13 / 46
11話 写真は取れるようです
しおりを挟む
「なんて?」
「スマホで写真とればいいんじゃないか? って言ったんだが」
急にエヴァンが変なこと言ったのかと思った。
すまほ……スマホ……。
「ああああ!」
「うるさいぞ」
「そうだよ! 便利なやつがあるのに全然思いつかなかった! なんで教えてくれなかったの!」
「本にずっと拘っていたから必要ないかと思ってな。本当に頭の中にはなかったのか?」
「うん」
なんでスマホのこと忘れてたんだろう。スマホ依存だって自分で分かってるほどなのに、お姫様と会ってからずっと触ってなかった。
「大丈夫ですか?」
「あ、すみません。急に大声出してしまって……」
受付さんに驚かれてしまった。受付さんどころか今この場にいる人全員私の方を見てる。どうしよ、恥ずかし。
とりあえずエヴァンの目の前に立って、彼を盾にして隠れておこう。これなら安心だ。見られるのは受付さんだけになるし。
「依頼どうしますか?」
「受けます。それと、本を見てもいいですか?」
「分かりました。では少々お待ちください」
依頼書かな? それに印を押して、本を取りに裏に行ってしまった。
来るまで暇だなって思ったけど、今のうちにスマホの充電とか確認しとこう。前の80パーセントのままなのか、それとも充電が切れちゃってるのか。写真撮るときになかったじゃ悲しいからね。
鞄の中にあるスマホの充電を確認してみたら100パーセントになっていた。1回も充電とかしてないんだけど。 なんでだろう。
写真を撮るときは、撮っていいか聞いてから撮ろう。どうやって聞こうかな。写真を撮りたいんですと通じるかどうか。複製っていう概念があるから通じそうな気はするけどね。
「薬草が載っている本持ってきました」
「ありがとうございます。それと、あの、1つだけ相談がありまして」
何でもだけど、相談するときっていつも緊張しちゃうんだよね。
「はい、なんでしょう」
「その部分を写すことは出来ますか?」
「複製が出来るということでしょうか!」
受付机から勢いよく身を乗り出し、興奮した顔を近づけてきた。その目が飛び出てしまうんじゃないかと思えるほど開いててちょっと怖い。自分でエヴァンの前に移動したのに、後ろに下がれなくて受付さんの顔が目の前に。
「複製という技術を見たことがないので出来るとは言えないんですけど、似たようなものだと思ってもらえれば」
「それは他の人は使えたりしますか?」
「たぶん、私だけかなって……」
たぶんと言ったのは、一緒に召喚されていた高校生たちの事。今の時代だと高校生でもスマホを持っているから、出来ていてもおかしくない。充電がどうのこうのとかは分からない。他人のスマホを勝手に見るほどプライバシーのかけらもない大人ではないし。
「そうですか……」
とても落ち込んでいるけど、ごめんなさい受付さん。撮ったとしても紙にすることは出来ないと思う。紙にするための機械がないから。
「そ、それじゃこの本ちょっとお借りしますね」
「複製が終わったらしっかり返してくださいね」
「はい」
依頼書と本を受け取り、ギルド内でも人が少ない方へ。見られるのはちょっと恥ずかしいから。さっきの私の悲鳴と、物珍しいかもしれないスマホでこれ以上の注目を浴びたくないからね。
「なにか疲れた……」
「あんだけ大声を上げたらそうなるな」
少し休んで、写真を撮ったら外に出よう。武器は今のところ準備できないかな。エヴァンは銃があるからいいけど、私は身を守るものがない。お金のことについてもまだ分かってないし。
「充電は大丈夫か?」
「うん、それは大丈夫だった」
薬草の名前が書いてあるページ、っと。ページをめくりながら目的のものは見つけたけど凄く赤黒い色してるし、これ本当に薬草なの? 血を吸ってこの色になったとかじゃない? 依頼のだから撮るけど、あまり見たくはないかな。
採取との仕方とか生えている場所も念のため撮っておこう。
それにしてもスマホが機能してくれてよかった。正直撮るまでは不安だった。
「撮れたか?」
「うん」
「じゃあ行くぞ」
本を受付さんに返して、いざ初依頼場所へ。
薬草採取の時に何も起きなければ、スマホで出来そうなことをもっと調べておこうかな。
「あ、ご飯とかどうしよう」
「現地調達だな。金持ってないし」
そうなるよね。早めにお金貯めてこの世界の常識知っておかないと。
「スマホで写真とればいいんじゃないか? って言ったんだが」
急にエヴァンが変なこと言ったのかと思った。
すまほ……スマホ……。
「ああああ!」
「うるさいぞ」
「そうだよ! 便利なやつがあるのに全然思いつかなかった! なんで教えてくれなかったの!」
「本にずっと拘っていたから必要ないかと思ってな。本当に頭の中にはなかったのか?」
「うん」
なんでスマホのこと忘れてたんだろう。スマホ依存だって自分で分かってるほどなのに、お姫様と会ってからずっと触ってなかった。
「大丈夫ですか?」
「あ、すみません。急に大声出してしまって……」
受付さんに驚かれてしまった。受付さんどころか今この場にいる人全員私の方を見てる。どうしよ、恥ずかし。
とりあえずエヴァンの目の前に立って、彼を盾にして隠れておこう。これなら安心だ。見られるのは受付さんだけになるし。
「依頼どうしますか?」
「受けます。それと、本を見てもいいですか?」
「分かりました。では少々お待ちください」
依頼書かな? それに印を押して、本を取りに裏に行ってしまった。
来るまで暇だなって思ったけど、今のうちにスマホの充電とか確認しとこう。前の80パーセントのままなのか、それとも充電が切れちゃってるのか。写真撮るときになかったじゃ悲しいからね。
鞄の中にあるスマホの充電を確認してみたら100パーセントになっていた。1回も充電とかしてないんだけど。 なんでだろう。
写真を撮るときは、撮っていいか聞いてから撮ろう。どうやって聞こうかな。写真を撮りたいんですと通じるかどうか。複製っていう概念があるから通じそうな気はするけどね。
「薬草が載っている本持ってきました」
「ありがとうございます。それと、あの、1つだけ相談がありまして」
何でもだけど、相談するときっていつも緊張しちゃうんだよね。
「はい、なんでしょう」
「その部分を写すことは出来ますか?」
「複製が出来るということでしょうか!」
受付机から勢いよく身を乗り出し、興奮した顔を近づけてきた。その目が飛び出てしまうんじゃないかと思えるほど開いててちょっと怖い。自分でエヴァンの前に移動したのに、後ろに下がれなくて受付さんの顔が目の前に。
「複製という技術を見たことがないので出来るとは言えないんですけど、似たようなものだと思ってもらえれば」
「それは他の人は使えたりしますか?」
「たぶん、私だけかなって……」
たぶんと言ったのは、一緒に召喚されていた高校生たちの事。今の時代だと高校生でもスマホを持っているから、出来ていてもおかしくない。充電がどうのこうのとかは分からない。他人のスマホを勝手に見るほどプライバシーのかけらもない大人ではないし。
「そうですか……」
とても落ち込んでいるけど、ごめんなさい受付さん。撮ったとしても紙にすることは出来ないと思う。紙にするための機械がないから。
「そ、それじゃこの本ちょっとお借りしますね」
「複製が終わったらしっかり返してくださいね」
「はい」
依頼書と本を受け取り、ギルド内でも人が少ない方へ。見られるのはちょっと恥ずかしいから。さっきの私の悲鳴と、物珍しいかもしれないスマホでこれ以上の注目を浴びたくないからね。
「なにか疲れた……」
「あんだけ大声を上げたらそうなるな」
少し休んで、写真を撮ったら外に出よう。武器は今のところ準備できないかな。エヴァンは銃があるからいいけど、私は身を守るものがない。お金のことについてもまだ分かってないし。
「充電は大丈夫か?」
「うん、それは大丈夫だった」
薬草の名前が書いてあるページ、っと。ページをめくりながら目的のものは見つけたけど凄く赤黒い色してるし、これ本当に薬草なの? 血を吸ってこの色になったとかじゃない? 依頼のだから撮るけど、あまり見たくはないかな。
採取との仕方とか生えている場所も念のため撮っておこう。
それにしてもスマホが機能してくれてよかった。正直撮るまでは不安だった。
「撮れたか?」
「うん」
「じゃあ行くぞ」
本を受付さんに返して、いざ初依頼場所へ。
薬草採取の時に何も起きなければ、スマホで出来そうなことをもっと調べておこうかな。
「あ、ご飯とかどうしよう」
「現地調達だな。金持ってないし」
そうなるよね。早めにお金貯めてこの世界の常識知っておかないと。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました
星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる