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14話 2人の意見は違う
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依頼品は赤黒い花だったよね。青い池の近くにあるっていうけど、なんか想像できないな。その花って自然に出来るものなのかな。それとも自分が知らないだけか。
2人で池周辺を探しているけど、なかなか見つからない。何か条件でもあるのかな。
「写真の中に何かヒントが書いてなかったか?」
「ちょっと待ってね」
周りが草だらけの中で赤い花を探すとなると、分かりやすいと思うんだけどこれだけ探しても見つからないってことは探し方が間違えているかもしれない。
そう私が思っていた時にエヴァンが近づいてきた。彼も草を分けながら探すやり方だと見つからないと思ったのかもしれない。
冒険者ギルドで撮っていた写真を確認してみよう。もしかしたらそこに探し方のヒントがあるかもしれない。
「『目を凝らして探すと、早く見つかる』って」
「凝視か」
何か考え込んでいたエヴァンが眉間に皺を寄せて青い池周辺を見渡している。私も同じく目を凝らして見てみるかな。2人で探せば見つかりやすくなるかもしれない。
探し始めてすぐ、どこからか風に乗って漂ってきたのか、鉄臭さが自分の鼻の奥をついた。
「うぇ……」
「どうした?」
「血の匂いが」
こんなに吐き気がするほど強烈なのにエヴァンは気づいていない? 両手で鼻を押さえているのにまだ匂いがする。もしかしてエヴァン、戦場にいることが多いからただ単に気づいてない? 鼻が慣れてしまってるのかも。
「血の匂い? 花のいい香りがするだけだぞ」
「え?」
こんなに鼻が曲がりそうな匂いなのに、いい匂いがするなんておかしいよ。2人とも同じ目的のモノを探して同じ場所にいるのに何でこんな違いが。
もしかしたら自分がおかしいのかもしれないと思って、嫌だけど鼻から手を離してもう一度匂いを嗅いでみたけど、変わらなかった。
なんでこんなことに。
もしかしてなんだけど、ここって……違う世界だけど、TRPGの要素が混じった世界?
それだったらあのステータス表記も納得がいく。しかもSAN値とかあるってことはクトゥルフ?
そんな世界だったら、皆理解できないこととか恐怖体験でSAN値がすぐ減って動けなくなったり、狂気に陥ったりするはずなのに何ともないの?
「え、エヴァン……」
「どうした!」
どうしよう。怖い。少しずつ震えが強くなる。
コワイコワイコワイコワイコワイ!
怖い!
「おい、あかり!」
やだ、揺すらないで! お願いだから。ただ、ただ、抱きしめてほしい。
「いったい何が遭った」
心がざわざわしてる。駄目、涙が止まらない。何もかもがぐちゃぐちゃになってる。頭の中も心も。
不安でいっぱいになってる。
「とにかく深呼吸をしてみろ。落ち着くまでこうしといてやるから」
エヴァンの腕の筋肉が太くてちょっと苦しいけど、抱きしめてくれたおかげで少しだけ落ち着けた。でも、状況は変わらないし、怖いことにも変わりはない。
いまだに心臓が激しく鼓動してるし、気づいちゃいけないことに気づいてしまったような気がする。
「落ち着いたか?」
「だいじょうぶ……」
震えは全然収まらないし、まだ心臓がバクバク言っているけど頼まれたことはしなきゃ。
足を前に出そうにも、足がまったく動かなかった……。
なんで? 立っているのさえ、つらくなってくる。
エヴァンが支えてくれているから何とか立てていられるけど、支えがなかったら地面に座り込んでしまうほど、足に力が入らない。
「大丈夫そうではないな。ここで休んでおけ」
「でも」
眉尻を下げ心配そうに私を見下ろすエヴァン。
引っ付いているから震えが伝わってしまって、抱き上げられ、木陰にまで連れていかれた。
「震えているのに無理やりやらせる気はないし、そこから指示してくれたら俺が探す」
木の幹のところに私を降ろして、頭を優しく撫でてくれた。任せっぱなしで申し訳ないけど、今の自分は何も役に立たない。
自分自身で何か出来ることを早く見つけなきゃ。
「……頼んでいいかな?」
「ああ」
頼んだ後、私の近くから離れていき、青池近くにむかった。
もう少し側にいて欲しかったし、撫でて欲しかったななんて思っても言葉には出せない。
言ったことで困らせてしまうんじゃないかって気持ちが出てくるから。
2人で池周辺を探しているけど、なかなか見つからない。何か条件でもあるのかな。
「写真の中に何かヒントが書いてなかったか?」
「ちょっと待ってね」
周りが草だらけの中で赤い花を探すとなると、分かりやすいと思うんだけどこれだけ探しても見つからないってことは探し方が間違えているかもしれない。
そう私が思っていた時にエヴァンが近づいてきた。彼も草を分けながら探すやり方だと見つからないと思ったのかもしれない。
冒険者ギルドで撮っていた写真を確認してみよう。もしかしたらそこに探し方のヒントがあるかもしれない。
「『目を凝らして探すと、早く見つかる』って」
「凝視か」
何か考え込んでいたエヴァンが眉間に皺を寄せて青い池周辺を見渡している。私も同じく目を凝らして見てみるかな。2人で探せば見つかりやすくなるかもしれない。
探し始めてすぐ、どこからか風に乗って漂ってきたのか、鉄臭さが自分の鼻の奥をついた。
「うぇ……」
「どうした?」
「血の匂いが」
こんなに吐き気がするほど強烈なのにエヴァンは気づいていない? 両手で鼻を押さえているのにまだ匂いがする。もしかしてエヴァン、戦場にいることが多いからただ単に気づいてない? 鼻が慣れてしまってるのかも。
「血の匂い? 花のいい香りがするだけだぞ」
「え?」
こんなに鼻が曲がりそうな匂いなのに、いい匂いがするなんておかしいよ。2人とも同じ目的のモノを探して同じ場所にいるのに何でこんな違いが。
もしかしたら自分がおかしいのかもしれないと思って、嫌だけど鼻から手を離してもう一度匂いを嗅いでみたけど、変わらなかった。
なんでこんなことに。
もしかしてなんだけど、ここって……違う世界だけど、TRPGの要素が混じった世界?
それだったらあのステータス表記も納得がいく。しかもSAN値とかあるってことはクトゥルフ?
そんな世界だったら、皆理解できないこととか恐怖体験でSAN値がすぐ減って動けなくなったり、狂気に陥ったりするはずなのに何ともないの?
「え、エヴァン……」
「どうした!」
どうしよう。怖い。少しずつ震えが強くなる。
コワイコワイコワイコワイコワイ!
怖い!
「おい、あかり!」
やだ、揺すらないで! お願いだから。ただ、ただ、抱きしめてほしい。
「いったい何が遭った」
心がざわざわしてる。駄目、涙が止まらない。何もかもがぐちゃぐちゃになってる。頭の中も心も。
不安でいっぱいになってる。
「とにかく深呼吸をしてみろ。落ち着くまでこうしといてやるから」
エヴァンの腕の筋肉が太くてちょっと苦しいけど、抱きしめてくれたおかげで少しだけ落ち着けた。でも、状況は変わらないし、怖いことにも変わりはない。
いまだに心臓が激しく鼓動してるし、気づいちゃいけないことに気づいてしまったような気がする。
「落ち着いたか?」
「だいじょうぶ……」
震えは全然収まらないし、まだ心臓がバクバク言っているけど頼まれたことはしなきゃ。
足を前に出そうにも、足がまったく動かなかった……。
なんで? 立っているのさえ、つらくなってくる。
エヴァンが支えてくれているから何とか立てていられるけど、支えがなかったら地面に座り込んでしまうほど、足に力が入らない。
「大丈夫そうではないな。ここで休んでおけ」
「でも」
眉尻を下げ心配そうに私を見下ろすエヴァン。
引っ付いているから震えが伝わってしまって、抱き上げられ、木陰にまで連れていかれた。
「震えているのに無理やりやらせる気はないし、そこから指示してくれたら俺が探す」
木の幹のところに私を降ろして、頭を優しく撫でてくれた。任せっぱなしで申し訳ないけど、今の自分は何も役に立たない。
自分自身で何か出来ることを早く見つけなきゃ。
「……頼んでいいかな?」
「ああ」
頼んだ後、私の近くから離れていき、青池近くにむかった。
もう少し側にいて欲しかったし、撫でて欲しかったななんて思っても言葉には出せない。
言ったことで困らせてしまうんじゃないかって気持ちが出てくるから。
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