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28話 調査
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必死に手を上に伸ばし、ゾーイの頭を撫でる。これで癒せるかは分からないけど、やらないよりかはいいかな。
撫でた瞬間に抱きしめが強くなった。顔を見るのは難しいけど、喜んでくれてる?
ずっと撫で続けていると、調べ終わったエヴァンが戻ってくる。
「血が地面にこびり付いていたのと腕が落ちていたのは分かったが、それ以上はわからなかった」
「ありがと、エヴァン。ゾーイなら分かる?」
「見てみるわね」
ゾーイが私から離れ、中央に向かっていく。限界があるかもしれないけど、もしかしたらゾーイなら分かるかもしれない。中央で立ってはしゃがみ込み、腕を持ち上げている様子を遠くから見ながら終わるのを待つことにした。
しばらくしてゾーイ戻ってくる。
「なにか分かったか?」
「鋭利なものでえぐり取られたかのような痕だったわ」
「鋭利? 刃物とかか?」
「それだったら斬られたって言うわ。3つの鋭利なもので同時に刺した後、その奥へと押し込んで腕を取ったような跡ね」
「それは全部同じ形か?」
「ええ」
淡々と2人が話しているけど、そういう話を聞くと、私昔から足の腱がむずがゆくなっちゃうんだよな。なんでなんだろう。
「あかり、少し試して欲しいことが……って平気か?」
「足首痛いの? 大丈夫?」
「しばらくしたら何ともなくなるから平気」
腕を組みながら考え込むエヴァンと腰に手を当てているゾーイが、自分の足首を押さえてしゃがみ込んでいる私を見て驚いている。怪我をしたわけじゃないから平気だよと慌てるゾーイに言い聞かせ、座り込んだままエヴァンを見上げる。試してみたいことって何だろう?
「平気ならそのまま聞いてくれ。ゾーイが言っているものをそのまま召喚して出せるか?」
「やってみる」
リュックサックからスマホを取り出し、メモ帳を開く。ゾーイは何をするのか分かっていないからか私とエヴァンを不思議そうに見ていた。
「えっと……なんて書けばいい?」
「三又の槍だ」
「私の頭の中で浮かんだものでいいなら書いてみるね。【手持ちは木製でその先は鉄で出来ており、矛先は3つに分かれている】」
書き終わった後しばらくしてからスマホの画面が光り、地面にガシャリと音を立てて何かが落ちた。成功したみたい。スマホの充電も100パーセントから90パーセントに減っている。
「こういうものか?」
「形的にはあっているわね」
エヴァンが地面に落ちた三又の槍を拾い上げ、ゾーイに見せている。見てきたものと似ていたのかな。ゾーイが頷いている。
「ただこれだとどんな敵かは想像しづらいな」
「ねぇ、エヴァン。さっき止められたけど、私もあっち行って見ていい?」
「あー」
なんでそんなに渋るんだろう。召喚してからずっとそうだったけど、私には嫌なものは見せたくないのかな?
「……とんでもなくひどい状態だ。それでも見ると言うなら覚悟していくことを薦める」
「行く」
「分かった」
しばらく考え込んだエヴァンが、難しそうな顔しながらも行くことを許可してくれたのを見てから私は立ち上がり、中央に向かおうとするとエヴァンとゾーイが隣に移動してきた。
「何かあっても大丈夫なように私も隣にいるわ」
「うん」
「もしかしたらのことを考えてな」
過保護だけどありがたいな。近くに戦闘経験がある人と医療関係者がいる安心感はとんでもなく強い。もし、これが1人だったらって思うと怖くて何も出来なかった。改めて自分の力が【創作キャラクター召喚】で良かったと思う。
2人に挟まれながら中央に向かい、地面に落ちている腕を見ると少しだけ気持ち悪くなった。けど、大丈夫。気持ち悪くなっただけ。
「この痕がそれに似ているってこと?」
「そうね」
エヴァンが持っている三又の槍。確かに形的には似ている気がする。でもそれだけじゃ分からない。もう少し詳しく見てみたら分かるかも。
人の腕触りたくないから眺めるだけにしとくけど。
「ん? なんかあそこに落ちてる」
周りを見渡してみると少し先でキラリと光った物があった。なんだろう。
「うろこ?」
近づいて拾い上げた者は灰色に光り、つるつるしていた。私、このうろこを知っているような気がする。でも、思い出せない。
「あかり!」
突然エヴァンの慌てた声と近づいてくる足音が聞こえた。
撫でた瞬間に抱きしめが強くなった。顔を見るのは難しいけど、喜んでくれてる?
ずっと撫で続けていると、調べ終わったエヴァンが戻ってくる。
「血が地面にこびり付いていたのと腕が落ちていたのは分かったが、それ以上はわからなかった」
「ありがと、エヴァン。ゾーイなら分かる?」
「見てみるわね」
ゾーイが私から離れ、中央に向かっていく。限界があるかもしれないけど、もしかしたらゾーイなら分かるかもしれない。中央で立ってはしゃがみ込み、腕を持ち上げている様子を遠くから見ながら終わるのを待つことにした。
しばらくしてゾーイ戻ってくる。
「なにか分かったか?」
「鋭利なものでえぐり取られたかのような痕だったわ」
「鋭利? 刃物とかか?」
「それだったら斬られたって言うわ。3つの鋭利なもので同時に刺した後、その奥へと押し込んで腕を取ったような跡ね」
「それは全部同じ形か?」
「ええ」
淡々と2人が話しているけど、そういう話を聞くと、私昔から足の腱がむずがゆくなっちゃうんだよな。なんでなんだろう。
「あかり、少し試して欲しいことが……って平気か?」
「足首痛いの? 大丈夫?」
「しばらくしたら何ともなくなるから平気」
腕を組みながら考え込むエヴァンと腰に手を当てているゾーイが、自分の足首を押さえてしゃがみ込んでいる私を見て驚いている。怪我をしたわけじゃないから平気だよと慌てるゾーイに言い聞かせ、座り込んだままエヴァンを見上げる。試してみたいことって何だろう?
「平気ならそのまま聞いてくれ。ゾーイが言っているものをそのまま召喚して出せるか?」
「やってみる」
リュックサックからスマホを取り出し、メモ帳を開く。ゾーイは何をするのか分かっていないからか私とエヴァンを不思議そうに見ていた。
「えっと……なんて書けばいい?」
「三又の槍だ」
「私の頭の中で浮かんだものでいいなら書いてみるね。【手持ちは木製でその先は鉄で出来ており、矛先は3つに分かれている】」
書き終わった後しばらくしてからスマホの画面が光り、地面にガシャリと音を立てて何かが落ちた。成功したみたい。スマホの充電も100パーセントから90パーセントに減っている。
「こういうものか?」
「形的にはあっているわね」
エヴァンが地面に落ちた三又の槍を拾い上げ、ゾーイに見せている。見てきたものと似ていたのかな。ゾーイが頷いている。
「ただこれだとどんな敵かは想像しづらいな」
「ねぇ、エヴァン。さっき止められたけど、私もあっち行って見ていい?」
「あー」
なんでそんなに渋るんだろう。召喚してからずっとそうだったけど、私には嫌なものは見せたくないのかな?
「……とんでもなくひどい状態だ。それでも見ると言うなら覚悟していくことを薦める」
「行く」
「分かった」
しばらく考え込んだエヴァンが、難しそうな顔しながらも行くことを許可してくれたのを見てから私は立ち上がり、中央に向かおうとするとエヴァンとゾーイが隣に移動してきた。
「何かあっても大丈夫なように私も隣にいるわ」
「うん」
「もしかしたらのことを考えてな」
過保護だけどありがたいな。近くに戦闘経験がある人と医療関係者がいる安心感はとんでもなく強い。もし、これが1人だったらって思うと怖くて何も出来なかった。改めて自分の力が【創作キャラクター召喚】で良かったと思う。
2人に挟まれながら中央に向かい、地面に落ちている腕を見ると少しだけ気持ち悪くなった。けど、大丈夫。気持ち悪くなっただけ。
「この痕がそれに似ているってこと?」
「そうね」
エヴァンが持っている三又の槍。確かに形的には似ている気がする。でもそれだけじゃ分からない。もう少し詳しく見てみたら分かるかも。
人の腕触りたくないから眺めるだけにしとくけど。
「ん? なんかあそこに落ちてる」
周りを見渡してみると少し先でキラリと光った物があった。なんだろう。
「うろこ?」
近づいて拾い上げた者は灰色に光り、つるつるしていた。私、このうろこを知っているような気がする。でも、思い出せない。
「あかり!」
突然エヴァンの慌てた声と近づいてくる足音が聞こえた。
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