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16話 不可視の馬
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ギルドの中に入ると、受付に少なからず、多からずの人が並んでいた。
ただ1つだけ誰も並んでいない所があり、そこにエヴァンが向かっていく。並ばなくていいのかな。
「エヴァンさんからお聞きしました。従魔登録ですね。どのような従魔でしょうか?」
「あ、えっと…空の色をした馬です」
依頼が終わったことを伝えたついでにエヴァンが言ったのかな。すんなりと進んだ。
「空色の馬……。見てもよろしいですか? 初めて聞く種類で、想像が出来ず」
「あ、はい」
受付さんと一緒に外に出ると、ずっと入口付近で待っていた。賢いお馬さんだ。
「どこにいるのでしょうか?」
「私の目の前に……」
こんな綺麗でかっこいいお馬さんが目の前にいるのに受付さんには見えていない。え、なんで。
お馬さんが黒で、なおかつ外が夜なら見えないなんてこともあるだろうけど、今はお昼くらいだし、こんだけ派手な色が見えないなんておかしいよ。
「え、ここにいます……!」
このままじゃ私が変なこと言っている人になってしまう。それだけは嫌だ。
「い、いつの間に!」
何故、そんなに驚いているんだろう。ずっと同じ場所にいたんだけど。エヴァンも不思議そうに受付さんを見ている。
「この子の登録、しても大丈夫ですか?」
「……少々お待ちください。少し確認してきます」
困ったかのように眉を下げながらしばらく考えた後、倒れそうな勢いでギルドの中に入って行く受付さん。いったいどうしたんだろうか。
戻ってくるまで大人しく待っていようかな。それにしてもさっきから視線を感じる。気のせいだよね、たぶん。
私みたいな普通の人に視線が集まるんじゃなくて、エヴァンとお馬さんに集まっているだけだよ。エヴァンは背が高いし、整った顔してるから。
はぁ、いつみてもエヴァンはかっこいいな。好きになっちゃいそう。
「なんだ?」
「ううん、なんでもない」
視線を感じたエヴァンが見下ろしてきた。緑の目が綺麗だな。
なんで海外の人の目って綺麗に見えるんだろうね。
「中でギルド長がお待ちです」
ギルド長が何故出てくるんだろう。
もしかしてやってはいけないことをしたのかな、私。
もっとちゃんと説明とか聞いておけばよかった。登録したばっかりなのに、剥奪とかされたらどうしよう。
「そちらの馬も一緒にお願いします」
お馬さんも一緒に? ギルド長も想像しづらいから、見たほうが早いってことかな。それなら見せたほうが早いよね。
「中に入ろっか」
お馬さんの背を撫でながら問いかけると、階段を登り、頭でドアを押して中に入って行った。
えらいな! 思わず感心しちゃって口角が上がってしまうよ。
「中で待ってるぞ」
「今行く!」
ドアを押さえて待っててくれるエヴァンと私を見つめるお馬さん。あまり待たせたらギルド長に申し訳ないね。
エヴァンにドアを開けたまま待ってくれていることに感謝の言葉を述べて、待っていた受付さんの所に行くと、奥へと案内された。
なにか、興奮するね。お店の奥に行くと特別感があって。
場違いな気持ちかもしれないけれど、こうでもしてないと不安で押しつぶされそう。
「し、失礼します」
堂々と入って行くエヴァンの後ろを付いていきながらこっそりと顔を覗かせて、中の様子を見る。ギルド長が怖い人でありませんように。
中に入ると、奥にスキンヘッドの屈強な男性が書類に囲まれながら、手を忙しなく動かし、作業をしていた。見た目怖そうなだけで優しい人だったらいいな。
「ギルド長、2人をお呼びしました」
「ああ、ありがとう。2人ともそこに座ってくれ」
机を見ながらソファを指差している。目を離せない程忙しいんだろう。
ソファに座って待っててってことかな。言われたところにエヴァンと座り、お馬さんは私の近くの床に座った。
「待たせてすまないな。わしの名前はガインだ。エルトのギルド長をしておる」
「は、初めまして、あかりです」
「エヴァンだ」
自己紹介が終わったあと、ギルド長もといガインさんは部屋を見渡し、私を真っ直ぐ見てくる。
「それで、馬はどこにいるんだ?」
「私の横で寝てます」
右側に視線を移すと、床でぐっすり眠っていた。いびきらしきものもかいてる。リラックスしてるのかな。
「見えんのだが……」
ガインさんも見えないなんてことあるの。なんて思ってたらおもむろにエヴァンが立ち上がり、お馬さんのところに近づくと、撫で始めた。触りたくてたまらなかったのかな。
「君が触れている間見える馬なのか」
ただ1つだけ誰も並んでいない所があり、そこにエヴァンが向かっていく。並ばなくていいのかな。
「エヴァンさんからお聞きしました。従魔登録ですね。どのような従魔でしょうか?」
「あ、えっと…空の色をした馬です」
依頼が終わったことを伝えたついでにエヴァンが言ったのかな。すんなりと進んだ。
「空色の馬……。見てもよろしいですか? 初めて聞く種類で、想像が出来ず」
「あ、はい」
受付さんと一緒に外に出ると、ずっと入口付近で待っていた。賢いお馬さんだ。
「どこにいるのでしょうか?」
「私の目の前に……」
こんな綺麗でかっこいいお馬さんが目の前にいるのに受付さんには見えていない。え、なんで。
お馬さんが黒で、なおかつ外が夜なら見えないなんてこともあるだろうけど、今はお昼くらいだし、こんだけ派手な色が見えないなんておかしいよ。
「え、ここにいます……!」
このままじゃ私が変なこと言っている人になってしまう。それだけは嫌だ。
「い、いつの間に!」
何故、そんなに驚いているんだろう。ずっと同じ場所にいたんだけど。エヴァンも不思議そうに受付さんを見ている。
「この子の登録、しても大丈夫ですか?」
「……少々お待ちください。少し確認してきます」
困ったかのように眉を下げながらしばらく考えた後、倒れそうな勢いでギルドの中に入って行く受付さん。いったいどうしたんだろうか。
戻ってくるまで大人しく待っていようかな。それにしてもさっきから視線を感じる。気のせいだよね、たぶん。
私みたいな普通の人に視線が集まるんじゃなくて、エヴァンとお馬さんに集まっているだけだよ。エヴァンは背が高いし、整った顔してるから。
はぁ、いつみてもエヴァンはかっこいいな。好きになっちゃいそう。
「なんだ?」
「ううん、なんでもない」
視線を感じたエヴァンが見下ろしてきた。緑の目が綺麗だな。
なんで海外の人の目って綺麗に見えるんだろうね。
「中でギルド長がお待ちです」
ギルド長が何故出てくるんだろう。
もしかしてやってはいけないことをしたのかな、私。
もっとちゃんと説明とか聞いておけばよかった。登録したばっかりなのに、剥奪とかされたらどうしよう。
「そちらの馬も一緒にお願いします」
お馬さんも一緒に? ギルド長も想像しづらいから、見たほうが早いってことかな。それなら見せたほうが早いよね。
「中に入ろっか」
お馬さんの背を撫でながら問いかけると、階段を登り、頭でドアを押して中に入って行った。
えらいな! 思わず感心しちゃって口角が上がってしまうよ。
「中で待ってるぞ」
「今行く!」
ドアを押さえて待っててくれるエヴァンと私を見つめるお馬さん。あまり待たせたらギルド長に申し訳ないね。
エヴァンにドアを開けたまま待ってくれていることに感謝の言葉を述べて、待っていた受付さんの所に行くと、奥へと案内された。
なにか、興奮するね。お店の奥に行くと特別感があって。
場違いな気持ちかもしれないけれど、こうでもしてないと不安で押しつぶされそう。
「し、失礼します」
堂々と入って行くエヴァンの後ろを付いていきながらこっそりと顔を覗かせて、中の様子を見る。ギルド長が怖い人でありませんように。
中に入ると、奥にスキンヘッドの屈強な男性が書類に囲まれながら、手を忙しなく動かし、作業をしていた。見た目怖そうなだけで優しい人だったらいいな。
「ギルド長、2人をお呼びしました」
「ああ、ありがとう。2人ともそこに座ってくれ」
机を見ながらソファを指差している。目を離せない程忙しいんだろう。
ソファに座って待っててってことかな。言われたところにエヴァンと座り、お馬さんは私の近くの床に座った。
「待たせてすまないな。わしの名前はガインだ。エルトのギルド長をしておる」
「は、初めまして、あかりです」
「エヴァンだ」
自己紹介が終わったあと、ギルド長もといガインさんは部屋を見渡し、私を真っ直ぐ見てくる。
「それで、馬はどこにいるんだ?」
「私の横で寝てます」
右側に視線を移すと、床でぐっすり眠っていた。いびきらしきものもかいてる。リラックスしてるのかな。
「見えんのだが……」
ガインさんも見えないなんてことあるの。なんて思ってたらおもむろにエヴァンが立ち上がり、お馬さんのところに近づくと、撫で始めた。触りたくてたまらなかったのかな。
「君が触れている間見える馬なのか」
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