聞かせ、腰に付けているナイフから手を離させた。抜いたら一瞬で喉を切り裂いちゃうだろうから。
「知っているからしろってことですか?」
「そうだ」
「これに関して、知識はない方がいいんです。あればあるほど発狂します」
「そんなことあり得るのか?」
「あり得るんです。だって、神と同様の相手ですから」
大いなるクトゥルフ。次元を超えるティンダロスの猟犬。黄衣の王。父なるダゴン。
有名どころだけど、これだけ知っていても会ってしまったら正気度が減っていく。
減るどころか死ぬ。
「神と……」
「極力戦闘は避けてください。ですが、もし出会ってしまった時、倒せそうだと判断したら戦闘してから逃げてください」
「矛盾していないか?」
矛盾しているけど、私たちが広場に行ったとき奇襲されたことを伝えた。そういう時は仕方なしに戦闘するしかない。
これから説明する敵は倒せるかもしれない敵の名前と特徴を言うことにした。姿を説明するだけだったら大丈夫だよね。これでもSAN値減少とかにはならないよね。
「私が出来るのは知っていることを教えるのみです」
自分が役に立てないことは知っている。だから裏でサポートをする。それしかできない。
「今あかり様がおっしゃった敵は人でも倒せるのですね?」
「倒せますが、緊急の時以外は手を出さないように」
私は何度も言う。それほどクトゥルフとの戦闘は避けるべきだから。
「わかりましたわ。他に注意することはございますか?」
「ニャルラトホテップと呼ばれる生物には特に注意してください。あれは人が好きでありながらも狂気に陥れようとしてくるので」
メアリー様たちの見た肌が黒い姿。褐色のとき。醜い女性として現れたなどいろいろと姿を変えてでてくるのだ。
「その数は?」
「千以上」
「千……」
メアリー様たちが目を見開いて驚いている。
「そいつがお前をおかしくさせたのか」
エヴァンの声色が変わった。背筋が凍るような感覚がして横に座っているエヴァンの顔をちらりと見たら、無表情になっている。ついでにとゾーイの顔も見たら無表情になっていた。2人して変えないで。
ずっと内緒にしてたけど、メアリー様に説明するとき言ってしまった名前を、二人して小声で呟きながら名前を覚えるかのように繰り返している。特にゾーイがすると怖い。恨んでいるかのように呟き続けているし。
今思ったんだけど、もしかしてこれ、被害者を増やしてしまった可能性なくないか? だ、大丈夫だよね。これでメアリー様とかエヴァンたちのSAN値が減って発狂したら完全に私のせいだよね。
うわぁあああ、やってしまった。証言者がここにはいっぱいいるし、クトゥルフの知識があるのは私だけ。もし、発狂しておかしくなってしまったらその罪で処されないよね? なってしまった時の対処法も教えておこう。うん。
「姫様、もし、例の者に会っておかしくなってしまった人物がいたら、監視しながらしっかりと療養させてください」
「どんなふうにですか?」
「暴れているなら抑え、心を安定させるように治療するんです。言葉をかけてあげるといいかもしれません。大丈夫、と」
これは1つの例え。他にもいろいろと方法はある。私が考えられるのは1つしかないけど、寄り添いながら看病すれば出てくると思う。
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